☆鏡太の選択肢★
『美穂、なんでオレはここに連れてこられたんだ。』
鏡太がケータイを片付けながら言う。
『いろいろと聞きたいことがあったのよ。』
少し頬を赤くしながら言う。
『なに?あ、その話、明日じゃダメか?』
鏡太はお腹を擦りながら言う。
どうやら、お腹が空いたらしい。
『お腹痛いの?』
美穂。
『違う。腹、減っただけ。』
鏡太。
『なら、私が手料理をご馳走するわ。』
嬉しそうに言う美穂。
『遠慮します。ホントに痛くなったら困るから。』
苦笑いをしながら答える鏡太。
『どういう意味かしら?』
『いや、深い意味はないよ。ただ、今日は大悟の家でご馳走になる約束があるから早く帰りたいんだけど……。』
殺気を感じとった鏡太は逃げる選択肢を希望した。
ピロピロピ~。
ケータイがタイミングよく鳴る。
『タイム。電話。』
会話を止め、電話にでようとすると。
『誰?』
何故かハンマーを持っている美穂。
『大悟だよ。だから、ちょっと待て。てか、そのハンマーどこから持ってきた。』
冷静に突っ込みをいれる鏡太。ケータイはなり続けている。
『分かった。ちょっとだけよ。』
上にあげていたハンマーを下げた。
命の危険を感じながら、やっとのことで、電話にでる。
『もしもぉし。』
鏡太。
『あ、電話大丈夫?』
大悟。
『電話は大丈夫だけど、オレの命が大丈夫じゃないかも……』
またしても誤解を招くような言い方をする鏡太。
『え、誘拐犯まだ近くにいるの?』
大悟。
『目の前にいるなぁ。まぁ、もうすぐ帰るわ。詳しい話は帰ってからするよ。』
そのまま、電話を切った。
『なんか、心配してるみたいだから、帰るわ。オレ。』
さわやかに言う鏡太。
『私と、林クン。どっちが大事なの?』
目に涙を浮かべてとんでもないことを言いだす美穂。
あ、林クンとは大悟の苗字です。
『え……………。』
とっさの発言に鏡太の思考回路が停止した。