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宇宙戦記:Art of War ~僕とヤンデレ陛下の場合~  作者: 土岡太郎
第3章 北ロマリア戦役

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新たなる戦いへ 02



 時はルイが要塞占拠成功の報告を総司令部に行なった頃に遡る。

 フランはルイの作戦中、こちらからは一度も通信を送らなかった。


 その理由は、敵に傍受される恐れがあった事と作戦に集中するルイの邪魔をしたくなかったからである。


 ルイから要塞占拠の報告を受けたフランは、さっそく彼に通信を送ろうとしたが、クレールに今は作戦後の処理で忙しいであろうから後にすべきだと進言されて、確かにと思って我慢することにした。


 暫くしてから、今回の現時点で分かる範囲の作戦の被害報告が彼の艦隊から送られてきて、フランとクレールはその報告をフランの部屋で食事をしながら分析することにする。


「現時点での報告では、味方の被害は艦艇小破10、中破2となっています。続いて、陸戦部隊の被害ですが、戦死者21名、重傷者78名、軽傷262名です。入り組んでいる要塞内の戦いでは、不意打ちを受けるために陸戦部隊にそれなりの被害が出た模様です」


「そうか…」


 フランはそう呟いてから、追悼の意味を込めて暫く黙祷した後に話を続けた。


「戦闘時間約5時間か…。マンショを投入したのに意外とかかったな」


「そのマンショですが…、どうやら、想定以上に段差を越えることが出来ずに、キャタピラを使用する頻度が上がったようで、バッテリーの消耗が激しくなり、充電もしくは交換に時間を要した為に、計画より時間が掛かったとのことです」


「実戦で使用してみないと解らないものだな。明日来る補給部隊に、今回のマンショの実戦データを渡して、兵器研究開発室に送るようにしてくれ」


「そのように手配しておきます」



 クレールの返事を聞いたフランは、”コホン”と咳払いをするとクレールをチラチラ見ながら、今回の話し合いの本題を切り出し始める。


「ところで、味方の被害を軽微で抑え、要塞主砲をほぼ無傷のまま攻略した今回のルイの功績はかなり大きいと私は思っている」


「私もそう思っています」


 クレールが肯定したのを見て、フランは自信を持ったのか意気揚々といった感じで、自分の考えを述べ続けた。


「そうであろう。そこで私は、今回のルイの功績に対して、<元帥>に昇進させることで報いようと思っている」


 フランがキリッとした顔で、クレールにそう言うと彼女は心の中でこう思う。


(また、はじまりましたか…… このお花畑……)


 彼女は小さく溜め息をつくとスイッチを入れて、目の前の恋愛脳全開の<だいげんすいさま>と舌戦を開始する。


「そこまでの功績ではありません。少将…… せめて、次の戦いの戦果と合わせて中将といったところです」


「いーーや! 元帥にする!」


 珍しく年相応の喋り方で反論するフラン。


「いい加減にしてください、この恋愛脳大元帥。彼だけを贔屓しては、他の提督達の反感を招くだけです。聡明な殿下ならおわかりのはずです」


 クレールの冷静な反論にフランも負けじと反論してくる。


「要塞砲を無傷で占拠したんだぞ! そのおかげで、戦役後の駐留艦隊の数を減らすことができるのだ! 経費が削減できるのだぞ! どう考えても元帥だろうが、この鉄仮面女!」


 フランは最後にぶっこんでくる。


「代将から中将でも、少し贔屓が入っていると取る者もいるでしょう。殿下の政権が支持を得ている理由の一つは、コネや身内贔屓を排除して公平を打ち出しているからです。それを殿下自らお破りになるというのですか?」


「そ… それは……」


 だが、フランは痛いところを突かれて、反論できなくなってしまう。

 冷徹参謀長は目の前で言い訳を考えている殿下に、バカップルにお似合いの案を提案する。


「どうしても、ロドリーク提督に過剰な褒美を与えたいなら、こうしたらどうですか? ご自分にリボンでも巻いて、”私が今回のご褒美”とでもすれば、いいんじゃないですかー?」


 クレールは自分で考えておきながら、提案している間にその内容に馬鹿らしくなって、最後少し投げやりな感じになってしまうが、声はあくまで冷静な低い声を保つ。


 だが、その提案を聞いたフランは目を輝かせて、”その案いただき!”というような表情でこう答える。


「それは妙案だな!」


「…………」

「…………」


 だが、そう答えたフランではあったが、すぐさま冷静になりその案を頭の中で精査して、冷徹参謀に突っ込む。


「私にそんな<はしたない真似>できる訳ないだろうが!! 淫乱だと思われたら、どうするんだ!?」 


「おや、さすがにその分別はお持ちでしたか。少し安心しました」


 クレールはそう答えると、話題逸しも兼ねてフランにそろそろルイに通信してはどうかと提案する。


「どこも変なところないか?」


 通信をする前にフランは鏡の前で髪型と服装を整えて、クレールに三度程このように同じことを尋ねていた。


「だいじょうぶ、だいじょうぶ。どこから見ても、最高にかわいいですよ」


 流石に三度目は鬱陶しく感じたクレールは、そう適当にあしらうとフランはようやく通信をするが通信が繋がるまでに、もう一度鏡を見て前髪を整えている。


 そして、会話が終わり約一週間ぶりの通信で、名残惜しいのか通信を中々切らないフランの事をクレールは傍らで黙って見ていた。


 だが、5分を過ぎた辺りからフランの表情が”もう、通信を切らなくていいか”という風に変わった事にいち早く気付いて、このままでは埒が明かないと横から強引に割って入って通信を切ってしまう。


 ルイとの通信を強制的に終了させられたフランが、その終わらせた張本人のクレールと本日二回目の言い争いをおこなったのは言うまでもない。



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