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☆理解できるようになった日★


 大悟の言葉に鏡太はあることに気が付いた。


『大悟。お前の質問の答えになるか分からないけど、一つだけ言えることがある。』

『何?』

食いついてくる大悟。


『実はオレもお前と同じ時期に理解できるようになったんだ。』

鏡太も動物達の言葉の意味を理解できるようになったのが昨年の秋だった。


『え……。それホントに?』

予想外の言葉に驚く大悟。


『ホントに。』

いつものようにニコっとして答える鏡太。


『いきなり聞こえるようになったの?』

詳しく追求する大悟。

しかし鏡太がここで話しを止める。


『今日はここまでな。明日も学校あるから続きはまた明日。』

そう言うと、大悟の返事も聞かずに布団を敷き始めた。


『うん……。』

残念そうに自分のベッドに向かう大悟だった。




 翌朝、目覚ましによって普段通り起きる大悟。

鏡太を起こそうとベッドから降りる。しかし、そこに鏡太の姿が無かった。

そして、イチゴのベッドを見るとイチゴの姿も無かった。

不思議に思い、一階のリビングへと向かった。


『あ、母さん。おはよう。』

大悟が降りて行くと、優子がキッチンで朝食の準備をしていた。


『おはよう。もうすぐできるからね。』

大悟の方をチラッと見て言う。


『うん。鏡太とイチゴ、どこに行ったか知らない?』

『キョーちゃんなら早く起きたからって散歩に行ったわよ。イチゴちゃんも一緒に行ったんじゃないかしら。』

手を止めて答える優子。


『分かった。顔、洗ってくる。』

そう言うと、大悟は洗面所に向かった。

あの二人が一緒に散歩に行った事に疑問を持ちながら……。


『ただいま。』

大悟が顔を洗っていると鏡太が帰ってきた。

そして、鏡太も洗面所にやってきた。


『どこ行ってたの?』

大悟が顔を拭きながら訪ねる。


『ナイショ。』

鏡太も顔を洗っていたので濡れた顔で大悟の方を見ると、ニコっとして答えた。


『イチゴも一緒だったの?』

鏡太の反応に少しイラっとした大悟。


『イチゴ?知んないよ。』

顔を拭きながら答える。


『どこ行ったんだろう?』

心配している大悟。


『いないの?』

『うん……。』

『まぁ、賢いネコだからそんな心配しなくても……。』

と、鏡太が言うと大悟の顔色が変わる。


『イヤ、またどこかで人様に迷惑かけていないか心配で………。』

大悟は別の意味でイチゴの心配をしていた。


『なるほどね……。』

納得する鏡太だった。




 しかし、鏡太は大悟にウソをついていた。実はイチゴと一緒に近くの公園まで散歩がてら大悟には聞かせたくない話しをしに出かけていた。

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