☆隠し事★
大悟の部屋に着いた鏡太は一気に崩れこんだ。
『はぁ……余計なことを……。』
美穂の前で使って欲しくない単語の一つを言われ命拾いをした鏡太。
『ねぇ、鏡太?』
下を向いて大悟が疑問をぶつける。
大悟はイチゴに聞いた鏡太の事が気になっていた。
そして、その事を鏡太に訪ねた。
『あ〜、知らなかったのか?』
意外にも本人は気にもしていなかった。
『知らないよ。』
『だよな。言ってなかったし……。』
苦笑いしながら言う鏡太。
『もしかして、松田さんに強引に連れて行かれた時もSPの人、知ってたの?』
少しうつむいて言う大悟。
『多分な。オレの警護をしているやつらと美穂の警護をしている人達は、年数が長いから皆、顔馴染みだしな。』
『どうして一言ぐらい言ってくれないのさ?』
大悟の目が少し潤んでいる。
『イヤじゃぁないか?オレと一緒に外歩いているだけで常に監視されるの?それだったら知らない方がイイと思って……。』
いつになく真剣な顔をしている鏡太。
『イヤだけど、黙っていられる方がもっとイヤだよ。』
目からは涙が溢れている。
『大悟……。』
『だから、これからは隠さずに言ってよ。鏡太の事だったらある程度はスルーするからさぁ。』
涙を拭いて笑顔で言う大悟。
『わかった。大悟にだけは全部隠さずに言うよ。』
大悟の笑顔にホッとする鏡太だった。
しかし、大悟の心の中では鏡太の距離を感じていた。
自分が思っている以上に鏡太は常に危険と隣り合わせで、戻ってきてからは普通に生活しているように見えていたのに影では社長としての業務もしっかり熟しており、かなり肉体的にも精神的にも疲労していたと。
翌日。土曜日で学校は休みなのだが鏡太は朝早くから出かけていた。
前日、できなきかった実のパズルを完成させるべく実の家に向かっていた。当然、大悟には内緒にしている。隠し事はしないと約束したアトにも関わらず………。
『鏡太。』
もう少しで実の家に到着すると言うところで声をかけられる。
声の主の方を見るとそこには美穂がいた。
『よう。』
冷や汗が全身から流れているように感じる鏡太。
『どこに行くの?だいたい予想はつくけど……。』
『見過ごしてくれませんか?』
苦笑いをしながら言う鏡太。しかし、許してくれるはずもなく車の中に拉致された。
そして、車は美穂の自宅へと向かった。
車の中からずっとパズルの説明していた。
しかし、美穂は無視をし続け気がつくと、案内されるまま、ある部屋の入口前に立っていた。
ドアを開けられ、中に入れられた。