博麗の巫女、存続の危機?
というわけで、初投稿です。やったね!
……まぁ、小説と呼ぶにはあまりにも短過ぎるのですが。いやマジで。なんとまぁ、数えてみたら大体2500文字ほどだそうで。
短え……
というか、このまま書いてたらどんどん冗長になってしまいそうなのでそろそろ締めようかと思います。
これを読んで少しでも良いね!と思って頂けるのならこれ以上の喜びはありません。駄文ではありますが、どうか読んでやって下さいな。
「……ねぇ、魔理沙。」
私は、ふと浮かんだ疑問を隣の少女にとりあえずぶつけてみた。
「んー?何だ?」
「私が生まれてきた理由とか、今生きてる理由…?みたいなのって、あるのかな。」
……らしくもない問いだとは思う。
私自身、今までそういう問いを持つ人間とは全く正反対の生き方をして来たと思っている。…が、最近、ふと思うことが度々あるのだ。
「私はさ、博麗の巫女として異変解決の任を先代から受け継いだ訳じゃない。でも、それって、必要なことなのかな?」
「…………どういう事だよ?」
「この前ね、神社に来たお婆さんが言ったの。『巫女さん、最近お仕事は無いのかい?』って。」
「まず、あの神社にそれらしい参拝客が居たことに私は今何より驚いてるぜ……で、その婆さんが何だって?」
失礼な。ただ少ないだけで、この神社にだってそれなりに人はやって来るのだ。……最近は妖怪の方が多くなっている気がしないでもないが。
「でね、私が頷いたら、『そうかい、それは何よりだよ。…確かに、昔よりは騒ぎが減ったわねえ。』って嬉しそうに笑いながら帰って行ったわ。」
「……その通りなんじゃ無いのかよ?霊夢の仕事が減るって事は、つまり妖怪による異変が減るってことと同じだろ?」
「ええ、そうよ。…だからこそ、私が今ここに存在している理由がわからないの。」
「………ますますわからなくなって来ちまったぜ。もっとかいつまんで説明してくれ。」
……全く、面倒臭いこと。少しは頑張って理解しようとか思わないのかしら。
「つまり、何で初代博麗の巫女はこんな事を始めたんだろうって事。」
「……………は?」
「仕事を気張ってこなせばこなす程その仕事が減って行く。…本末転倒にも程が有るじゃないの。とても生計を立てられるとは思えないわ。……というか立てられて無いもの。」
「な、なんだ、そんな事か……」
魔理沙はがっくりと肩を落として、呟いた。
そんな事とは何よ、そんな事とは。これでも私は真面目に考えてるののだけど…
「お前なぁ……物事を杓子定規に考え過ぎなんだよ。しかも自分の価値観しか信じないから自問自答を繰り返して結局どつぼにはまる。もっと多角的に、例えばあいつならどう思うだろうって思いながら考えるんだよ。」
「ほう……」
魔理沙が、なんだか急に顔を顰めて語り始めた。こういう時に話を逸らすと怒るので、ここは黙って聞いておくべきだろう。
「私は初代の巫女は知らないけど、そいつが何を思って今の役に就いたのかは理解できるぜ。」
「…….へぇ?参考程度に訊いても良いかしら?」
「思いやりだよ。ボランティア精神だ。お前が最も嫌う、代償を求めない善意ってやつだぜ。」
…………はい?
じゃあ、何よ?私は今、自分が最も嫌いな道を宿命と信じて突き進んでいるってわけ?
「あー…そんな顔するなよ。まぁ、撤回するつもりは無いけどな。」
「せめてそこはしときなさいよ…」
「ははっ、お断りするね。……しっかし、お前は何だってそんなに金に拘るんだ?生計立ってないって言うけど、別に食うのに困ってるって程でも無いんだろ?」
「そうなんだけどね……近々破産するのが目に見えてるのよ、私の場合。」
「へえ、何でだ?」
考える時間を全くかけず、魔理沙は私に尋ねてくる。……少しは脳を動かさなさいよ、ボケるわよ。
「私は、妖怪と仲良くなり過ぎた。……本来博麗の巫女というのは、強大な妖怪共から、か弱い脆弱な人間を守る為の役職よ。人間の身で妖怪に立ち向かう上での加護を得るという意味で、私は確かにこの神社で暮らしているわ。そして、妖怪は私を恐れると同時に憎み、共存を強要されなくてはならない。」
「おう、そうだな。でも、今のお前は妖怪達と馴染み過ぎたって言いたいんだろ?」
………そう。私は、自分で『博麗の巫女』というその本質を捻じ曲げた。お陰で交代する前の代と比べても異変の数はかなり減っている…らしい。
「このまま行ったら、近いうちに幻想郷の妖怪達は異変を起こさなくなるわ。そりゃあちらほらと好き勝手し出す奴が出るのは世の常だけど、でも結局そんなもの。博麗の巫女の存在価値は、だんだん小さくなって行く。」
「………………………。」
「だから、今のうちにお賽銭お賽銭騒いでおくことで、私が既にお金に困ってるイメージを付けておくのよ。」
「結局そこに行き着くんだな…」
魔理沙が、さっきまでの真面目な表情から一転、心底呆れた様な顔を浮かべる。
「まぁ、そりゃあそうでしょ。……でも、私が一番最初に言った『生まれた理由』の話もそこに収斂する。破滅がこんなに明確に見えてるこの状況で、それを考えないなんて無理な話だわ。」
「うーーーーーむ………ま、それはその時に考えれば良いんじゃね?」
「適当だな……」
「そりゃあそうだぜ。…これは前から思ってたことなんだが、人間は未来を知る事は出来ないよな?それはつまり未来にどう思うかは自分でも予測できない、人間は本当に真っ暗闇の中を手探りで進むようにして生きてるって事と同じなんじゃないのかと私は思うんだよ。」
「………………!!」
正直、いやかなり驚いた。
「魔理沙がマトモな事を言ってる……!」
「失礼な奴だな!私だって普通に考えを巡らすくらいするぜ!全く……
まぁ、とにかくそんな事は考えるだけ無駄だろうよ。本当の危機が訪れた時の事は、その時にしかわからないだろうぜ。」
「そういうものかもね……」
「そうそう。霊夢はごろごろしながら蜜柑でも食ってるのが一番似合うぜ。難しい事は考えなくても良いんじゃ無いか?」
「そうね。……じゃ、ちょっと昼寝してくるわ、何かあったら起こして頂戴。」
「おい、まだ2時だぞ!?」
「遅かったら昼寝じゃ無いでしょうが。じゃ、おやすみ〜。」
ひらひらと手を振りながら、社の中へと戻る。
……確かに魔理沙の言うとおりね。自分の存在意義について考えを巡らせるなんて、似合わないにも程が有るわ。
「……全く、こうなる事も予想済みだったのかしら?先代さん。」
私は、手の中にある、冊子状に纏められただけの数枚の紙ーー表紙には『博麗の巫女たる為には』と書いてあるーーを全力で破り捨て、布団に潜った。