プロローグ
初投稿ですが頑張っていきます。なるべく定期的に出していこうとは思いますが定期的に出せない時もあります。
一週間に一回か二回更新していきます。
それではどうぞ。
恐らく世にも奇妙とはこういう意味なのだろう。
何故か?
それは、先程まで日本の東京の秋葉原にいた俺が、こうして中世ヨーロッパ風の家々が立ち並ぶ場所に来ているのだから。
それは、東京とはかけ離れた場所であった。
俺は生まれてこのかた海外旅行なんかにはいった事はないし、それどころか不甲斐にさえ出たことがない。なぜそんな俺がこんなところにいるのか?
ラノベを読みあさっている俺が導き出した答えは唯一つ、
「異世界に来たんだよなぁ」
そう、恐らくこれは異世界であるもっと言うとこれは異世界転生の死んでないパターンだろう、いや、それはもう異世界転移だろう。
「なにすりゃいいんだよ?」
俺がそうぼやいていると、後ろからドンと何かがぶつかってきたのだ。
「っつ」
「あぁ、ごめんなさい!大丈夫ですか?」
フードを目深にかぶった少女だった。
「あぁ、うん大丈夫なんだけど。こっちこそごめんね、道の真ん中でボぉっとしてた」
すると少女は「いえ、大丈夫です。怪我もないようなので私、行きますね」といい、去っていった。
「あ、ちょっと待って」
彼女は俺が言い終わる前に足早に去っていった。
「はぁ、折角話しかけるチャンスだったのに」
榊佑磨引きこもりというほどではないが、高校中退後ろくに働きもせず、秋葉原に篭っているような人間だった。
無論、人ともあまり話さず生きてきていたためコミュ症である。
見知らぬ人と話すなんて無理、絶対。
だってあれだよ?話しかけた瞬間包丁を胸に突き刺されるかもしれないんだよ?
よって無理、天変地異が起こっても無理である。
「ふぅ、とりあえず歩いてみるか」
現在持っている持ち物は、財布(七千六百三十二円)、リュックサック、乾パン三袋、水(軟水)、だけである。
「頼りねぇな、これだと生きれて五日間といったところか?」
トボトボと街を歩きながら俺は幾つかたことがあった。
まず一つ、これは当たり前だが日本円は使えないということ、そしてこの国の通貨はリルカというものが使われており、硬化が主流である。
そして二つ目、これは最初に会った少女で気づいたことだが、日本語は通じる、がしかし店先の文字を読めないことから、文字は違うということ。
今築けているのはこの二つである。
「正直、わかっていることがあたりまえすぎるな」
どうしようもない現実にため息ばかりが口から漏れる。
「まずは資金集めだな」
宿を取ろうにも金がないため下宿することすらできない。
「人に聞くしかないか」
そこらを歩いている人に聞くのは難易度が高すぎる。いつ刺してくるかわからないからな。
じゃあ店の店員に聞いてみるのはどうだろうか?それならまだ難易度は下がるだろう。
「よし」
決意を固め恐る恐る店に近づき、
「おっちゃん、この国で金を稼ぐにはどうしたらいいんだ?」
と聞いてみた。
しかし実際には、
「おおおおおおっちゃんん?こ、こここここの国できゃねをか、稼ぐにはどどどどどうしたらい、いいんぢゃすか?」
となっていただろう。
何故かって?おっちゃんが、
「この国の人じゃねぇのか?俺は他国語なんて話せねぇからな、帰ってくれ」
そして、しっしとばかりに手を振り俺を店から追いやった。
ふらふらぁと、人気のいない路地に入り一番奥でへたぁと座り込んだ。
「どうしようかなぁぁぁ」
息を全て吐き出し心を落ち着かせようとした。
ピリリと乾パンの袋を破りバリバリと食べる。
そして、水で流し込み喉の渇きを潤す。
ひんやりとした空気の中、何十分たっただろうか。
路地の入口から人が入ってきた。
「誰だ?」
声を潜め、影に隠れると片足を地面につき入ってきたものを確認しようとした刹那。
後ろに気配を感じたのだ。
「なっ!?」
咄嗟に後ろを振り返ると口を抑えられ床に押し倒された。
――ゆ、床ドン?いや、そうじゃなくて。
「むほほ!ははへほ!(やめろ!はなせよ!)」
「し、静かに!」
――あれ?この声どこかで聞いたことがある気が……?
手で無理やり口を覆う手をどけようとするも力が強すぎてどけることができない。
――声的には女の子だ。なんでこんなに強いんだよ!?
――あ、やばい、鼻まで塞がれてるから息ができな い 。
そこで俺の意識が途切れた。
リルカといったこの世界独自の通貨やその他のことについては今後本編で説明していこうと思います。