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宇宙戦記:Art of War ~僕とヤンデレ陛下の場合~  作者: 土岡太郎
第2章 サルデニア侵攻戦

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ピエノンテ星系の戦い 04


 フランが今回の戦いの為に、この大型補給艦を造船させた数は60隻。

 この補給艦60隻と借り受けた民間の輸送艦をワープして消費した艦隊のエネルギーを補給するために、パリスとリオム、リオムとジャンベリの航路上に配備させ、その補給によってワープの回数を増やして行程に掛かる日数を短縮させた。


 両艦隊の攻守が逆転した理由は、フランが無理をして一日前に艦隊を戦場に到着させたことにも起因している。


 一日前に到着したガリアルム艦隊を見たサルデニア艦隊司令部は、その進軍速度から恐らく暫くは休息して攻めてこないと考えた。だが、7500隻対3000隻では不十分な状態でも、相手がその気になれば自軍が負けてしまうと考え、自分達からは攻めないと決める。


 首都星を放棄してドナウリア艦隊と合流しようと意見する者もいたが、司令官は事前に主星から避難した政権から、”敵が攻めてきたら放棄してもよい”と命令を受けていた。


 しかし、それは逆を言えば”敵が攻めてこなければ、放棄するな”とも捉えることもできる。そして、司令官は自身の保身から事前に放棄すれば、後で自分が責任を負わされる可能性があると考えその意見を却下したのだ。


 政権がそのような命令を出していたのは、主星を放棄すればガリアルム艦隊が無防備になった主星を占拠して、民間人はともかく自分達権力者の豪邸に略奪行為を行う可能性があると考えたからで、それをギリギリまで防ぐためであった。


 そうなると、サルデニア司令部に出来ることはガリアルム艦隊の動向を観察しながら、ドナウリア艦隊への早急な戦場到着の要請だけであり、ドナウリアとしても自分達が到着する前にサルデニアが殲滅されれば、数が不利なまま戦うことになり任務の失敗に繋がってしまうかもしれない。


 そのため自分の力を示したいアーベントロート中将は、サルデニアが敗北する前に強行軍で戦場に急ぐしかなかった。


 ガリアルム艦隊は一日前に戦場に到達して補給と兵の休息を実施し、防御重視で更に艦砲の反動を利用して後退の推進にするなどのエネルギーを節約しながら、後退戦をおこない10隻の大型補給艦が補給の補助をおこなう。


 それに比べて、ドナウリア艦隊は強行軍でピエノンテ星系に到着した後に、ガリアルム艦隊の攻撃を受け補給と休憩を満足におこなえずに戦闘を開始することになり、更に攻勢を掛け続けてエネルギーと物資を浪費させ攻勢限界に近づいていた。


 更にフラン艦隊の怒涛の反撃によって、攻勢で覆い隠されていたドナウリア兵士達の疲労が一気に表面化して、艦隊の動きに精彩さを欠くことになる。


 アーベントロート中将とカウン准将が、補給を軽視して戦闘を開始したのは、相手の総司令官が実戦経験の少ない若干17歳のお姫様であり、その部下も同じく実戦経験の乏しい提督であったからで、そのような者たち相手に同戦力で負けるはずがないという侮りからであった。


 このようないくつもの要因が重なり、ドナウリア艦隊はガリアルム艦隊の反撃に対処できずに押されることになったのだ。


 とはいえ、大型の補給艦が10隻増えただけで、ガリアルム艦隊9000隻の補給を劇的に補強出来るわけもなく長時間の攻勢を支える程の余力はない。


「やつらに体勢を立て直す暇を与えるな!」


 フランは攻勢限界ギリギリまで、ドナウリア艦隊に猛攻撃を加え、彼らにサルデニア艦隊への援軍を送る余裕を失わせ、その間に味方にサルデニア艦隊を殲滅させ、今度はドナウリア艦隊を挟撃しなければならなかった。


 その頃、ヨハンセン艦隊とロイク艦隊に包囲攻撃されていたサルデニア艦隊は、800隻までその数を減らしていた。


「ヨハンセン提督、これより作戦どおり我が艦隊は、ドナウリアの後方に向かいます。後はお願いします」


「了解しました。我が艦隊もサルデニアを殲滅させしだい援軍に向かいます」


 ロイクはヨハンセンとそのように通信を交わすと、艦隊をサルデニア艦隊の射程外まで後退させてから、全艦を左に90℃回頭させ陣形を再び横列から縦列隊形に変えて、前進させる。


 そして、フラン艦隊の猛攻を受けながら後退して、戦場を離脱しようとしているドナウリアの背後を押さえることに成功した。

 ロイクは先程と同じように、まずは補給艦と補給を受けている艦を攻撃させる。


「なんとか間に合ったな…。各部隊に連絡、攻勢を緩めて補給への圧迫を減らすようにと」


 フランはロイク艦隊との挟み撃ちが成功して、補給を圧迫する自艦隊の攻勢を緩めさせる命令を出す。それは、フラン艦隊の補給状況も厳しくなっていることを意味する。


(さあ、ここが正念場だな…。敵の司令官が、艦隊のある程度の犠牲を覚悟で、撤退を開始したら殲滅できなくなる……)


 ルイは冷静に艦隊の指揮をしながら、そのような懸念を考えていた。

 ドナウリア艦隊を挟撃しているとはいえ、フラン艦隊もロイク艦隊も補給は万全ではなく、これ以上の攻勢をかけることはできずにいる。


 更に背後のロイク艦隊は1000隻であり、ドナウリア艦隊は5000隻であるために、後方の右側しか押さえられていない。

 ドナウリア艦隊は挟撃を受けて今は混乱しているが、冷静さを取り戻した時にある程度の犠牲を覚悟で退却すれば、半数は撤退を許してしまうであろう。


 そうなれば、本国から当初援軍として送られて、エミニア=ロマーニ星系で待機している9000隻の艦隊と合流するであろう。


 その艦隊が反撃してくれば、数で負けているガリアルム艦隊は苦戦を強いられることになる。


「だが、この敵の司令官ならば、恐らく撤退しないだろう」


 フランの読み通りアーベントロート中将は、撤退するかどうか迷っていた。


 ここで撤退すれば、任務の目的であるサルデニア防衛は失敗し、ガリアルム艦隊には大したダメージを与えられず、更に撤退戦で指揮する艦隊にはかなりの被害が出るであろう。


 そうなれば、生きて帰ったとしても罷免は免れず、無能の烙印を押されるのは確実で、下手をすれば敗戦の責任を問われて処刑もありうる。


 この戦いに自分の名誉と功績を求めてやってきた彼には、参謀のカウン准将による再三の撤退進言を、そのような理由で素直に受け入れることができなかった。



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