☆誕生日パーティー(前編)★
ドアを開けると。
『パーン、パーン……。』
と、物凄い音でクラッカーが鳴り響く。
その音に驚く大悟。
『おめでとう。』
『おめでとう。』
『おめでとう……。』
みんながバラバラではあるが、盛大に声をかける。
『みんな………。』
目に涙を浮かべて回りを見渡す。
泣かないように必死に堪える大悟。
そうこうしていると親しいクラスメートや、違うクラスの親しい友人たちが歩み寄る。
『大悟、おめでとう。こんな誕生日パーティーに招いてくれてありがとう。』
『これ、プレゼント。』
などなど、大悟にお礼を言って、プレゼントを渡していた。
大悟もお礼を言いながらプレゼントを受け取っていた。
受け取っている途中に突然、全ての照明が消えた。
当然の事ながら会場内がざわめく。
ガチャ。会場内にあるステージの電気だけがつく。
『皆様、本日は林大悟、15歳の誕生日会にご出席頂き、ありがとうございます…………。』
と、司会者がいろいろ話し始めた。
『うわぁ。』
真っ暗な中、突然腕を引っ張られた大悟。誰が引っ張っているのか分からないものの、抵抗することなくステージの近くに連れ去られた。
ステージの近くになると灯りで誰が引っ張っていたのか分かった。
『よう。』
鏡太が軽く右手を挙げて言う。
『よう…………………じゃないよ。』
大悟が鏡太の手を掴み、睨みつける。
そんな大悟を尻目に、鏡太は大悟の背後に移動する。
『とりあえず、言って来い。』
っと、大悟の背中を押した。
『うわ、えっ。』
押された大悟はそのままステージ上に出た。
主役の壇上に自然と会場全体から拍手が湧き上がる。
『それでは、大悟さん、一言お願いします。』
いきなりステージに上げられ、司会者から突然の言葉に緊張する大悟。
『どうしよう………。鏡太のヤツ、何考えてるんだ。オレがこう言うの苦手なの知ってるくせに………。』
大悟の心の叫び……。
『がんばれよ。大悟。』
舞台袖で大悟の姿を見ている鏡太。
『えっと、今日は、ボクのために集まっていただきありがとうございます。今までにない誕生日パーティーに感動しています。本当にありがとうございました。』
と、頭を深々と下げた。
会場には再び拍手の音が響いた。
大悟は頭を上げると、そそくさと舞台袖に退いた。
『鏡太。いきなりあんなところに出さないでよ。』
『ん?かなりシンプルだったけど、よかったと思うよ。』
と、大悟の怒りを完全に無視してニコッと微笑んでいた。