☆再開2★
『ただいま。』
大悟が玄関を開けて言う。
『お帰り。イチゴちゃん見つかった?』
優子が聞く。
『見つかったよ。鏡太と一緒にいた。』
大悟が玄関に座って靴を脱ぎながら言うと。
『鏡太って………キョーちゃん?』
優子が聞く。
『そぉ。それで今日家で……』
『ウソ!!引越し、今日だったかしら。』
大悟の話を最後まで聞く事なく意味深な言葉を発した。
『引越しって?』
大悟が聞くと。
『聞いてないの。ユキちゃんと二人だけ、またこの町に住むことになっているのよ。そんなことより、キョーちゃんはどこにいるの?』
かなりテンションが高い、優子だった。
優子が言っていたユキちゃんとは、鏡太の母親で優子の親友でもある幸子のことである。
『もうすぐ来るよ。今、運転手さんと話してる。それより……』
『そうなの。会うの楽しみ。』
息子の発言は最初の部分しか聞かない母親だった。
ガチャ。
玄関のドアが開く。そして。
『お久しぶりです。』
鏡太が恐る恐る入ってきた。
『キャー。やっぱり。イイ男になってるわねぇ~。』
テンションがさらに上がる優子だった。
『無視していいよ……』
呆れる大悟。
『おばさんもいつ見てもキレイですね。』
最後は、ニコっとして言う鏡太。
『あのぉ、話すのはこの辺にして、リビングに行かない?』
鏡太の発言に呆れさが増す大悟。
『そうね。それより、引越し、今日だった?』
落ち着いてきて優子が聞く。
『まだですよ。いろいろと手続きをしに先に一人で来たんです。大悟を驚かそうと。ビックリした?』
チャメっ気たっぷりな顔をして大悟の方を見ながら言うと。
『ビックリした。ビックリした。で、今日泊まるの?』
冷めている大悟。
『泊めて。家の鍵が合わなくなってて入れないんだ……』
『じゃ、布団用意してくる。』
大悟は2階へと向かった。
『あ、これ、商店街の魚屋さんで買ったんですけど、お土産です。』
魚を優子に渡した。
『ありがとう。腕によりをかけて豪華なご飯作るわね。』
物凄い笑顔で優子はキッチンに向かった。
『よろしくお願いします。俺は、ちょっと、忘れ物したんで取りに行ってきます。』
鏡太は再び、外に出た。