☆再開3★
学校に到着した。
『あー、学校に行きたくない……。』
かなり落ち込んでいる鏡太。
『文句言わない。もぉ、着いたんだから。』
鏡太の背中を押しながら言う大悟。
『とりあえず、職員室に行かないと……はぁー。』
ため息がとまらない鏡太。
『場所分かる?』
大悟が聞く。
『あっちだろう?』
校舎に入って靴箱を過ぎると、左右に広がる廊下がある。
鏡太は左を指差ししながら言う。
『違うよ。右側だよ。』
相変わらず方向音痴を実感する大悟。
『1/2(2分の1)を外すってことは、よほど教室に行くのがイヤなんだな。オレ。』
テンションがおかしくなりつつある鏡太。
『…………。まぁ、一緒に行くよ。鏡太のクラスも知りたいから。』
テンションがおかしい鏡太についていけなくなっている大悟。
『だから、ここは右だって。』
大悟が先ほどの廊下を左に行こうとした鏡太に注意する。
職員室に向かう途中、大悟が鏡太にある質問をした。
『なんで、そんなに松田さんのことを拒否するの?』
大悟は何気ない質問をぶつけただけなのだが、鏡太は慌てて大悟の口を塞ぐ。
『何言ってんの。聞こえたらどうするんだよ。』
『なにか聞かれたら困ることでもあるの。』
その声に鏡太は身震いした。
『うわぁ。』
鏡太が横を見ると美穂が立っていた。
鏡太は驚いた拍子に大悟の方に倒れた。
『あ……………。』
美穂の雰囲気が変わる。
『イタタタ………。』
鏡太が頭を擦りながら顔をあげる。そして、鏡太の視界には恐ろしい光景が目にうつる。
美穂からただらならぬオーラがあふれ出している。
『鏡太、重いから早く退いて。』
鏡太の下敷きになっている大悟が言う。
『浮気は許さないわよ。』
美穂は鏡太が大悟の上に乗っている状態を見て、勘違いをしている。
『落ち着け。浮気なんかするわけないだろう。』
両手を前に出し、なだめる鏡太。
『浮気って……何?』
まだ、鏡太んの下敷きになっているため、状況が把握できていない大悟。
『大悟、朝から何してるんだ?』
大悟の顔の前にしゃがみこみ話しかける少年。
その少年の名は『白上 実』。大悟のクラスメートで、小さい頃からの友達。もちろん、鏡太の事も知っている。
『オレにもよく分かんないよ。』
大悟。
『朝から夫婦喧嘩とは仲がイイねぇ~、鏡太。』
立ち上がり、鏡太を見下ろす。
『夫婦じゃないし、喧嘩でもない。』
鏡太が実を見上げる。
『よぉ。』
軽い挨拶をする実。
『キミ、誰?』
ボケをかます鏡太。
『オレだよ。オレ。』
親指を立てて自分を指しながら言う。
『実だよ。て、早く、退いてよ。』
大悟が言う。
『あー実かぁ~。だいぶ、変わったな。』
立ち上がり言う。
そして、大悟もようやく、立ち上がる。
『そうかぁ~。お前はかなりかっこよくなったな。』
重要なことを忘れて懐かしむ面々だった。