三度目の正直
眼が覚めるとベットの上だった。
もうわけが分からない。
今までのは全て夢だったのか?なんて思いたいがそうではないのが現実だ。……現実感は皆無だけどね。
それは私がいまいる部屋を見れば一目瞭然だ、こんなお洒落な部屋に私は住んでいない。
私が寝ている部屋は分かりやすく言ってしまえば、アジアンテイスト部屋である。
木材で作られたローベットから上半身を起こし、大きく伸びをする。
木で作られているブラインドから差し込む光がほどよく私を包み込む。
非常に心地よい。
「……もう何が何だが訳がわかないけど、この部屋はきっっと天国ね」
窓から流れてくる心地よい風とウインドチャイムが心を落ち着かせる。
おっさんに突き落とされるのも、美少年に切り殺されるのも、このひと時を味わうためだと思えば……いや、マジで私はどうなってるの?
「――この部屋を気に入りましたか?」
広いリビングの先にあるドアが開くとともに、どこかで聞いた声が届いてくる。
「あ、あなたは……!」
その人はゆっくりと私のベットの近くまで来て、右手を胸に当てて頭を少し下げる。
「はい、貴方を殺した者です」
金髪オッドアイのアニメみたいな美少年はにっこりと笑顔を浮かべながら、そう答えるのだった――。
初めて会った時と変わらずな態度に面を喰らいながらも、重い口を開ける。
「……また私を殺すの?」
自分で言っておいて馬鹿な質問だと重々承知している。
傍から聞けば「ゲームのやりすぎ」と言われるだろうが、このわけのわからない状況を一区切り整理するためには聞かないといけない。
美少年は少し困った顔を見せた後、その場に跪き、私の眼をジッと見つめる。
綺麗な青と黄の双眼がゆっくりと瞼を閉じる。
「――いえ、そのようなことはもう致しません。理由があるのです。貴方が聞きたいことを全てお答えしますので、其方も出来る範囲で教えてください。――私も知りたいことがたくさんある」
「ええ、わかった……。早速だけど貴方は何者なの?」
「私は転生者狩りのガリスといいます。違う世界からやってきた転生者を狩る者」
淀みなく、はっきりとした口調でガリスはそう言うのだった……。