☆地獄の日々・初日の夜(後編)★
そのころ大悟はイチゴを必死に捜していた。
『イチゴ~どこぉ?子猫はもぉ家にはいないから帰って来ても大丈夫だよ。預からなくてよくなったからさぁ~。』
必死に叫びイチゴを捜した。
『魚屋さんに行ったらいるかも。』
と、思いながら魚屋を目指して走りだした。
『坊ちゃま。どうぞ。』
運転手がドアを開けて言う。
『ありがとう。好きな魚、満足するなだけ言って。お店の人に言うから。』
少年がニコッと微笑んで言う。
『ホントにイイんだな?』
イチゴはそう言うと車から降りた。そして……。
『1匹1000円以上する魚、全部だ。ちゃんと新鮮さが落ちないように包んでもらってくれよ。』
むちゃくちゃなことを言いだすイチゴ。
『りょーかい。車の中で待ってて。』
少年はむちゃな要求をあっさり承諾した。
魚屋さんもかなりビックリしていたが、無事に買い物を済ませ、大悟の家へと車は進みだした。
『こんにちは。今日はあんまり魚、残ってないね。』
魚屋に到着した大悟が言う。
『悪いねぇ~。今日はサービス日だったから、特売の魚達はすっかり売れっちまったんだ。それにちょっと前に来たお客さんが、1匹1000円以上する魚を全部って、言いだして買って行ったんだよ。それも大悟クンと同世代の男の子が。だから今日は早いけど売る魚がないから店仕舞いするんだ。』
片付けをしながら大悟に説明する魚屋さん。
『そーなんだ。じゃ、また今度買いに来るね。』
『ごめんな。また、頼むよ。』
大悟は魚屋さんを後にした。
『ハァ~、まさか魚が売り切れてるなんて…』
など、口にしつつ家路につく大悟だった。
大悟は家に着いた。だが、見知らぬ車が家の目の前に停めてあった。
『イチゴ!?!?』
玄関前にいたイチゴは聞き慣れた声に振り向く。
『お~大悟!ちょうどよかった。お前に聞きたいことがあるんだ。』
イチゴが言うと。
大悟『そんなことより、どこに行ってたんだよ。』
少年『大悟?!』
二人が同時に言う。
『え!?』
大悟が自分の名前を呼んだ方へ顔を向ける。
『あ、やっぱり。久しぶりだな。大悟。』
少年が車から降り、姿を現した。
その姿を目にした大悟はア然としていた。
『お前ら、知り合いなのか……』
イチゴが言うも大悟は反応しなかった。