☆地震、再び★
給食の時間も終わり、昼休み。
大悟と鏡太は大悟の所属する美術部の部室に来ていた。
『で、大悟の書いた絵はどれ?』
鏡太がキョロキョロしながら聞く。
『ちょっと待って。えっと、この辺に置いたと思ったんだけど………。』
と、自分が書いた絵を探す。他の部員達の絵も近くにあるので、なかなか自分の物が見つからない。
『あ、あった。』
大悟が鏡太がいた方を見て言うもそこにいなかった。
アレ、っと思い視線を変えると窓際にいた。
『大悟、机の下に隠れろ。』
鏡太が真剣な表情で言う。
大悟は今まで見たことのない鏡太の表情に驚きながらも言われた通り机の下に身を潜めた。
そして、鏡太も近くの机の下に潜った。
ガタガタガタガタ………。
周りの物が大きく揺れ始める。
『え、地震。』
驚く大悟。
『じっとしてろよ。この間のとは大きさが違うからな。』
全てをしっているかのような口調で話す鏡太。
しばらくして揺れが収まる。しかし、美術室内の絵画や置物の一部が床に落ちたり、倒れたりしている。物によっては落下の衝撃で壊れたりしている。
『全校生徒はグラウンドに非難してください。』
と、突然放送が入る。
『鏡太、大丈夫?』
心配する大悟。
『オレは大丈夫。とりあえず、グラウンドに行くか。』
笑顔で言う鏡太。
『うん……。』
何故、この状況で笑顔になれるのか疑問を持つ大悟だった。
グランドに行くと、女子生徒の数人は泣いていたりと混乱状態になっていた。
そして、教員達が必死にクラスごとに生徒を整列させ、人数を数えていた。
昼休みと言う最悪の時間帯だったため、生徒達が分散していたので、点呼に時間がかかる。
ある程度落ち着き、生徒全員の安否確認がとれたところで、校長が話しを始めた。
『先ほど地震は震度5強でした。揺れが大きかったので余震が起こる可能性があります。しばらく、このままで待機します。』
と、告げた。
その間、余震と思われる揺れはなかった。
一時間ほど経過した後、一度、教室に戻り、それから一斉下校となった。
しばらくは他の生徒達と一緒に帰っていたが、大悟と鏡太が二人だけになったときに、大悟が鏡太に質問をした。
『地震が起こる前、どうして分かったの?』
『知りたい?』
鏡太が言うと、大悟は頷いた。
『教えてくれたんだよ。大悟も知ってるヤツが。』
ニコっと微笑みながら話す。