☆下校★
鏡太の言葉にキョトンとする大悟。
『誰に?オレがホントに知ってる人?』
興奮気味に言う。
『人じゃないかな。』
鏡太。
『人じゃないって………。』
悩む大悟。
『お前の後ろにいるだろう。』
と、立ち止まり後ろを指差す。
大悟は言われるがまま後ろを向くとそこには誰もいなかった。
『いないじゃん。』
鏡太を睨む大悟。
『そんな睨むなって。ちゃんといるから。』
と、大悟の後ろにそびえ立つ塀を指差す。
そして、大悟が振り向く。
そこにいたのはイチゴだった。
『なんでイチゴがここにいるの?』
驚く大悟。
『わざわざ、教えに来てやったんだよ。』
大悟の反応にイラっとする。
『そういうこと。だから、ちゃんとお礼しろよ。』
大悟に右手でグーサインをする鏡太。
『だから、魚屋に行け。』
どうだ、と、言わんばかりに大悟に命令するイチゴ。
その時、ケータイが鳴る。
大悟と鏡太が同時に個々のケータイを取り出して確認をする。
今回は鏡太のだった。
そして、鏡太はケータイを見て、青ざめる。
『誰から?』
鏡太の様子を見て話しかける大悟。
『美穂…………。』
物凄くイヤそうな顔をして答える鏡太。
『なんて来たの?』
『今から、迎えに行くって………。』
キーーっ。
物凄い音と共に車が止まる。
そして、ドアが開くと同時に鏡太が車に連れ込まれる。
『えっっ。』
何が起こっているのか分からない大悟。
そして、美穂が窓を開けて顔を出す。
『9時頃に家まで送るから気にしないで。』
美穂がその言葉を言うと、車はあっという間に発進した。
なにが目の前で起こったのかハッキリとは理解できなかったものの、とりあえずは美穂が連れて行ったので、事件ではないと言うことだけを理解した大悟だった。
『さぁ、魚屋へ行くぞ。』
何事も無かったかのように話し出すイチゴ。
『え、で、でも、お金ないよ。』
冷静でない大悟。
『はぁあ。』
キレるイチゴ。
『学校から帰る途中なんだし、そんな持ってる訳ないだろう。』
反論する大悟。
『死刑。』
の、言葉と同時に大悟の顔に本日二度目の赤いシマシマのラインができた。
傷ができてすぐは何が起こったのか分からなかったが、時間が経つに連れて痛みを感じてきた大悟。
『イタぁ〜イ。』
顔を両手で覆う。
しかし、直接傷口を触ると更に痛みが増すだけなので、若干の隙間が開いている。
イチゴは大悟をひっかいた後、さっさとどこかに行ってしまった。
そして、大悟は落ち着くまでその場を動けず、痛みが治まるのを待ってから、家に向かって歩き始めるのだった。