☆言葉の理解1★
晩ご飯も終わり、大悟と鏡太の二人は大悟の部屋にいた。
『で、何が聞きたいんだい。大悟クン。』
大悟をからかう感じで言う鏡太。
『実は………。』
鏡太のからかいなど無視して話しを進める大悟。
しかし、邪魔が入る。
『どっちでもいいからお風呂入っちゃって。』
と、優子が一階から言う。
『風呂だってさ。』
鏡太が言う。
『あ、うん……。』
やっと聞けると思ったところでのタイミングだったので落ち込む大悟。
『そこまで落ち込むなよ。』
大悟の落ち込みに驚く鏡太。
『気にしなくてもいいよ。先、入ってきていいよ……。』
その言葉のトーンに説得力はなかった。
『別にオレはいなくなる訳じゃないんだからさぁ、そこまで落ち込むなって。なんなら、昔みたいに一緒に入る?』
大悟のことを心配しながらもからかう鏡太。
『はいはい。バカな事言わなくていいから早く入ってきてよ。』
鏡太の発言を全く相手にしない大悟。
『オレは本気だったのにな。大悟の成長ぶりが見たかったのに。』
小さい子が物欲しそうな顔をしながら言う。
『はいはい。もぉ、いいから。』
と、鏡太の着替え一式を渡し、部屋から追い出す大悟だった。
大悟は部屋の窓を開け、夜風を味わった。イチゴにひっかかれた傷が少し痛む。そして、夜空を見た。
そこには、無数の星が輝いていた。
『イチゴの言ってる言葉の意味を理解し始めた時も風が少し冷たくて今日みたいに星がキレイな夜だったな。』
と、イチゴの言葉を理解し始めた時のことを思い出していた。
『ホントになんで理解できたんだろう……。鏡太もいつから理解できるようになったのか聞きたいのに……。』
と、ブツブツ言っていると。
『やっぱりバカだな。』
突然、イチゴが話しかけてきた。
『うわ。え、何?』
突然の声に驚く大悟。
『くだらない事言ってないで、飯の用意しろ。』
今まで寝ていたので、晩ご飯を食べていないイチゴ。
とりあえず、イチゴにご飯をあげるために一階へと降りて行った。
そして、リビングでご飯を作っていると、鏡太が風呂から出てきた。
『鏡太、寝ないで起きててよ。』
先に寝てしまう可能性があるので、心配する大悟。
『起きてるよ。』
鏡太は大悟の部屋へと歩き始めた。
大悟もイチゴにご飯を与えたあと、風呂に入り始めた。