☆プレゼント★
それは、実の行動だった。
『実。ちょっと聞きたいんだけど、いいか?』
『なに?この非常事態に。』
鏡太は疑問を解決するために質問をぶつけた。
『確か、学校でこのパズルを完成させるために大悟にお願いをしてたよな?』
『おう。』
『このプレゼント、オレの予想が正しければ大悟にプレゼントするつもりだよな?』
そうです。もうすぐ、大悟の誕生日なのです。5月12日は。
『そのつもりだけど何か問題でもあるか?』
実は誕生日プレゼントとして大悟に渡す物を本人に手伝わすつもりだったのだ。
『お前はバカか。プレゼントを渡す本人に手伝わすなんて何考えてんの?』
呆れる鏡太。
『大悟だからいいかと思って。』
右手でグーのポーズをする実だった。
結局、その日だけでは完成できなかった。
半分程度はできたものの、難しい部分が残っており、二人でも大悟の誕生日に間に合うか際どい状態となった。
とりあえず、翌日も学校が終わってから鏡太は手伝う約束をして家に帰った。
『ただいま。』
鏡太が言うと。
『お帰り。遅かったね。』
大悟が嬉しそうに出迎えた。
『なんだか嬉しそうだな。その顔を見る限り、何かつかんだんだな。』
鏡太がクールに言う。
クールに言っているのだが、内心は実のパズルの事が気になっていた。
『うん。ありがとう。』
ヒントを与えてくれた鏡太にお礼を言う大悟だった。
『オレは何もしてないよ。それより、今日は頭を使いすぎて疲れたから風呂に入って寝るよ。』
と、とりあえず、リビングに向かった。
『お帰りなさい。』
鏡太は聞き覚えのある声に、足を止めた。
そして、声の主を見ると、そこにいたのは鏡太の母親だった。
名前は『泉 幸子』。
優子とは小さい頃からの知り合いで、非常に仲が良い。
『いつ、戻ってきたの?』
とにかく驚いている鏡太。
『午前中に。母さんいなくて寂しかったでしょう?』
優子とあまり変わらないテンションの持ち主なので、親バカな部分が多いい。
『全然。父さんは?』
冷たく返しているように聞こえるが、これが普段の会話として成り立っている。
『太一さんは明日になっちゃったのよ。』
太一と言うのは鏡太の父親。
『そう。じゃ、オレ、寝るわ。』
と、大悟の部屋に行こうとしたが、幸子に止められた。
『新しい鍵、持って来たから家に帰るわよ。いつまでもダイちゃんに迷惑かけちゃ悪いでしょう。ユウちゃんにもだけど。』
『はいはい。荷物だけ取ってくるよ。』
と、鏡太は大悟の部屋に向かった。
荷物を整理して、鏡太と幸子は自宅へと向かった。
隣だけど………。
こうして、鏡太の居候生活は終わった。