表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/24

父親という人


第四章 2




次の土曜日。亜希子は越川医師の勤める診療所へと向かう。

 俊にはまた土曜出勤だからと言っておいた。以前にも何度か本当に仕事で出勤したこともあるので、俊は言葉通りに受け止めているみたいだった。

 検見川浜駅から会社へ行くのとは反対方向の蘇我行きの電車に乗り、蘇我からは内房線の安房鴨川方面へと向かう電車に乗り換える。

 幾つかの駅を通り過ぎた辺りで、進行方向の右側に大きな煙突やコンビナートが建ち並ぶ工業地帯が見えて来る。

 ああ、この辺りはあの朝俊と浜辺へ来た時、幾つもの赤く点滅してる光が見えた辺りなのだなぁと思う。

 そこを過ぎるとやがて海が見えて来る。電車は房総半島の海沿いをいつまでも走る。海が間近に迫って来て、背後には緑の山々がある。

 この辺りに住めばきっと俊が望んでた様な、窓から海が見渡せる部屋もあるかもしれない。けどさすがにここからでは会社へ通うのが大変だろう。

 そんなことを考えるともなくぼ~っと景色を眺めている時だった。少しお腹が痛いと思っていると、それがどんどん酷くなって、座席に座ったまま前屈みになってしまう。

 それまでにもお腹の辺りに何か違和感があると感じたことはあったのだが、それが急にハッキリした感覚になって、キリッと刺す様な痛みが走る。

 お腹を壊したり食べ物に当たったりした痛みとは違う。どちらかというとおへその辺りよりは上の方で、みぞおちに近い様な感じがする。便意はなくて、何処かは分からないけれど内臓その物が痛んでいる様な感じだ。

 なんだろう……と思ってじっとしていると、次第に痛みは治まって、なんでもなくなってくる。だが、少し身体を動かすと今度は腰の後ろにぎゅっと絞られる様な痛みが走る。

「あいたた……」

 思わず声が出てしまい、片手で腰を押さえる。近頃は神経をすり減らす様なことばかりしていたから、きっと身体の中に無理が来ていたのかもしれない。

 もっと痛みが酷くなって来たらどうしようと思い、呼吸を整えてじっと動かずにいる。

 痛みは治まってきたけれど、動くとまた痛いんじゃないかと思い、暫くそのままでいる。大分時間が経ってからそうっと腰を回してみると、大丈夫だった。




そのまま海岸線を走る電車に揺られ、蘇我駅から約2時間も掛かって、房総半島の突端に近い九重という駅で降りる。

 そこは無人駅で、ホームからの出入り口の両側に切符を入れるボックスと、カードをタッチさせるパネルの付いたポールが立っている。

 内房線への乗り越し分も含めて検見川浜駅で買った切符をボックスの差込口に入れる。

 ホームの他はガラス張りのこじんまりした待合室とトイレがあるだけの小さな駅だった。

 電車から降りたのは亜希子の他に1人だけで、その人は待合室を通過するとスタスタと何処かへ歩いて行ってしまう。

 バス停の時刻表を見て、越川医師に教わった1時間に1本しかない路線バスが来るのを待つ。

 辺りは他に人影は無いけれど、駅前を通る車道を時々車が走って行く。

 やがて来た路線バスに乗る。運転手の他に乗客は4人くらいで、どの人も地元の人らしい。

 走り出したバスは暫く田園風景の中を走り、山の間の曲りくねった道を縫う様にして登って行く。乗ってから40分程行ったところにあるバス停で降りる。

 辺りは木々が生い茂り、森に囲まれた中に田んぼや畑がある。地図を見ながらその脇を通る畦道を入って行く。

芳辺谷村は房総半島の突端近くの山間部にあった。越川医師によれば、診療所まではバスを降りてから歩いて20分くらいはかかるということだった。

 ネットカフェのパソコンでプリントアウトしておいた地図を見ながら歩いていても、特に目印もない山の中なので距離感や方向がつかみ難い、歩いているうちにこの道で合っているのかと不安になって来る。

途中地元の農家の人らしいお爺さんに出くわしたので、診療所のことを訪ねてみると、親切に教えてくれた。

 教えられた道を15分ほど歩いたところで家の前にいたお婆さんに再び訪ねると「ああ、診療所だね、近頃新しい先生が来て下さって皆感謝してるんですよ」と気さくに教えてくれる。

ようやく辿り着いて見ると、それは診療所というよりは普通に民家だった。玄関脇の表札を見なければ、そこが診療所だとは誰にも分からないだろう。

 玄関の扉をノックして「ごめんください~」と声を掛ける。

「はい、どうぞお入り下さい」と中から男性の声がする。これが越川医師の声なのだろうか、それにしては電話の時と違って少し老人の様な感じだな、と思いつつ扉を開けて入る。

 家の中も普通の民家の様に上がりかまちがあって、靴を脱いでスリッパに履き替える様になっている。

 玄関から続いている板張りの廊下の奥に「診察室」と表示されたドアがある。「こんにちは」と言いながら開いて入る。

 診察室は8畳程の広さで、脇にベッドがあり、窓際に書類の並んでいる机と医療器具等の入ったガラス張りのケースがあり、簡素だけれど清潔な感じがする。

 待っていると奥の部屋から先ほどの声の人だと思われる白衣を着た老人の男性が現れた。

 ちょっとドキドキしたけれど、越川医師は50歳前後だと思っていたので、この老人は越川医師ではなく、所長の会沢医師の方だと思う。見たところ70歳くらいだろうか。

 亜希子の顔を見て『アレ、見ない顔だな』と言う表情をする。

「どうなさいましたか」と言われるので「すみません。仕事でたまたまこの近くに来ていたんですが、急に具合が悪くなってしまいまして、こちらに診療所があるとお聞きしたものですから」と越川と打ち合わせした通りに話す。

 さっき電車の中でお腹に違和感を感じたことを思い出したけど、あの痛みが何らかの病気の兆候だとしたら、本格的な診察等を始められてはいけないと思い、考えていた通りに貧血を起こして倒れそうになったということにする。

医師は血圧を測りながら「前にもこういうことはあったんですか?」と聞くので「はい、本当にたまになんですけど」と適当に答える。

 医師は意外にも「ああ、確かに低いですね」と言い「ちょっとこちらに横になって下さい」とベットへ促し、点滴を打って貰うことになった。

今日訪ねると約束しておいたのに、越川医師はどうしたんだろう……と思いながら横になって点滴を受ける。

「前は私しかいなかったものですからね、往診に出てる時はここは誰もいなかったんですけど、最近新しい先生が来て下さってるので、外来の方が来ても診られる様になって良かったんですよ」

 その新しく来た先生と言うのが越川のことなんだろうか。とすれば今は往診に出ているのだろうか。点滴が終わるまでに帰って来てくれると良いけど。

「こちらでは応急の処置しか出来ませんので、もし頻繁に貧血が出る様でしたら一度大きな病院へ行って検査を受けられた方が良いと思いますよ」

 と亜希子の提示した保険証のデータを書きながら、少しおっとりした口振りで言う。

「20分くらいで終わりますからね」

 と言って会沢所長が奥の部屋へ入って行くと一人きりになる。

 暫くして外に自転車の止まる音がしたかと思うと玄関の開く音がして「ただ今帰りました」と言う声がする。所長の入って行った奥の部屋へこの診察室を通らずに入ることが出来るらしく、ドアを開く音と足音が続く。

「お帰りなさい」と所長の声がする。

「篠田さんのお爺ちゃん大分良くなりましたよ。河野さんには明日また伺いますと言っておきましたので」

「そうですか、ご苦労様」

「どなたか外来ですか?」

「うん、貧血を起こしたそうなのでね、今点滴打ってるから」

「そうですか」

 診察室のドアを開けてその医師が入って来た。男性としては小柄な方で、会沢医師よりはずっと若く、50代くらいに見える。

 ベッドで横になっている亜希子の顔を見た途端に硬直した様に凝視する。亜希子もその医師の顔をじっと見つめたまま、大きく顔を揺らして頷いて見せる。

「今日はどちらの方からですか?」と強張った表情とは裏腹に気さくな感じで言葉を掛けてくる。

「はい、都内からなんですけど、歩いていたら急にフラフラしてしまって、近頃あんまり長く歩いたことがなかったものですから」 

 と調子を合わせて気軽な感じで答える。

「そうですか、急に運動するとそうなることがありますから、普段からなるべく歩く習慣を付けた方が良いかもしれませんね」

 と言いながらデスクに座ると何気なく書類を見たりしている。

 この人が俊の父親なんだろうか、医者というより平凡で何処にでもいるお父さんという感じだ。優しげで、とても慎ましい感じがする。

 そうこう思っているうちに点滴も終わり、ベットを降りて礼を述べながら診察の代金を支払う。

 すぐにでも話を切り出したいところだけれど、越川は奥にいる所長に聞こえるとまずいと思っているのか、亜希子のことは知らないという態度を通すつもりの様だった。

「それじゃ、お大事になさって下さい」と言いながら亜希子の手に小さな紙片を握らせる。

 きっと何か書いてあるのだろうと思い、素知らぬ顔をしてポケットに入れる。

「ありがとうございました」と言って外へ出る。

 玄関を出て少し歩き、診療所が見えなくなる所まで来て、そっとポケットから紙片を出して開いてみる。

『外で待っていてください』とだけ走り書きしてある。

 木の陰から診療所の建物が見える所まで戻り、見ているとやがて中から出てきた越川が自転車に乗って走って来る。

 診療所の前から続く道がTの字に分かれるところで立ち止まり、ここに立っている亜希子を見つけると、こちらへ向けて走って来る。

 側まで来ると自転車を降り「少し一緒に歩いて頂けますか」と言って自転車を押して行く。

 亜希子も並んで歩き出すと、越川は前を向いたまま語り始める。

「今日はどうも、ありがとうございます。こんな山の中まで来て頂いて」

「いえ……」

「……世田谷の病院を辞職しましたところへ、お世話になっていた上司からこちらの診療所を御紹介頂きまして、ここなら都心からそう遠くもないですし、もし俊一が見つかった時にも、すぐに駆けつけることが出来ると思いまして」

「そうだったんですか」

「はい、実は会沢先生は私の事情もご存知なんですが、先生も良いお歳なので、後任の医師が来てくれないと無医村になってしまうということで、私が来たことを喜んで下さっているんです」

「そうですか」

「それに村の方たちも、私の事情をご存知ないとはいえ、とても歓迎して下さいましてね、私の様な者を、本当に……」

と言葉を詰まらせて、少し沈黙してからまた続ける。

「私の様な者が、まだお役に立てる場所があるんだと思いましてね」

「……」

 越川の口調は淡々としているが、見ると幾筋もの涙が頬を伝っている。

「俊一は元気にしているんでしょうか」

「……はい、大丈夫です」

「ありがとうございます。貴方には、何とお礼を言っていいか」

「……」

 ここに来るまで、もしかしたら越川は、私が俊を警察に引き渡すこともせずに匿っていたことを責めるのではないかと思っていた。

 だが、物腰の柔らかな越川の言葉に接していると、既に俊の心までもが救われている様な気がしてくる。

 二人で暫く歩いていると、道を囲んでいた森が途切れ、波の音がしたかと思うと視界が開けた。そこには青く東京湾が広がっている。

その先は切り立った断崖で、縁から見ると遥か下の岩場に波が当たって砕けている。

 下から吹いて来る潮風が頬を撫ぜる。彼方まで遠い遠い海に青空が広がっている。思わず胸が一杯になってしまう。心が洗われる様な美しい所だと思う。

 この海は、あの朝俊といた砂浜に繋がっているんだ。もし俊がここへ来て、お父さんと一緒に暮らすことが出来たなら、俊はきっと立ち直ることが出来るのではないかと思う。

 海を見つめている亜希子の顔を、気が付くと不安そうに越川が見つめている。亜希子は声を掛ける。

「越川さん」

「はい」

「俊一君は、あの事件を起こしてしまったことを、誰よりもお父さんに悪いことをしたと思って、後悔しているんです」

「そんな」

「私が思うに、俊一君が今も私のところに隠れて、警察に出頭することが出来ないでいるのは、貴方に対して悪いことをしたという罪の気持ちが強いからだと思うんです」

「そんなことを言っているんですか、俊一は……」

「はい」

「そんな……悪いのは私なんです。私が不甲斐ないばかりに俊一にあんな事件を起こさせてしまったんですから。私の方こそ、俊一に謝らなければならないんです」

 ああ、来て良かった……どうにか俊を助けてあげたいと思い、世田谷の病院を訪ねるところから始まって、一人で奔走していた苦労が、今やっと報われた気がする。

岸壁に立って遠くを見つめる越川の目にも、きっと希望の兆しが見えているのではないかと思う。

「大学病院にいた頃は、患者さんのことなんて本当に考えている医師はひとりもおりませんでした。皆診療費のノルマや自分の出世のことばかりに気を取られていて、私が医者になったのはこんなことが目的では無かったと、落胆していたんです。でもまさか、将来自分がこんなことになって、ここへ来るとは思ってもみませんでしたけれど、私はここへ来て、本来の自分の目指していた医師としての仕事が見つかった様な気がして、皮肉なことなのですが、私はここの暮らしに生き甲斐を感じているんです」

「俊一君は、そんなお父さんのことをずっと尊敬していて、将来お父さんの様な医者になりたかったって、言ってましたよ」

「……」

 亜希子の言葉を聞いた越川は、暫しブルブルと振るえながら、込み上げて来る激情に耐えている様だった。

「私は……情けないことに、妻が怖くて逆らえませんでした。詩織は思う様に俊一の成績が上がらないと、俊一に殴る蹴るの暴力まで振るって、とても厳しく当たっていました。私は、可哀想に思いながらも、どうにもしてやれなくて、私は、私は自分の不甲斐なさを思うと……」

不意に亜希子の手を取って力強く握り締める。

「ありがとうございました……私は、貴方のお陰で希望を取り戻すことが出来ました。でも、私にまたやり直す資格なんてあるんでしょうか。私は、俊一に本当に済まないことをしてしまった。許される筈はないんだ」

「いいえ、俊一君は、今の越川さんの言葉を自分に掛けてくれるのを待っているんです。本当です」

「……」

「越川さん。俊一君と電話で話してあげて下さい。そして、今の言葉を掛けてあげて下さい。お願いします」

「……はい」

「私、今日これから家に帰って、俊一君が出られそうならすぐにでもお電話しますので、俊一君に、何も心配することないって、言ってあげて下さい」

「はっ、はい……」

 その後は言葉にならず、越川は涙を流し続けている。

 そんな二人を包み込む様に、東京湾の潮騒が、静かに絶え間なく響いている。




 越川と分かれてバスに乗ると九重駅まで戻り、また内房線で2時間掛かって蘇我駅まで行き、京葉線に乗り継いで帰る。

 検見川浜に着くと夕方だった。スーパーで夕食の買い物をして、マンションへ帰って来る。

 俊一は自分の部屋にいる様で、「ただいま~」と声を掛けても出て来る気配もない。

 居間に入ると寝散らかしたままの布団が散乱している。亜希子は着替えると布団を押入れにしまい、夕食の準備に掛かる。




 食事の準備が出来たと声を掛けると、俊一は黙って出てきて、テレビを着けると亜希子には見向きもせずに食事を始める。

 亜希子も黙って食べ、俊一が食べ終わる頃を見計らってテーブルの下に置いておいた携帯電話を取り、越川の番号へ発信して耳に当てる。

 亜希子が電話を掛けているのに気付いた俊一がチラッとこちらを見るが、また無関心にテレビの方へ視線を戻す。

 亜希子はもう片方の手でテレビのリモコンを取ると消してしまう。

「おい」

 と俊一が文句を言いそうになったところで電話が繋がる。

「もしもし、はい、今俊一君は隣にいます」

 それを聞いて俊一が驚く。

「はい、今代わりますので」

 と言って俊一に携帯電話を突き出す。

「何だよ」

「出て」

「えっ?」

「早く、いいから!」

 勢いで亜希子に持たされ、耳に当てる。

「……えっ……」

俊一は相手の声を聞いて驚きの表情を浮かべたかと思うと、顔が赤く充血して行く。

「ご、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい……」

 とんでもない悪戯を見つかった子供の様に何度も繰り返す。

「だけど、でも、お父さん。僕は……」

 涙を浮かべたかと思うとボロボロと零し始める。

 越川が思いつく限りの優しい言葉を俊一に掛けているのだろう。そして俊一を許すと言い、自分が悪かったという旨を伝えているのだ。

「本当? 本当なの? ねぇお父さん、本当に僕を許してくれるの? 本当に……うっ、うう……」

 俊一の肩が強張ってブルブルと震えている。子供の様にしゃくり上げながら言葉を繋ごうとするのだが、言葉にならず嗚咽を漏らしてしまう。亜希子は俊の背中を優しく摩ってあげる。

「うん……うん分かったよ、分かったよ、そうするよう、約束するから……僕約束するから……」

 泣いてブルブルと震え続ける肩を抱きながら、俊の手から携帯を取る。

「もしもし、越川さん」

 電話の向こうで越川も泣いている。

『ううう……ありがとうございました。いま俊一と話しまして、今度亜希子さんに連れて来て貰って、私とこれからのことを相談しようねと、約束することが出来ました』

「分かりました。こちらも俊一君が落ち着いてから、お父様にお会いする日取りを決めて伺いたいと思いますので、宜しくお願いします」

『こちらこそ、本当にどうも、ありがとうございました。ありがとうございました……』

「それでは、また御連絡しますので」

 と言って電話を切る。俊はまだ涙が止まらずに泣き続けている。

「うう……信じられないよう……お父さんが、父さんが許してくれるって、ボクのこと許してくれるって言ってくれた……」

 腰にすがり付いて来る俊の頭や肩をいつまでも擦って上げる。俊は時々しゃくり上げながら、いつまでも泣きじゃくっている。

手を延ばしてティッシュを取り、涙が伝う俊の頬をそっと拭ってあげる。

「良かったね、俊」

「うん……」

 何故勝手にお父さんと連絡を取ったりしたのかと、責められるのではないかとも思っていたのだが、そんな心配は全くなかった。

その時から俊は、まるで別人の様に神妙になって、亜希子が何を言ってもウンと頷いて、言うことを聞く様になった。

 それは俊を匿い始めた頃の様で、今更ながら俊に対する愛おしさが込み上げて来る。でももう近いうちにお父さんの元へ返さなければならないんだ……と思うと寂しい気持ちも起きてしまう。

 嫌、もうそんなことを考えていてはいけないんだ。と自分の気持ちは無視する様にしようと思う。

 その夜は何週間振りかに俊と抱き合って眠った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ