☆地獄の日々・二日目の夜(後編)★
『ただいま。』
大悟が帰宅。
『………………。』
返事がない。
『キョータぁ~?』
と、言いながら自分の部屋に向かいながら名前を呼ぶ。
『…………………。』
もちろん返事もなく、部屋には誰もいない。
と、そこへイチゴも帰って来た。
『オイ。アレはどっかにやったのか??』
相変わらずの口調で話すイチゴ。
『うぅん。ここに………。』
と、首を横に振り、ノラを抱き抱える大悟。
『俺の話しを聞いてなかったのか?それともその顔にキレイな模様を付けてやろうか?』
イチゴの周りが物凄い燃えているかのように見える大悟。そして、鏡太が言っていた事が現実味を帯びてきて焦る。
……………ふと、ある事を思い出す。
『それは置いといて鏡太しらなぃ??』
イチゴに聞く。
『そんなこと知るか。』
そしてイチゴの怒りが爆発した。
……………………。
『あ~スッキリした。』
イチゴはそう言うと1階へと降りて行った。
大悟の顔には縦横キレイに線が入っていた。
『痛い…………。』
大悟の目に涙が溢れる。そして、それが垂れ始めて傷に染みる。そして、ノラを床に落とした。床に落とされたノラは大悟に必死に鳴く。
『ニャ~ニャァニャ~。』
何かを訴えているようだが、大悟はあまりの痛さでそれどころではなかった。
するとノラは階段を降りてイチゴの元へ向かう。
イチゴはソファーの上で丸くなって寝ていた。
そこへ、ノラがやって来た。
『ニャ~ニャァニャ~』
と、鳴く。イチゴは聞く耳を持たなかった。それでもノラは必死に鳴く。
『ニャ~ニャァニャ~ニャ~ニャァニャ~ニャ~ニャァニャ~ニャ~ニャァニャ~ニャ~ニャァニャ~ ニャ~ニャァニャ~ニャ~ニャァニャ~ニャ~ニャァニャ~』
延々と鳴く。
すると顔の傷に消毒などをしていた大悟が来る。
『どうした?ノラ!そんなに鳴いたりして。』
と、ノラに話しかける。
『ニャ~ニャァニャ~』
と、鳴く。大悟には全く分からない…………。
『イチゴ様。』
大悟。その名前の呼び方にビクっと、寒気を感じたイチゴ。
『何を言ってるか教えて。』
と、手を合わせて頭を下げる大悟。
『イヤだね。まぁ、鯛の尾頭付きの魚を買ってくれるなら考えてやる。』
と、いつもの口調で話しをするイチゴ。
『ニャ~ニャァニャ~』
と、またノラが鳴く。
『オイ!俺様が帰って来た時に鏡太の事を聞かなかったか??』
イチゴが聞く。
『えっ、どうしたの??』
突然の言葉に動揺する大悟。驚きすぎて聞き返してしまった。
『いいから俺の質問に答えろ!!』
若干、キレ気味に言う。
『えっと……俺が家に帰って来てからいないんだよ。2階の俺の部屋で昼寝をするって言ってたのに………。』
大悟が答えると……。
『オイ!!チビ!!鏡太はどこに行ったって??』
と、イチゴが初めてノラに話しかけた。
すると………。
『ニャ~ニャァニャ。ニャニャァニャ~………。』
と、ノラが鳴くと。
『黒い服を着ている人に無理やり眠らされて、どこかに連れて行かれたんだとよ。』
と、イチゴが大悟に言う。
『………………誘拐!!!?』
少し間がありながらも、ようやく鏡太の状況を把握した。
『どうしよう……イチゴ!!警察に電話するべきだよね??』
猫に相談する大悟。
『知るか!!俺に聞くな!!』
そして、また寝始めたイチゴだった。