02.ファーストフード店にて
「なんで連れて来たんだよ。さっきから何もしゃべらないじゃん」ミドリが不満をもらす。
「少しずつだよ。慣れてくれば喋ってくれるよ」
「別に喋ってほしいわけじゃないけど」
2人がアズサを見ると、こちらを気にする様子もなく黙々とハンバーガーとポテトを食べていた。
ミドリがわざとらしく溜息をつく。
アズサは手を止め、顔を上げた。
ミドリは少し驚いて目を丸くする。
アズサはミドリとハルを一瞥するとすぐに食事を再開した。
ミドリはまた溜息をつきハルを見て肩をすくめた。
ハルは苦笑いを浮かべた。
「アズサはハンバーガー好きなんだね」
アズサは食べながら頷く。
ミドリはチラッとハルを見る。
「俺も好き。野菜がいっぱい入ってるやつが1番好きかな。アズサは?」
「……チーズバーガー」
普通だな、と呟くミドリの横腹に間髪を入れずに肘打ちが入る。
ミドリは悪態をつきながらハルを睨んだ。
アズサは食べながら2人を見る。
「何で俺に構うの?」
「別にお前にかま…」肘打ちが入る。
「アズサと友達になりたいからだよ。ダメかな?」
「……」アズサは目線を落としたまま食べ続ける。
ミドリが何かを言いかけたがハルがそれを遮る。
「別にいいけど」
「別に…⁉︎」ミドリは言いかけて苦痛に顔を歪ませた。
テーブルの下でハルがミドリの腿を思い切りつねっていた。
「ありがとう。これからよろしくね。アズサ」
アズサは小さく頷いた。