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(仮)ダンジョンと異能  作者: KB
訓練用ダンジョン F級
1/1

1話

 2282年4月8日午前9時30分。

 世界各地に点在する国際的冒険者教育機関――通称『冒険者アカデミー』の入学式が、ビック・ベン跡地に聳え立つ世界樹の鐘の音と共に開始された。


 冒険者。

 今からおおよそ200年前に世界各地に突如として発生した謎の孔――ワームホール。

 その孔と共に世界各地に現れた謎の力を持った人間――異能力者。

 端的に言えば、そのワームホール内にあるダンジョンに潜る異能力者の事を世界の人々は冒険者と呼んだ。


 今から150年前、異能力者の数が増えるに遵ってダンジョンの攻略は加速度的に進み、世界の科学技術・生産技術・医療技術などのおおよその技術は、それまでのものとは比べ用もないほどに発展し世界は成長期へと突入した。

 だがその一方で異能力者、いわゆる冒険者たちの未帰還者数は攻略速度と比例するかのように増加していった。

 その影響から、数十年もしない内に世界は停滞期へと入ってしまう。


 しかし、今から100年前、一人の男が偉業を成し遂げてから世界は第二の成長期へと突入することとなる。


 男の名は――ハミル・レーン。


 『無敗』の異名を持ち、世界でただ一人の難易度SS――最高難易度のダンジョンを単独(・・)制覇した伝説の男。


 出自、学歴、国籍、能力。

 その全てが不明な謎に包まれたその男がダンジョンから持ち帰ったものが、世界を大きく変えるきっかけとなった。


 世界樹の苗木。


 今なおビック・ベン跡地に聳え立ち、世界にその偉大さを知らしめているその大樹の苗木こそが、世界に第二の成長と発展を(もたら)すこととなった。


『その葉は万病に効き、その枝は万物に影響をもたらすだろう』


 その苗木を持ち帰ったハミルが世界に向けて発信した言葉だ。


 その言葉に偽りはなく、数年で天高く成長した世界樹は世界中の人々の守り神となった。


 更にはハミル自身も最高難易度のダンジョン攻略と共に引退を発表し、後進の育成に励むことを宣言。

 その後、引退を惜しまれながらも世界各地に冒険者予備学校を作り、同じように引退していた古参の冒険者たちをその余りある資産で雇い、冒険者たちの未帰還率及び死亡者数の激減へと力を貸した。


 それから100年、たった一人の男がもたらした第二の改革は今もまだ続いている。


 その最たるものが冒険者アカデミーとDR――ダンジョンランキングの存在だろう。


 DR――ダンジョンランキング。

 ダンジョン攻略数、難易度別帰還数、討伐個体数、討伐モンスター。

 この4つの項目からなる累計ポイントによって世界中の冒険者たちはより安全にワームホールへと足を踏み入れることが可能となった。


 このシステムもまた、ハミルが死の直前に仲間たちと共にダンジョンから産出された技術をもってして作り上げたギミックだ。


 そうして、冒険者とは一人の英雄の誕生によって世界に変革をもたらす開拓者として人々から愛されることとなった。


 そんな冒険者の雛たちが今日、偉大なる英雄が残した軌跡を塗り替えるために冒険者アカデミーの門を開いた。





『――――えぇ、以上で私の話は終わりにさせていただこうかな』


 檀上に立っていた初老の男性が、自分の目の前に並んで座っている300人余りの少年少女たちに元から細いであろう目をことさら細くしながら微笑みかけ、一礼してから自分の席へと戻った。


『起立、礼』


 進行役の女性が新入生たちにそう言い、一糸乱れぬお辞儀が起こったのち新入生たちは静かに元の席へと座る。


『では、ここで特別ゲストをお呼びしたいと思います』


 進行役の女性がそう言うと300人近くの人々の囁きがホールに響いた。


「まだ何かあるの?」


「パンフに書いてたか?」


「ないない、この後はクラス発表ってなってる」


「なんだよ、まじで」


「長いよねぇ~」


「そうだねぇ」


 9時30分に始まった式も11時を回り、まだ年若い少年少女たちの集中力が切れかかってきた頃に彼らはやって来た。


『では特別ゲストの方々をお招きしたいと思います!』


 今まで淡々と司会進行を行っていた女性が声を張り上げながらホール後方に位置する両開きの扉を指し示したことで、新入生のみならずホールの脇に並んで立っていた教員達も興味深げにその扉に注目した。


 そして、扉がゆっくりと音を立てながら開いていくのに合わせて、女性は一層熱のこもった声を出して扉の向こうに存在する人物の紹介を始めた。


『お招きしたのはこの御二方! 一人は、ここ東京アカデミー出身にして現トップランカーの籐堂(とうどう)様! そして、もうお一方はその付き人にしてこちらも同じく東京アカデミー出身で現トップランカーの早見(はやみ)様! ダンジョン攻略最中(さなか)にも関わらず、今日この日、ここ冒険者アカデミー・東京支部の入学式に足を運んでいただくことができました!』


 進行役の女性が興奮した口調で捲し立てるように言ったその言葉に、ホール内は教員から新入生まで、1人残らず水を打ったような静けさに包まれた。


 そして、先ほどまでのざわめきが嘘のように消え去ったホール内に、両開きの扉の向こう側から一組の男女が姿を現した。


「面倒だなぁ、無駄に長ぇんだよこの式典」


 そうぼやきながらレッドカーペットを堂々と進むのは、赤黒い染みの付いたTシャツにくたびれたスーツを着、咥えタバコをした目つきの鋭い30手前だと思しき男性――籐堂(とうどう) 賢吾(けんご)


「何度同じ事を言えばわかるのですか……」


 もう一人は、額に手を当て疲れ切った声を出し、それでも男の半歩後ろを凛とした態度のまま歩む、つややかな黒髪を背中まで伸ばしその背に長弓を背負う20代前半のスーツ姿の女性――早見(はやみ) 飛鳥(あすか)


 ほんの少し前まで熱狂的に二人の紹介を行っていた女性も、この二人がホールに足を踏み入れた瞬間からその他大勢へと変わってしまっていた。


「ぉ―――」



 ――おおぉぉぉぉおおおオオオオ!!!!!!!



 轟音。

 まさにそう表すにふさわしい程の人々の歓声が、カーペット進む二人を中心にして沸き上がった。


「おぉ、おぉ。元気があるなぁ」


 片手をポケットに突っ込みながらタバコをふかす籐堂を見て、早見は小さく尋ねた。


「嬉しいじゃないですか、こんなにも喜んで貰えるだなんて。来たかいがありましたね、籐堂さん」


「馬鹿言え。ほんとなら今頃ぐっすり寝てる頃だってのに、あんの爺、無茶言いやがって」


 片や嫌々、片や嬉々と、全く対照的な心情をした二人はカーペットを進み終え、壇上手前の進行役の女性の前まで進んでいた。


「で? どうすりゃいいんだ?」


 籐堂がぶっきらぼうに女性に尋ねると、二人に気おされていた女性が慌ててマイクを差し出して言った。


「ひゃ、ひゃいっ! な、何か一言だけでもいただけませんか、籐堂様っ!」


 籐堂に声を掛けられて真っ赤になって俯き、上目遣いで請う女性。

 そんな女性を籐堂の後ろに控えていた早見が目にした瞬間、面白くなさそうな顔で横からマイクを掻っ攫って言った。


「籐堂さん、私から挨拶をさせて貰いますねっ」


 そう言って心持ち足早に壇上に登っていく早見を見て、籐堂は一つ溜息をついた。


「はぁ。この程度で嫉妬してんなよ、ったく……」


 そんな籐堂の呟きを聞くことのなかった早見はマイクを片手にそのまま壇上に上がり、一呼吸おいてから眼前の新入生たちに微笑みかけながら喋り始めた。





『えぇ、皆さんこんにちは』


 早見がそう話し始めるのと同時にホールは一気に静まり返り、これには早見も苦笑せざるを得なかった。


『ふふ、そんなに緊張されなくても大丈夫ですよ?』


 にこりとはにかむ早見を見て、前列の新入生は男女問わずトリップしてしまっていた。


『先ほどもご紹介に預かりましたが、改めて自己紹介を』


 マイクを目の前にあった支えに戻し、左胸に手を当て優雅に一礼した早見の姿は否応なく人を引き付ける何かがあった。


「DR世界第58位、『鷹鳶(たかとび)』の早見(はやみ) 飛鳥(あすか)。以後お見知りおきを」


 そんな短くも後方まで響くような凛とした声音で挨拶をした早見に、ホール内の、特に新入生たちは思わず生唾を飲み込んだ。


 挨拶を終え頭を上げた早見は、支えからマイクを外してホール内にいる全ての人を見渡したのち、話を進めた。


『さて、挨拶、と言われたのですが、私のようなほんの数年前まで皆さんと同じようにここで授業を受けていた身としては、あまり偉そうなことを言えた義理ではないようにも思えてしまうんですよね』


 そう言って早見は少し困った風に目尻を下げながら笑った。


『でも。そうですね。一つだけ言わせてもらえるのなら「死ぬな。死ななきゃ誰かが何とかしてくれる」……ですかね?』


 ちらりと籐堂の方を見ながら話を始めた早見を見て、籐堂はふかしていたタバコを自らの影に喰わせながら腕を組み、顎をしゃくって続きを促した。


 それを横目で確認した早見は遠くを見つめながら話を再開した。


『えぇっと、これはまだ私が世界を知る前、どうしようもないほど驕っていた頃の話なんですけど。私、紹介にもあったようにここの卒業生でして……。あぁ、今もまだあの頃の先生方はおられるみたいですけど』


 そう言いながら早見はホール内の人々に視線を戻し、何人かの教員を見て会釈をした。


『結構その頃から英才だの秀才だの言われていたんですよ』


 早見のその言葉に何人かの教員が苦笑いをしながら会釈を返した。


『それでですね? 卒業前にあった試験でも歴代トップクラスの成績を残しちゃいまして、ますます天狗になったまま外の世界に出ちゃったんですよね。それこそトップランクなんてすぐに塗り替えてやろう、的なね?』


 弱弱しくほほ笑んだ早見を見て、新入生たちは例外なく息を呑んだ。


『まぁ、今ではどれほど馬鹿で愚かであったか身に染みて分かるんですけれども。当時の私は、まぁ大層な自信家でして、人の話を、あろうことか先達たちの話すらも聞かずに馬鹿をやらかしたんですよ』


 少しばかり強張った笑みを浮かべながら、その当時を振り返るかのように早見は話す。


『その結果が大失態。私だけでなく多くの人たちに迷惑を掛けて、その上大損害まで出して、当の本人は死にかけで病院のベットの上、おまけに私が出した被害の全てはある方が治める始末』


 早見の話を聞いていた新入生たちは、もう既に一字一句逃すまいと前のめりになって話を聞いていた。


『それでですね? 私が目を覚ました時には全てが終わっちゃってて、いつも通りだったんですよ。迷惑も損害もなかったみたいに。いいや、実際なかったんでしょうね、あの人の影響力ならそう難しい事ではないですし』


 この頃には新入生だけでなく教員達も興味深げに早見の話に聞き入っていた。


『そして、私が目を覚まして数日が経った頃に、その人が見舞いに来たんですよ。その人も他の人と同じように何も無かったかのように。その時点で私は我慢の限界が来ましてね、その人に言ったんですよ「なんでこんな失態を犯した新人にここまで構うんですか!」ってね? そしたらその人なんて言ったと思います?』


 少しの茶目っ気を含んだ言い回しで早見は新入生たちに問うた。


「気にするな。とかですか?」


「新人は失敗するもんだ。とかかも」


 口々にそう返してくる新入生たちを見て、早見は思わず笑顔になった。


『ふふ。そう思うでしょう? でもね、その人はこう言ったんですよ「ぶっははははっ、てめぇはハミル・レーンにでもなったつもりか」ってね』


 早見がそう言ったのに対し、新入生たちは首を傾げて唸った。


『分かりませんよね? でも続きを聞いたらストンと理解できたんですよ。その人はね「全盛期、難易度SSのダンジョンをクリアした我らが英雄ハミルはその偉大なる功績から『無敗』の称号を与えられた。でもな、勘違いすんじゃねぇぞ、この『無敗』ってのは『負けず、敗れず』ってことじゃねぇ『己が力で敗を無くした』からこそつけられたあだ名だ」って話してくれましてね?』


 分かりますか?と暗に尋ねるような態度で早見は話を続けた。


『「てめぇはそんな自分一人でなんでも出来たハミル程の力や才能があるのか?」って、更には「そんなハミルでも晩年は人に頼らなきゃここまでのものはできてねぇんだぞ」って真っすぐ目を見ながら言われましてね、その瞬間「あぁ、あの『無敗』の英雄ですら自分の限界を受け入れたのに、私はなんて傲慢で浅はかだったんだろう」って思い至りましてね。思わずその人に泣きつこうとしたんですよ。でもね――』


 そう言って息を飲み込んだ早見を見て、籐堂だけは静かに耳を塞いだ。


『その人、その後後ろを向いてなんて言ったと思います⁉ 「まぁ、馬鹿やった新人を慰める常套句なんだけどな、これが。あっはっはっ。引っかかってやがる、ふぅ~、ひゃっひゃっひゃ」って‼ そう言ったんですよ⁉ 落ち込んでいた新人を励ましに来たんだと思っていたら、ただ笑いに来ただけ‼』


 ふぅ~、ふぅ~と耳が痛くなるほどの大声でまくしたてた早見を見て、誰もが呆然と口を開けながら頷いた。


『すいません。ちょっと取り乱してしまいましたね』


 いや、全然ちょっとじゃ。というツッコミは惜しくも全員が胸の内にしまい込んだ。


『その言葉を聞いた瞬間に、後少しという所まで迫っていたその人の体を突き飛ばしましてね、出かかっていた涙も跡形もなく引っ込んで、怒鳴り散らしたんですよ。「ふざけるな‼︎ そんなに私をからかって面白いんですかっ‼︎」ってね』


 誰もが、まぁそりゃそうなるわ。という共通の思いを抱きながら話は進んでいく。


『そしたら、その人は「おぉ〜、怖い。怖い」なんて笑いながら病室を出て行こうとしましてね。私は「もう二度とくるな‼︎ このスカポンタン‼︎」ってその背中に言ったんですよ。でもね、その人が病室を出る瞬間にこちらを振り返りって「まぁ、死ななくて何よりだったよ新入り。死ななきゃ、誰かが何とかしてくれる。俺にしろ、他の奴にしろ、な」って私の目を見てそう言ったんですよ。そして、今度こそ本当に背中を向けて「だから、頼れ。頼って頼って出涸らしになるまで頼り尽せ。お前程度背負えねぇで何がトップランカーだ」って、もう何が何だか分からなくなっちゃって、涙が止まらなくなってて』


 そう言って、涙目になって語る早見の姿を見て、幾人かの新入生や教員たちも涙を浮かべていた。


『その時ようやく分かったんですよ。「この人は使い回された慰めの言葉を言いに来たんじゃなくて、本心から私の死を心配してくれてたんだ」って。そして同時に「なら、私を救ってくれたこの人を頼ろう。いつかこの人の隣を歩けるように。そして後から来る私のような子を救えるように」って決意して。それで、まぁここまで成長することができたんですけれど』


 そこで早見は改めて姿勢を正し透き通る声で言った。


『要は何が言いたいのかって言うとですね、「貴方達は一人じゃない。いつも誰かがその影を見てくれている。だから、死を恐れるのではなく、後悔を恐れてほしい」ということを言いたいと思います』


 一本芯の入ったその堂々たる佇まい。

 凛然としたその態度。

 心の奥底まで染み渡るような滑らかな声色。


 ホール内はすでに早見の独壇場だった。 


『死は覆らないものかもしれない。でもね、死であればその後に思いを託していくことはできます。だって貴方達が進む道の先には私たちがいるのですから』


 両腕を大きく広げ、人々の意識を集中させて早見は締めくくるように続けた。


『ですが、後悔だけは死ぬその時まで己を縛る鎖となって永遠に心を蝕み続けます。ですからどうか皆さん、決して一人で抱え込まないでください。「死ななきゃ、私たちが何とかしてみますから」――ね?』


 そう言って片目をつむりながらお辞儀をして、手に持っていたマイクを支えに戻して挨拶を終えた。


「以上で私からの挨拶とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました」



 ――パチ、パチ。


 ――パチ、パチパチパチ!!!!



 教員も新入生も皆一様に立ち上がり早見に惜しみない拍手を送った。


 それほどまでに早見の話は自らの戒めとなり、全員の心に強く残ったのだ。


 そして、壇を降り籐堂の前まで戻ってきた早見は得意げな顔で籐堂に話しかけていた。





「どぉ~です、籐堂さんっ。私もちょこっと気合を入れればこの位は出来るんですよ? 褒めていただいてもいいんじゃないですか?」


 ニマニマと頬を緩めながら迫ってくる早見を見て、籐堂は頭を掻きながら言った。


「あぁ~、悪ぃな。後半うるさくなりそうだったんで耳栓してたわ」


 そう言って自分の耳から耳栓を捻り出している籐堂を見て、早見は開いた口が塞がらなくなっていた。


「はぁっ――!?」


 そしてそのまま早見の横を通り抜けて籐堂は壇上に上がっていってしまった。





「あぁ、てめぇら、俺は一回しか言わねぇからよ~く聞いとけよ」


 のろのろと壇上に上った籐道は、マイクも持たず、その手はポケットに入れられたままでけだるげに話し始めた。


 だというのに、ホール内にいる全ての生き物(・・・)は例外なく言い知れぬ圧迫感に襲われていた。


「(籐堂さんっ)」


 早見だけは、これが籐堂がダンジョンに潜るときに見せている純粋な戦意だと知っているがゆえに何とか堪えられていた。


 常人であれば数秒と持たぬ籐堂の戦意。

 曲がりなりにもこれに耐えられているのは、己にトップランカ―としての意地と才能があるが故。


 だからだろうか、籐堂の意図は分からなくとも、何か大変なことをしでかすのではないかということは長い付き合いの中で十分に悟ることができた。


「俺の名前は籐堂(とうどう) 賢吾(けんご)。DR世界第7位。『孤群(こぐん)』の籐堂だ」


 そう言ったのち、籐堂はその顔いっぱいに悪い笑みを浮かべながらこう続けた。


「てめぇら、がきんちょ共に少し早いこの世界の頂点を見せてやるよ」


 そういうや否や、籐堂はポッケトから片手を出し、全員が見える位置で指を鳴らして見せた。


 その瞬間――



 ――ばた、ばた、ばたばたばたっ



 立っていた教員も座っていた新入生も、皆一様に白目を剥きながら泡を吹いて倒れてしまった。


 残っていたのは、自分の弓を支えに片膝をついている早見と――


「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。相変わらずじゃのぅ、お主は」


 ――白い髭を撫でながら、糸のように細い目で退屈そうに欠伸をしている籐堂を眺めている初老の男性だけだった。

~(仮)ダン講座~ 初回


 基本的に主人公は籐堂と早見のペアです。


 後、完全に余談ですが、作品名とタグ全然決まってませんので募集します。

 1話目から何言ってんだって話ですけど、まぁ気にしないでください。

 後は講座内容は随時募集してます。

 なので、作品内で分からないことがあったら、是非、感想欄までお越しください。

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