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☆誘拐★

『ん、ん~……。』

目を覚ます鏡太。


『ここは……。』

辺りを見渡す。

真っ暗で何も見えない。が、手足を縛られていることだけは把握できた。


『油断しすぎた……一応、企業の会長子息兼、しょぼいけど社長もしてるもんなぁ。』

後悔と反省をしていると、いきなりライトがつく。


『んっ。』

反射的に目を閉じる。

そして閉じ込められていた部屋の扉が開き数人の男達が入ってくる。


『運びだせ。』

の、一言で台車の上に乗せられる。

鏡太は目が慣れてきて、犯人達の顔を見ると一人だけ見覚えがあった。


『誘拐犯さん。どこに連れて行くんだ。』

『…………………。』

鏡太が質問したが無視された。


『人質なんだからさ、もっと大事に扱ってよ。』

『…………………。』

更に質問を続けたがまたしても無視された。


『なんか言えよ。』

と、鏡太が言うと、男は催眠スプレーを取り出した。


『お静かに。』

男は言うのとほぼ同時に鏡太の顔に噴射した。

案の定、鏡太は再び眠りに落ちた。



 そのころ、大悟はまだアタフタしていた。


『うるさい。寝られないだろ。黙れ。』

イチゴが怒鳴る。


『う、うん。』

ようやく落ち着いた大悟。


『やっと寝られる。』

大悟が静かになったので、寝始めるイチゴ。


『警察に連絡しなきゃ。でも、なんて……。』

ここにきて、重大なことに気づいた。

誘拐犯から身代金の要求をされたわけでもなく、置手紙もない。誘拐される現場を自分で見たわけでもない。見たのが子猫。警察が相手をしてくれるはずがない。

大悟は究極の選択に迫られた。


ウソと真実、どちらで真相を伝えるか……。


ウソとは、ノラが目撃したものを自分で目撃したことにし、誘拐の事実を通報する。この方法なら、警察も相手をしてくれるだろうが辻褄が合わない部分がでてきてしまう。


真実とは、ありのままを警察に伝える。この方法だと、確実に警察は相手にしてくれないだろう。相手にしてくれたとしても、イチゴの言っていることが理解できることが鏡太以外のいろんな人にバレる可能性がある。


悩む大悟。

ピロピロピ~。

ケータイのメール着信音が鳴る。


ビクっと大悟が驚く。

ケータイを取り出し、宛名を見た大悟は驚いた。


『鏡太からだ。』

急いでメールの内容を確認する。


『帰るの遅くなるわ(-.-;)』

と、だけ書いてあった。


『幽界されたんじゃないの』

急ぎすぎて変換を誤っていることにすら気がつかずに返信をした。

ピロピロピ~。

すぐにケータイが鳴る。


『別にまだ死んでないけど、生死は彷徨ってる(^-^;)』

意外にも余裕があるかのような冷静なメールが返ってきた。


『生死って、大丈夫なの?』

余裕のない送信。


ピロピロピ~。

そしてすぐにケータイが鳴る。


『大丈夫っちゃ大丈夫かな(o^-')b!』

このメールを見て、なぜかホっとする大悟だった。

何も解決していないのに……



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