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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界転生した俺が出会ったのは、死ぬ前に告白をした幼馴染でした。

作者: しらべ

思い付きで書いてしまったので、かなり殴り書き気味です。

誤字などありましたらご指摘お願いします。

 いつもの通学路。


 俺は幼馴染の由羅 廻(ゆら めぐり)と共に帰路についていた。

 黒髪のポニーテール。十年以上見てきたけど相変わらず可愛いなこいつ。


海璃(かいり)また告白されたの?」


 廻は隣を歩きながら、今日学校で噂になっていたことを話し始めた。

 まぁ噂というか事実なんだけどな。


「そーだよ。告白された。断ったけどな。」

「ふーん…そっか」


 そう言うと、少し安心したように「ふぅ…」と一息ついた。


「なんだよ。今回も大好きな幼馴染がとられなくて安心したか?」


 そうからかうようにいってやると、面白いくらいに顔を真っ赤に染めている。


「う、うるさい!別に好きじゃないし!」

「出たよ。廻のツンデレ…」


 わざとらしく頭を抱えてみる。


「本当海璃嫌い!ほんと、こんなに性格が悪いアニメヲタクのどこがいいんだか…」

「おい悪かったって。そんな怒んなよ…ってか、アニヲタは撤回しろよな?アニメは文化だぞ!」

「性格が悪いのは認めるんだ」

「まぁずっと俺のことを見てきた廻が言うならそうなんだろうな」


 これは正直な感想だった。


「そうね?伊達に十年以上の付き合いじゃないし…」

「俺もそろそろ彼女作らないとな?」


 チラっと廻の事を見てみるとこの世の終わりのような顔をしている。


「ふんっ。勝手に彼女作ればいいじゃないっ」

「俺が何回告白されても、断ってる理由にそろそろ気付いてほしいな」


 なんで廻の気持ちを確かめようとしてるんだ。

 自分で告白すればいいじゃねぇか。

 本当に俺って性格悪いんだな。


「そ、それって…」

「さぁ?」

「意地悪…」

「これは俺から言わないとだめだよな。好きだ廻。」


 またも顔を真っ赤にしてフリーズする廻。

 可愛いな。やっぱり。


「な、なんでいきなり…からかってるの?」

「からかってない。ふざけて言わねぇーよ。こんなこと」

「ふーん。ずっと私の事好きだったんだ。へぇー?」


 彼女は数歩前へ行き、振り返り微笑んだ。


「な、なんだよ…」

「私もs…」


 俺がずっと望んでいた言葉が聞けそうな瞬間。







 彼女の斜め後ろから猛スピードで鉄の塊が近づいていた。

 それは明らかにこっちに向かって来ていた。


「廻ィィ!!」


 咄嗟に身体が動いた。

 全てがスローモーションのように見える。

 俺は持てる最大の力で廻を突き飛ばした。








「良かった…」





 俺は自然と廻に向かって微笑んでいた。







 一瞬の轟音と、鈍い音。

 俺の身体は宙を舞った。


『ドサッ…』


 静寂に包まれた街角に響いたのは…叫び声と俺を呼ぶ愛しい声だった。


「海璃っ!!!!!」


 もう体の感覚はない痛みすら感じねぇ…

 顔の辺りが生暖かい。これ俺の血か。


「海璃!海璃!」


 泣き叫びながら近づいて来る廻に視線を向ける。


 もっと廻と青春っぽいことしたかったな。

 二人で買い物したり、今だったらタピオカとか飲んでみたりさ?

 江の島なんかもいいかもな。


 くそ…こんなとこで死にたくねぇよ…


 俺の顔を覗いて泣き崩れる彼女。

 本当だったら今頃二人で笑って帰ってるはずだったのにな。


「ぁ…ぅ…」


 もう声は出ない。やっぱり死ぬんだなこれ…


「か゛い゛り゛…わ゛た゛し゛も゛す゛き゛ぃぃぃ…」


 そっか。両想いだったんだな。俺達。


 それが聞けただけでも嬉しいよ…


 最後の力を振り絞り俺は微笑み頷いた。














 ♢♢♢♢♢♢♢♢



「め…ぐ…り…」


 目を覚ましたのは知らない天井だった。

 俺は車に轢かれて…


 って体が小っちゃくなってる!?


 外を見ると長閑な森の中。


「異世界転生でもしたんか…俺…」


 身体は五歳位。顔は小さい頃の俺にそっくりだ。


「ユイおはよう。」


 振り返ると綺麗な女性が立っていた。


「お母さんおはようっ!」


 そう口走った瞬間に頭の中にこの世界での五年分の記憶がなだれ込んできた。

 俺はこのハヴダット王国の辺境の村に住む男の子のようだ。

 そして目の前に立っているのはユイの母親のアイラ。


「ユイ~!」


 アイラの後ろから俺と同じくらいの金髪の美幼女が出てきた。


「おはよう。アリシア」


 そのまま俺に抱きつき頬擦りをする。

 なんか妹のようにしか見えねえな…現実にはいなかったけどな。

 この子はユイの幼馴染のようだ。


「ユイ?アリシア?教会へ行きましょうか?」

「「はーい!」」


 この日から俺はユイとして生きていくことになった。






 ♢♢♢♢♢♢♢♢


 異世界転生してから十二年。


 俺は元居た世界と同じ年齢になった。

 あれからこの世界の生活にもすぐに適応していった。


 未だに海璃としての俺が死んだ日のことが夢に出てきて思い出す。


 同じ時間の流れだったら海璃は二十九歳か。おっさんだな。

 廻と結婚して子どもの一人や二人いてもおかしくないな。


 ユイとしての俺は神童と呼ばれ、多属性の魔法を操り剣術にも長けているとかいう転生特典モリモリのチート設定だった。


 今は村を出て王都の学園で勉学に励んでいる。


「ユイー!」

「アリシア今いくよ」


 今日は休日で、同じ学園に通っているアリシアと共に買い物に行く約束をしていた。


「今日は新しい魔道具を買おう!」

「この間も買って、派手にぶっ壊してたじゃねぇか…」

「いいの!ウェルさんのお店へレッツゴー!」


 ウェルさんとは魔道具店の女店主で、いろんな国の使えなさそうな魔道具を取り寄せ売っている。

 魔道具ヲタクのアリシアと意気投合し色々と格安で売ってくれるいい人だ。


「今日はいいのあるかな~」


 スキップしながら街中を進むアリシアを横目に、俺は何処か懐かしい香りを感じた。


「ん?」

「ユイ?どうかした?」

「なんか懐かしい香りがする。」

「香り?フルーツ?」

「いや…これは…」


 恐らくこの世界の香りではない。

 海璃が居た世界で感じた香りだ。それもよく香っていた匂い。


「き…金木犀か?」

「キンモクセイ…?」


 金木犀の香りは、よく廻が好んで纏っていた香りだ。

 俺も大好きだったな…


 耽っていると、ふと涙が出てきた。


「ユイ…泣いてるの…?」

「アリシア悪い…忘れ物したから先に行っててくれ」

「わかった。早く来てねっ」


 心配そうに振り返り俺の様子を見るアリシアが見えなくなると、俺は聴覚と臭覚を魔法で拡張して周りを探し始めた。


[い、いや…やめて…]

[変な服着てんなこの女。奴隷市場にでも流すか?]

[助けてよ…海璃…]


「海璃…だと?この匂いやっぱり廻か!?」


 俺は走り出してその声が聞こえた路地裏に飛び込んだ。


「てめぇら何してやがる!」


 そのまま両手に下位風魔法のウィンドを纏い屈強そうなチンピラ二人を吹き飛ばした。


「な、学園の生徒かよ!逃げるぞ!」

「お、おい待ってくれ!」


 吹き飛ばされた二人は制服を見るや否や逃げていった。


「か…海璃!?」

「うーん…今は海璃ではないかな~ハハ…」


 十二年ぶりに見た幼馴染は変わらず愛おしく、顔は少しやつれているが制服がよく似合っていr…


「廻…なんで制服なんかまだ着てんだ?」

「なんでってまだ学生なんだから当たり前でしょ?」

「いや…俺が転生してから、もうこの世界は十二年たってんだよ…」


 俺はこの世界の事情とこれまでの俺の事を説明しながら、廻を連れ寮の俺の部屋へ迎えた。


「で?廻はいつの時代から来た?やっぱり俺が死んだ後か?」

「うん。海璃の命日から二週間後くらいだったかな…」

「そっか。悲しませたな…」

「ううん。あの時助けてくれてありがとう」


 彼女は思い出してしまったのか泣き崩れてしまった。


「もう泣くな廻」

「でも…私が前に出なかったら…」

「もしもの話をするな。俺達はまたこうして再会できてるだろ?」

「うん…でも中身は海璃だけど今はユイとしての人生を歩んでるんだよ?」

「それでも中身は俺だ。海璃もユイも同じだ。実際十二年会えもしない幼馴染の事ずっと想ってたんだからな…」

「ふふ…本当馬鹿ね?」

「うっせ。」

「でも私も大好き。また会えて嬉しい。夢じゃないよね?」

「俺も信じられないから互いの頬っぺたつねって見るか」

「そうね…」


 俺達は互いに向かい合った。


「「せーの」」


 そして同時に手に力を入れた。


「いてててて」「いったーいっ!」


「ふふ…」

「夢じゃなかったな?」

「そうだね…本当にまた現実で会えるなんて…」

「場所は非現実的すぎるけどな」

「ほんとだねっ」


 彼女は優しく微笑んでいる。


「さて、廻はこれからどうすんだ?」

「どうするもなにも…」

「まぁとにかくこの世界の服に貸すから出掛けよう」

「なんか案でもあるの…?」

「ちょっとな」



 世界と時間を超えた俺たちの想いはやっと繋がり始めていた。

 ここから俺と廻の異世界での生活が始まる。












少しでも良かったと思って頂けたらブックマーク、評価、感想をお願いします。


初の短編でした。反響がある程度あれば連載候補に入れようと思います。


連載中の小説もよろしくお願いします。今回もありがとうございました。

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