☆地獄の日々・二日目の朝★
翌日。
『ギャァーー。』
全身の毛を逆立てて飛び上がり、目覚めるイチゴ。
大悟・鏡太にしか聞こえない悲鳴。普通の人は『ニャァー』です。
その悲鳴にびっくりして跳び起きる大悟。
『なに!?!?!?』
慌てて周りを見渡す大悟。しかし大悟の視界にイチゴの姿はない。
前日と同様、大悟の寝ていた場所はベットなので当然、イチゴのベットは見えない。大悟はベットから落ちないように下を覗き込む。しかし見えるのは鏡太の寝顔でイチゴの姿は見えない。
さらに、そのかわりに預からなくてよくなったはずのノラがスヤスヤと眠っていた。
イチゴは目を覚まし、自分が大嫌いな子猫、ノラが横で一緒に寝ていたのにビックリして悲鳴をあげたらしく、その姿はない。
『何でノラがいるんだろ。』
大悟が疑問に思っていると。
『大悟!何でそのクソ猫がいるんだ?!』
イチゴが部屋の入口で身震いしながら聞く。
『分からないけど、昨日、俺達が寝た後でまた預かったのかなぁ。』
大悟が答える。
『何でそんな事を俺様の許可を得ずにするんだ!!』
怒りの炎が燃え上がっているイチゴが言う。
『そんな事言ったってしょうがないよ。父さんの会社、上下関係にうるさいから。』
大悟が答える。
『そんなこと知るか。』
全身の毛を逆立て言うイチゴ。
『まぁまぁ。』
和ませようとする大悟。
『昼までになんとかしとけよ。』
イチゴはそのまま外へ出て行った。
『昼までに何とかしろと言われても……』
悩む大悟。
『それにしても、鏡太のヤツ、あれだけの悲鳴で、起きないなんて……。』
鏡太の寝顔を見て、なぜかホッとする大悟だった。
『大悟。お前、そんなところで何してんの。』
鏡太が起きた。目を開けると、大悟が部屋の入り口付近で、つっ立っていた。
鏡太は先ほどの話の流れを知っているはずもなく、大悟が部屋の方を見て立っているのに疑問を感じたらしい。
『あ~なるほどね。』
大悟は鏡太に前日、今朝の一通りの話をした。
『わりぃ。コイツを家の中に入れたの俺なんだ。』
鏡太は大悟に謝り、話が続いた。
『お前らが寝た後、しばらく寝付けなくてボーとしてたら、窓をガタガタするネコがいて、話を聞いたら、この家のネコって言うから中に入れたんだ。』
一連のできごとを説明した。
『なるほどね。とりあえず、父さんに知らせないと。』
大悟は1階へと降りて行った。