☆子猫★
『なに?』
暴れるイチゴを、右手で首を、左手で後ろ足を掴み、爪でひっかかれないように必死に程よい距離感を保ちながら降りてきた。
『大ちゃん。これ見て。』
優子が抱っこをしている物体を見せた。
大悟『うわぁ。』
イチゴ『ゲぇ。』
同時に二人が反応する。
大悟は嬉しそうに。
イチゴはこの世の終わりが来たみたいに。反応した。
優子が抱いていたのは子猫だった。
生後4ヶ月ぐらいで、優子に抱かれているのが心地よかったのか、眠っていた。
大悟『かわいい。』
イチゴ『消えろ。』
と、またもや同時に言う一人と一匹。
『何でそんな酷い事を言うんだ。』
イチゴに説教をする大悟だが………。
『何ぶつぶつ言ってるの?』
子猫の頭をなでながら優子に言われ、あわてて大悟は。
『何でもないょ。ただ、かわいいなぁ~。って。』
苦笑いしながら答えた。
『誰のところの猫?』
大悟が悟に尋ねと。
『父さんの友人から預かったんだ。1週間程ね。』
最後はいつもは見せないちゃめっ気な顔をして答える悟。
『へぇ~そーなんだぁ~。』
1週間も家にいることを知り、大悟はイチゴのことが心配になってきた。
『で、名前ゎ何?』
『にャァー』
大悟が再び質問すると同時に先ほどまで寝ていたはずの子猫が鳴く。
悟『ノラ』
イチゴ『ノラ』
と、同時に答えた。
と、言っても同じように聞こえるのゎ大悟だけで、他の人間にはただ鳴いているようにしか聞こえませんが………。
『何でイチゴが分かるの?』
大悟が小声で聞く。
『俺様ゎ賢いから誰の言葉も理解できるんだょ。お前と違って。』
イチゴが答える。
『そうなんだ……』
小声で言う大悟。
同じ猫なのでイチゴはノラの言葉を理解しておかしくないのに、そのことに気づけない大悟だった。
『大悟。イチゴ同様可愛がってくれょ。』
悟が言った。
こうして1週間、子猫『ノラ』を預かる事になり、先住居ネコ、イチゴの地獄の日々が始まったのだった。