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宇宙戦記:Art of War ~僕とヤンデレ陛下の場合~  作者: 土岡太郎
第3章 北ロマリア戦役

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マントバ要塞攻略戦 04


「スラスターは、隕石を5つ分だけ移動させる量を使わせてください」


 フランはルイの予想通りに、要塞攻略用の為とその他の使用目的の為に、数種類の取り付け型のスラスターを合わせて数十個程用意していた。


「わかった。クレールに言って、使用許可書を出させよう」


 彼女は、すぐさま小型端末でクレールに指示を出して、スラスターとその使用許可書の手配をさせる。


「では、僕はこれで…」


 暫くして、ルイは食事と話を終えて、部屋から退室しようと席から立ち上がった。


「ルイ!!」


 その時、フランが大きな声で彼の名前を呼んで制止する。

 そして、泣きそうな顔でルイを見つめながら、不安のせいか少し震えた声で自分の考えを伝えてきた。


「やはり、今から『童の者』に命じよう! オマエが危険を犯す必要はない… オマエに万が一の時があれば私は! わたしは……」


 フランは自分が死ぬことに恐怖はないが、大好きなルイを失う恐怖とその時の心の喪失感に耐えられないと自覚している。


 そのために、フランはどうしても彼を自分のそばから、離れさせることが出来なかった。


「フラン様…。僕も軍人ですから、戦場で死ぬことには覚悟ができています。まあ、まだ死ぬ気はありませんけどね」


「でも……」


 ルイは自分の事を心配して、不安で泣きそうな顔をしながら、まだ反対してくる妹のような少女の側に近づくと彼女の頭を優しく撫でながら、このような言葉を口にする。


「僕は今回の要塞攻略任務を成し遂げ功績をあげて、胸を張ってフラン様の隣に立てるようになりたいのです。だから、僕を信じて送り出してください」


「ルイ……」


 フランは優しい笑みを浮かべながら、自分の頭を壊れ物でも扱うように優しく撫でてくれる年上の好青年のおかげで、心から不安が取り払われていくのを感じていた。


 そして、何より自分の横に立つためにと言われては、これ以上彼女には反対することが出来ない。


 フランのルイへの<好感度>が110から120になった!

 フランのルイへの<執着度>が115から120になった!


 総旗艦ブランシュから、小型連絡艇で自分の乗艦ベニールに戻るルイの手には、お土産と言って渡されたフランの作ったカレーの入った鍋が持たれていた。


「しばらくはカレーだな…」


 連絡艇の小さな窓から見える瞬く星々を見ながら、ルイは複雑な心境を胸にそう呟く。


 ルイの分艦隊は必要な物資を補給艦に、スラスターを工作艦に積み込むと、修理や投降艦の処理を行っている本体から離れて、一路マントバ要塞がある宙域に進軍を開始する。


 ルイの分艦隊は北上してエミニア=ロマーニ星系に入り、惑星ボローナの西7,628万キロメートルのところにある惑星モーデナの宙域を抜けて、更に北上しながらワープを行なって、惑星モーデナから約三日でマントバ要塞のあるロンバディア星系に入っった。



 ロンバディア星系外縁部の天体群、太陽系でいう『オールトの雲』にて、ルイは工作艦に命じて手頃な隕石5つにスラスターを取り付けさせると、それぞれを数十隻の艦艇に牽引させて、マントバ要塞のある宙域まで運ばせる。


 そして、星系外縁部から隕石を牽引しているために、巡航速度で約三日を費やして、マントバ要塞のある宙域に到着した。


「それでは、作戦の準備を」


 ルイの分艦隊は、彼の指示のもとに早速作戦の準備に入る。

 隕石を所定の位置まで運び、テストを兼ねて取り付けたスラスターを使って、隕石の進行方向を要塞に向ける微調整を行う。


 当然このような準備をしていれば、敵に察知され要塞から偵察艦が来て、こちらの行動を観察する事になる。


 本来なら、この後に偵察艦から報告を受けた要塞から、駐留艦隊が迎撃に来るのだが、マントバにはその駐留艦隊が存在しない。


 そのため、ルイの艦隊は偵察されてはいるが、妨害を受けることもなく要塞攻略の準備を進める事ができる。


 勿論要塞から偵察艦が来ることは容易に想定されていた為に、ルイも周囲に索敵のために偵察艦を配置させており、その一艦から旗艦に敵偵察艦発見の通信が入ってきた。


「偵察艦より連絡。我が艦隊の様子を観測する敵の偵察艦を発見とのことです」


「敵にもう少しだけこちらが、何をしようとしているのか要塞に報告してもらうために放置する。駆逐艦五隻にいつでも迎撃に出られるように伝達を」


 ルイの考えは、敵要塞に敢えてこちらの情報を断片的に与えて、敵にそれに基づく対処法を模索させそれがルイの誘導であると思わせずに、敵にとって最善と思える手を打たせることにある。


 敵の要塞砲の射程ギリギリに艦隊を縦四列、横四列の隊形にすると、運んできた隕石を二つ艦隊の前面に盾になるように並べて配置した。


 そして、もう一つを艦隊の天頂方向に配置する。


 そこで、ルイは駆逐艦五隻に命じて、敵偵察艦を追い払わせる命令を出すと同時に、工作艦に隕石に取り付けたスラスターに点火するように指示を出す。


「それでは、これよりマントバ要塞攻略作戦を開始する」


 ルイは、緊張と重圧で押し潰されそうになっている心を何とか奮い立たせながら、あくまで司令官としての冷静な表情と声を保ちながら作戦開始の号令を出すが、目は明らかに緊張によって泳いでいた。


(僕もロイクさんのように、サングラスを掛けていればよかった…)


 彼は同じ立場になって、ロイクがサングラスを掛けている理由をようやく理解する。


 駆逐艦五隻に補足された敵偵察艦は、その場を離脱する前に要塞にルイの艦隊の配置状況を伝えると、駆逐艦に追われながらその場を後にした。


 ルイは敵偵察艦が、観測範囲外から出たことを確認すると、作戦開始の命令を出す。


 マントバ要塞は、小惑星帯から資源採掘として運ばれてきた隕石を利用したもので、直径40kmもあり、形は歪な丸みを帯びた長方形に近い形であった。


 要塞の6面には、備え付けの直径3km、射程距離30万kmの荷電粒子砲が撃てる要塞砲が備え付けられており、少しだけなら射角も動かすこともできる。


 その他にも、迎撃用のビーム砲やミサイルが備え付けられており、要塞の名に恥じない防御力を有していた。


 ルイによるマントバ要塞攻略が遂に開始される。




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