☆誕生日★
翌日。5月12日、日曜日。大悟の15歳の誕生日の日。
悲鳴の朝からスタートした。
『イチゴ、何するんだよ。』
大悟が左頬を抑えて言う。
『うるさい。なんだかムカツクんだよ。』
と、イチゴ。
『なにそれ?今日は……。』
『………今日はお前の誕生日なんだろう。』
大悟の言葉を遮って言う。
『……そうだよ。』
『追てこい。』
睨みつけてから言い、歩きだした。
イチゴは玄関に案内をし、玄関を開けさせた。
大悟が玄関を開けると、そこには怪しげな黒塗りの車が止まっていた。
『お待ちしておりました。』
と、後部座席のドアを開け、待っていた黒スーツを身にまとっている男が言う。
『え……。』
大悟が驚いているのに、イチゴはそそくさと乗った。
『オイ、イチゴ。』
『黙って、早く乗れ。』
イチゴのかなり鋭い目付きに少しビビリながら車に乗り込んだ。
大悟が車に乗るとドアを締め、男は助手席に乗り込んだ。すると、車は進み出した。
『イチゴ、本当にこの車大丈夫?』
大悟の心配をよそにイチゴは眠りに着いた。
大悟は仕方ないので外の景色を観ようとしたが、外の景色が見えなかった。
気がつくと運転手と、助手席に座った男の姿も見えなくなっており、辺りの視界はほぼ黒光していた。
かなり怪しい車に乗ってしまったと思い、ケータイを取り出して電話をしようとしたが、圏外になっていた。
それを見た大悟はイチゴを揺すって起こそうとした。
『やかましいわ。』
と、おもいっきり顔をひっかかれるのだった。
しばらくすると、車が停車したのが分かった。
すると、ドアが開き、男が立っていた。
『到着いたしました。』
と、大悟の目の前には大きな建物が建っていた。
『ここどこ?』
と、大悟が混乱している横からイチゴが車から飛び降りた。
『やっと着いたか。追てこい。』
と、イチゴは建物の中へと歩き始めた。
大悟は状況を判断できずに、ただ、イチゴに追ていくだけだった。
しばらく後を追て行くと、ある部屋のドアの前でイチゴが止まった。
『ここだ。』
イチゴがよそ見をしながら言う。
『ここって?』
大悟が聞くと。
『いいから開けて中に入れ。』
『いいの?どこかも分からない場所なのに?』
心配性の大悟。
イチゴに聞いているのに、このやり取りに頭にきていたイチゴは大悟の顔面におもいきりネコパンチをした。
『黙って言うことを聞け。』
『はい。』
殴られた頬を摩りながら、涙目で答える。
そして、ドアを開けた。