☆転校★
大悟は実に気になったことを質問した。
『実。鏡太がここにいることに驚かないの?』
『驚いたぜ。職員室で。』
職員室を指差ししながら答える実。さらに話しは続き。
『今日、日直だから日誌を取りに職員室に行ったら、山本先生が「今日、転校生が来るから楽しみにしとけ」って。それで、名前を聞いたら聞き覚えのある名前だったからビックリしたぜ。』
山本先生と言うのは大悟の担任。
『て、ことは、鏡太は同じクラス?』
疑問系で言う大悟。
『そー言うことだ。』
実が答える。
『鏡太今の聞いた?』
鏡太の方に向きながら嬉しそうに言う大悟だったが、鏡太は固まっていた。
大悟と同じクラスと聞き、鏡太の頭の中では。
『大悟と同じクラス=美穂と同じクラス』
と、素早く計算されていた。
『よかったな。松田。イケメン彼氏と同じクラスで。』
実の言葉にさっきまでの殺気オーラが一瞬で消え、テレ隠しをしながら喜んでいる美穂。
そのまま、教室に向かった。
その後を実も歩いて行った。
『鏡太、大丈夫?』
心配する大悟。
『覚悟しないといけないな………。』
真っ青な顔をして言う。
『言っている意味が分からないよ。とりあえず、早く職員室に行こう。』
鏡太の腕を掴み引っ張って職員室に向かうのだった。
職員室前に到着した大悟達。
『急に体調が……。』
鏡太が胸の辺りを押さえながらうずくまる。
『さぁ、行くよ。』
鏡太のことをガン無視する大悟。
『う、苦しい……。』
さらに苦しむ鏡太。
『あ、鏡太好みのキレイな子がいる。』
『どこ?』
大悟の言葉にすぐに立ち上がる鏡太。
『ウソだよ。』
『う、苦しい……。』
大悟の言葉に再び苦しむ鏡太。
『もぉ仮病はいいから。』
と、鏡太に言った後、職員室のドアを開けた。
『失礼します。』
職員室に入る大悟。
『どうした。林。』
担任の山本先生が話かける。
『あ、えっと、転校生を連れてきました。』
『ん、どこにいるんだ?』
担任の言葉に後ろを振り向くと鏡太がいなかった。
廊下に出てみると、ドアの前にしゃがみ込んでいた。
『何してるのさ。』
『よし。』
鏡太は立ち上がると、大悟を無視して職員室に入っていった。
大悟はそのまま教室に向かった。
教室に着くと実が話しかけてきた。
『大悟。』
実は大悟の首に腕をかけてきた。
『なに。』
少し、驚く大悟。
『これで、また、ガキの頃のように三人でつるめるな。』
とだけ言い、自分の机に戻って行った。
『三人か……。』
なにか意味ありげにつぶやく大悟だった。