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宇宙戦記:Art of War ~僕とヤンデレ陛下の場合~  作者: 土岡太郎
第2章 サルデニア侵攻戦

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ピエノンテ星系の戦い 01


「兵士諸君、前進しよう! 諸君はそこで、名誉と栄光を得るであろう!」


 フランはドナウリア艦隊が、こちらの陣形に併せて敵左翼に展開したのを見ると、すぐさま全艦に前進の号令を出し、正面の敵艦隊に向けて艦隊を前進させる。


 これはドナウリア艦隊に時間を与えないためであり、ドナウリア艦隊は休憩と補給もままならず、なし崩し的に戦いを始めることになった。


 ルイに与えられた旗艦<ベニール>は、船体をネイビーブルーで一部を白で塗装されており、名付けたのはフランである。意味は<祝福する>であり、意味の通り祝福によって、撃沈しないようにとの彼女の願いが込められていた。


 もちろん幕僚から乗員に至るまで男性だけであり、理由は一つでルイに他の女性を近づかせないためである!


 ルイは艦橋の指揮官席に座って、モニター越しに徐々に近づく敵の艦隊を見ながら、遂に始まる実戦での指揮でいや応なく緊張してしまう。


 彼はそんな自分の弱い心を必死に振り払うとして、こう推考して自分を安心させることにした。


(今回の戦いはフラン様の戦略によって、我々のほうが有利なんだ。僕がフラン様やロイクさん、ヨハンセン提督の足を引っ張らなければ、負けることはない…)


 ルイの推考通り、今回の戦いはガリアルム艦隊のほうが有利な点が多い。

 その理由は、戦いが始まれば露見されることになる。


 対峙する両艦隊の距離が2万1千キロメートルに近づいた時、フランは<Destruction(撃滅)>と書かれた洋扇を閉じるとそれを振り上げる。


 そして、2万1千キロメートルになった時、フランは洋扇を振り下ろし、攻撃が届く新型艦に攻撃命令を下す。


「撃て!」


 総司令官の攻撃命令を受けたガリアルム艦隊は、主砲の射程が届く新型艦と砲艦からビーム砲を一斉に放ち、放たれたビームは宇宙空間を光に近い速度で進むと、敵艦の張るシールドに見事に命中した。


 ガリアルム艦隊は、敵艦一隻に対して数隻による集中砲火を浴びせ、エネルギーシールドを一気に削り無力化させると、無防備になった敵艦に無慈悲なビームを撃ち込み文字通り宇宙の藻屑にしていく。


「こちらが一方的に攻撃できる今のうちに、集中攻撃で敵艦の数を一隻でも減らすのだ」


 2万キロまでは、一方的に攻撃できるためフランは敵の前進を阻む従来の面射撃ではなく、一点集中射撃をおこなわせ敵艦の数を減らす作戦を取る。


 フランと諜報部フジュロル准将の徹底した防諜によって、敵の艦が新型艦であることを掴んでいなかったサルデニアとドナウリアは、射程外からの攻撃に反応が遅れた。そして、エネルギーの消耗を抑えるための巡航速度から最大船速にして、ガリルム艦隊との距離を縮めるまでに、全体で数百隻を失ってしまった。


 お互いの距離が約2万キロまで縮まり、交戦距離となった両艦隊は本格的なビームの応酬を始めることになる。


 ガリアルム艦隊の各旗艦は、兵士達を鼓舞するために比較的前衛に陣取っているために、旗艦にもビームは飛んできた。


 旗艦クラスであるために、そのような散発的な攻撃ではビクともしないが、ビームがシールドに当たって、眩しい光を放つのを見ると少なからず乗員は背筋が寒くなる。


 フランは自分の旗艦<ブランシュ>のシールドに攻撃が当たっても、表情一つ変えずに冷静な顔で頬杖をつきながら戦況モニターを見ているが、ルイの旗艦<ベニール>のシールドに攻撃が当たる度に、『あわわわ』といった表情になりオロオロしだす。


 クレールをはじめとする艦橋のクルーは、フランのそのわかりやすい反応を見て、皆こう思っていた。


(ロドリーグ様の事を心配する、恋する乙女の陛下かわいい)


 そして、フランは遂に我慢できなくなり、冷静な表情を装いあくまで<冷静かつ的確な状況判断による命令です>感を出しながら、側に控える参謀のクレールに指示を出す。


「ルイの…ロドリーグ提督の旗艦が、少し突出しているようだな…。少し後退するように命じよ」


 するとクレールは、ゴスロリ姫の擬態を見破って、冷静な表情で諫言する。


「殿下、特に突出しておりません。ロドリーグ提督一人を特別扱いするのは、如何なものかと思います。そのお花畑な頭でもう少し冷静にお考えください」



 フランは、毒舌以外はクレールのほうが正しいとわかっているので、彼女を睨みつけて心の中で”この、鉄仮面参謀!”と文句を言ったあと、すぐに冷静な表情になって戦況モニターを見つめた。


 そのルイはモニターが輝くたびに、肝を冷やしながら攻撃の指示を出し続ける。

 艦隊戦による戦闘が始まって、20分で戦況が動き始めた。


 左翼のドナウリア艦隊は、最初の集中攻撃で200隻近くを失ったとはいえ、まだ5800隻近くあり、対するフラン艦隊は4500隻であり、数で劣るフラン艦隊は少しずつ押され始める。


 ドナウリア艦隊司令官ゲラルト・アーベントロート中将は、数的優位を活かして自艦隊を左翼方向に伸ばして、フラン艦隊の右翼を包囲しようとしてきた。


 だが、それにいち早く気付いたフランは、後詰めのロイク艦隊に援軍を要請しようとすると、彼の艦隊から500隻ではあるがすでに援軍が向かってきている。


 ロイクはその乗艦である旗艦<エクレール>の指揮官席から、戦況を見ていると敵左翼のドナウリア艦隊が、陣形を左翼に伸ばそうとしていることに気付くと、新たに自分の参謀となったモーリス・ゲンズブール大佐に指示を出す。


「ゲンズブール大佐、分艦隊司令官の軍曹… ワトー代将を呼び出してくれ」

「はっ!」


 モーリス・ゲンズブール大佐は30代で、口髭と顎髭を生やしたベテランの精悍な軍人である。


『童の者』でもあり、少し『陰の者』でもあるロイクは、その見た目とまだ間がないことも相俟って、正直ゲンズブールを少し苦手としていた。


 ロイクは呼び出したワトーに任せている500隻で、フラン艦隊への救援を命じると再び戦況を映し出すモニターを見ながら、戦況を見定めて自分の出番を待つことになる。


 彼の旗艦<エクレール>は<稲妻>の意味であり、それは彼が反乱軍討伐戦で見せた<稲妻>のような機動戦術から名付けられており、その船体は黒で塗装されている事から、彼はその機動戦術とで後に<黒い稲妻>と渾名されることになる。


 因みに<エクレール>が黒で塗装されているのは、『陰の者』は無難な『黒色』が好きだからであり、彼の普段着も黒が多い。


 あと彼の幕僚と乗艦の人員は、ルイと同じで全て男性であり、その理由はフランによる『陰の者』で女性が苦手な彼への『思いやり』であり、決して単なる『嫌がらせ』ではない……




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