僕のプロローグ
ここは暗い洞窟の中、うっすらと明かりが点る。そんな僕らの前にいるのはでっかい犬のような生き物。
「こいつが今回の獲物ね。」
僕の右隣にいる女の子は天海。超能力者の一人。能力は「無限記憶」といって、見たものや聞いたことを自由に思い出したり消したりできる能力。
「犬神のなり損ないかな。さっさと倒して食事といこう。」
天海の隣にいるのは一風翔。陰陽師の見習い。それでも式神を3体出せる。
あんたはいっつも食うことしか考えてないね。そんなんじゃあ、いつまでたっても見習いだよ。」
僕の左隣、つまり天海の反対側にいるのが深坂風連。翔の師匠であり魔法使い。覇気を操れる。一点に集めることもできれば、人に入れることもできる。けっこうだらけもの。
「あいつ…意外に強い。早く…倒した方が…いい。」
風連の隣にいるのは天良征矢。かなり上級の死神。死神技と呼ばれる3つの技が使える。暗い人。さて、指示を出しますか。
「わかった。じゃあまず三味と闌で足止めをして、天海はそれをサポート。僕と風連は力をためるから、それに攻撃がこないように翔がガードする。いけ!」
「「「「了解!!!」」」」
全員がそう叫ぶと、最初に翔と風連が動く。翔は「式」と書いてある紙を地面に置く。風連は地面に魔法陣を書く。
「でてきて!闌ちゃん!!」
「三味。召還!!!」
2人がそう叫ぶと、紙・魔法陣から人が出てくる。
「闌ちゃん。あいつの足止めお願いね。」
「三味。足止め。」
それぞれが命令を出す。出てきたのは2人の式神・使い魔。式神は化け猫の三味。猫耳で、しっぽが5つに割れている。使い魔は犬神の闌。動物の霊やさまよえる魂を従うことができる。とくに外見は変わっていない。2匹は獣に素早く走っていき、引っ掻いたり噛みついたりする。1つ1つの攻撃に魔力がこもっているのか、結構効いている様子。苦しんでいる。
「いっきまーす!!」
更に攻撃を天海が出す。能力で覚えた様々な体術を使いこなしている。獣の攻撃を避けつつ、回し蹴りやアッパーカットをだしている。その攻撃がこっちに流れてこないように翔が防ぐ。
「風連!!ためるよ!!」
「へーい」
僕と風連は力をためる。僕は剣を構え、風連は手で銃の形を作る。ちなみに・・・でもないか。この剣は十一色剣の一つの、銀剣。十一色剣とは、世界中に散らばった、元々1つだった剣のことだ。その剣は自分で持ち主を決めて、そのものにしか使えないようになる。十一色剣と言うからには11刀ある。そのうちの1人が僕になってしまい、なぜか命を狙われている。銀剣の力は防御力上々。絶対にはこぼれしないらしい。お、そろそろ力がたまってきた。
「風連。そろそろいくぞ。」
「私は準備万端よ。めんどくさいけど。」
「うし。じゃあいくぞ。」
「銀世界!!!」
「バーン。」
僕は剣を振り、風連は誰かのハートを撃ち抜くように銃を撃つ真似をする。すると、風連の指から光線のようなのもが飛び出し、獣へ飛んでいく。僕の場合は、地面が「みしっ」っという。そして、
「おーーーい。そっちにいくぞーー。」
というと、全員獣からすぐ離れていく。そして風連の光線が獣にあたる。
「グギャアッッ!!!」
獣が声をあげる。それがあたって2秒くらいすると、
「グガアアアアアアアアア!!!!!!!」
地面から無数の岩が飛び出し、獣に当たる。
「よし。あたった。じゃ、ラストに征矢。たのむ。」
「わかった。」
ずっと黙っていた征矢が動く。片手を上げ、
「死の門。開。いでよ、光龍。」
と、ぼっそっと言う。すると、征矢の後ろにでっかい門が現れる。獣は身構えの体制に入っている。
「ゆけ。」
門がひらき、光る龍が出てくる。そして、
「グギャアアアアアアアッッッッッ!!!!」
突撃した。といっても光なので貫通して、また門に帰っていった。しかし大ダメージだったのか、獣はそのまま倒れた。
「よし。クエスト終了。」
「おわったーーー。」
「三味。ご苦労さん。よし、これでごちそうだ。」
「闌ちゃんも、ご苦労さん。」
「死の門。閉。」
今は戦勝47年。47年前に起こった大災害。「地震」「噴火」「巨大台風」が同時に起こったことにより、世界のバランスが崩れ、ほぼ全ての異世界が繋がってしまったこの世界。今は差別もなく平和に暮らしている。しかし、世界と世界の間に狭間ができてしまった。そこに魔物や霊的な力がかかり、「ダンジョン」がはっせいする。そこを探検するのが、我ら「探検隊」。そんな世界の住人の1人、主人公「林田尚一の物語。それが、イレブンクエストである。
つづく。かも。