☆地獄の日々・二日目の昼★
ノラを明日の朝まで預かることになり、イチゴの発言に困り果てている大悟。
『こうなったらイチゴには悪いけど子猫に馴れてもらおう!!』
決意する大悟。
しかし、横から心臓に矢が刺さるようなキツイ一言が……。
『ムリムリ。あのわがままなネコちゃんがそう簡単に馴れる訳ないって!大悟の顔に紅い編み目状の物ができるだけだって。』
と、テレビを見ながら言う鏡太。
人事なのでおもしろがっている事がはっきりと分かる程、顔に出ている。
『人事だと思って………。』
必死に考える大悟。その時、ふと、ある事を思いだし鏡太に言う。
『ところで松田さんには会いに行かないの?』
鏡太の顔色が変わる……。
松田さんとは大悟のクラスメートで松田美穂と言い、鏡太の彼女。
小学校を卒業する二ヶ月程前に付き合うようになり、鏡太が引越してからも、ちょくちょく会っていたりもしている。
『どうかした??』
大悟が言うと。
『さぁ、イチゴが帰って来ても大丈夫な方法を考えようか。』
触れて欲しくない話題だったらしく、話題を変えた鏡太。
『ケンカでもした?』
さらに質問をすると。
『してない。』
八つ当たり気味に答えてしまう鏡太。
『なら何で会いに行かないの?』
『別にいいだろ。 わざわざ会いに行かなくても。』
『なんで?転校してからウチに用事で来る時ぐらいしか会えないのに。』
『いいの。』
鏡太は美穂とちょくちょく会っていることを教えてないみたいだ。
『よくないよ。かわいそうだよ……。』
『大悟には関係ないだろ。』
と、鏡太が言った瞬間。
『帰ったゾ。あのクソ猫どうにかしたか?』
と、イチゴが帰って来た。
『あ………………。』
大悟の顔が真っ青になる。
『お前……死にたいのか?』
イチゴの目つきが変わる。
『我慢して。明日の朝まででいいから。お願い。』
両手を合わせて言う大悟。
『我慢できるか!!』
怒鳴るイチゴ。
『落ち着きなよ。とりあえず冷静に。ね。』
鏡太がイチゴに言う。
『俺様はいたって冷静。まぁ、とりあえず昼飯。』
イチゴが言うと大悟は。
『分かったけど、魚はないよ。』
大悟が冷蔵庫の中を見てから答える。
『何で魚がないんだ?昨日、あんなに買ったじゃないか。』
『全部食べたよ。昨日の夕飯で。』
『なら買いに行け。』
物凄い上から目線の発言に大悟が。
『いやだよ。少しは我慢もしてよ。』
『俺様の辞書に我慢と言う言葉はない。』
言いきったイチゴ。
『なら、もぉ昼飯無し。』
大悟が言うと。
『後悔するゾ。イイな?』
『後悔なんてしなない。』
大悟が言うとイチゴはまたどこかへ行ってしまった。
『この勝負はイチゴの勝ちだな。』
鏡太が言う。
『何で??』
大悟が聞く。
『しばらくすると分かるよ。』
ニコッと答える鏡太だった。