☆中学校★
『っは。』
鏡太は我に返った。
そして、美穂のそばによりそり抱きしめた。
『そんなの、決められるわけないだろう。』
その言葉に美穂の目に溜まっていた涙が溢れだした。
しかし、鏡太は話続けた。
『大悟は友達として一番大切な存在で、美穂は……ん~その…特別な存在……。』
鏡太は頬を赤くして言う。
『やっぱり鏡太はどこに行っても鏡太のままだったのね。』
鏡太の言葉に嬉しさを隠しきれなかった。
そして、鏡太はようやく開放され、大悟の家に帰れるのだった。
そのころ、大悟は……。
『オイ。なに、ボーっとしているんだ。』
イチゴが大悟をひっかく。
大悟はその痛みによって我に返った。
『いったぁーい。なにするの。』
ひっかかれた顔を手で触りながら言う。
『なにって、オレ様を無視するからだ。』
爪を舐めながら言う。
『え、無視?無視なんかしてないよ。』
鏡で、傷の箇所を確認する。
『じゃ、なんで、ボーっとしていた。』
イチゴ。
『あ、そうだ。鏡太の近くに、まだ強盗犯がいるみたいなんだ。』
鏡太のことを思いだし、意味の分からないことを言いだした。
『強盗犯?バカか。誘拐犯だろ。』
冷静に突っ込むイチゴ。
ピロピロピ~。
ケータイが鳴る。
『あ、鏡太だ。』
あわてて電話に出る大悟。
『あ、もしもし。鏡太、大丈夫?』
大悟が心配する。
『イヤ、大丈夫じゃないから電話かけたんだけど………。』
無事に家路についたはずの鏡太になにかあった様子。
『なにがあったの?』
『それが、帰り道が分からなくて………』
少し笑い気味に道に迷ったと言う鏡太。
『え………。』
唖然とする大悟。
『大悟?おーい。』
返事のない大悟に問いかける。
『あ、ちょっと待てて。迎えに行くから。とりあえず、近くになにか目印になるようなものある?』
誘拐犯のことなど忘れている大悟。
『あるある。ちょうど中学校の目の前にいる。』
『分かった。今から迎えに行くからそこで、待ってて。』
『悪いな。』
電話を切り、鏡太を迎えに行く準備をする大悟。
『アレ?』
中学校の正門前に着いた大悟。しかし、鏡太の姿が見当たらない。
ケータイを取り出し、鏡太に電話をする。
『もしも~し。もうすぐ着きそうか?』
鏡太が聞く。
『着いてるよ。どこにいるの?』
『正門前。』
『え、オレも正門前にいるんだけど……。』
大悟はもう一度、辺りを見渡す。しかし、鏡太の姿は見当たらない。
『人すら近づいてきてないぞ。』
鏡太も周りを見渡しながら言う。
『ホントに中学校?小学校の前とかじゃない?』
『オレ、大悟と違って頭イイからそんな間違いしないよ。』
『なら、今どこにいるのさぁ?』
若干、イラっとする大悟。
『怒ったぁ?』
茶化す鏡太。
『怒ってないよ。いいから早く確かめて。』
『はいはい。』
鏡太はもう一度、確かめた。