☆大悟の絵★
翌日。
大悟は鏡太を迎えに隣にある鏡太の家に行った。
『よ…う……。』
元気のない鏡太の姿に大悟は驚いた。
『どうしたの?その目の下の隈。』
『あの後、家に帰るなり、ほこりが凄いから掃除するとか言い出して明け方まで延々と掃除させられた………。だから、オレは帰りたくなかったんだよ。』
昨夜の泉家でのできごとを明かす。
『ん……想像できるから何も言えない……。』
鏡太に気を使う大悟だった。
その後、鏡太はフラつきながら学校に登校した。
教室に着くなり、実が鏡太の元へ物凄い勢いで寄ってきた。
それを見た美穂も物凄い勢いで二人に駆け寄った。
『鏡太。今日も頼むぞ。』
実。
『鏡太、何を頼まれてるの?』
美穂。さり気なく鏡太の腕をがっちり掴む。
『二人とも落ち着け。そして、美穂は腕を離せ。』
苦笑いをしている鏡太。
大悟は巻き込まれたくないので、そそくさと自分の席に座った。
『それにしても、鏡太も大変だな。』
鏡太の事を心配する大悟。
しかし、家でも学校でも大変そうな鏡太を見て、気を使い自分の聞きたい事を聞けない事にモヤモヤも抱いていた。
放課後。
大悟は前日の光景を自分の作品に描く為に美術室に来ていた。
そして、早速、描き始めた。
昼間の風景が次第に夕暮れ時に描かれていき、その作品は見違えるほどの作品へと進化した。
しばらくして完成した。
その完成した自分の作品を見て、大悟は自分にも分からないほどの感動を憶えた。
意味も分からないが自然と涙が目に溜まっていた。
そして、我に還り辺を見渡すと、数人いたハズの部員達は姿を消していた。
『トントン。』
いきなり、窓をノックする音がして大悟は驚いた。
窓を見ると、そこにはイチゴがいた。
窓を開けるとイチゴが美術室に勝手に入った。
『イチゴ。入ったらマズイよ。』
慌てる大悟。
『お前の描いた絵はどれだ?』
大悟の言葉をいつものように無視して自分の話しを始めるイチゴ。
『え?』
イチゴの予想もしなかった言葉に固まる大悟。
『描いた絵だ。』
『あ、これだよ。』
イチゴの強い言葉に自分の絵を見せる大悟。
『おまえ…………。』
絵を見て何かを言いかけたイチゴ。しかし、それ以上なにも言わなかった。
そして、何事も無かったかのように美術室を後にした。
『イチゴ………。』
大悟はイチゴの何かを言いかけた言葉も気になったが、学校に何をしに来たのかも気になった。
その頃、鏡太は、朝、美穂に実のパズルの事を説明したところ、自分も手伝うと言い出したので、三人で実の家に行く事になった。