表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時空を越えて  作者: 上田
1/3


新連載です


一度でいいから、こんなお話を書いてみたかった!!


読んでいただければうれしいです^^





朝。




私は普段より早く目が覚めた。

早く目は覚めたけれど、いつもやることにかわりはないから私は机に手を伸ばす。



昨日も遅くまで勉強をしていた。

そのため、机の上にはノートや参考書が散らかっている。

それを片づけることが普通になっているのだ。

私が参考書を手にした時。





カタカタ――――――――――――――





いったいどこから?

突然聞こえてきた音に私はあたりを見回す。

しかし、音がどこからでているのかはわからないわけで、私はまた片づける作業にはいった。





カタカタ――――――――――――――





まただ。音は鳴りやんでいない。

私はもう一度、あたりを見回して気づく。

私の真後ろにあるクローゼットがカタカタと小刻みに音をたてていたのだ。




「え……?」




気になって、私はクローゼットに手をのばした。

勝手に音をたてているクローゼットに多少怯えながらも、額に流れる冷や汗をぬぐう。

そしてクローゼットを開けようとしたら――――――――――――





「うわぁぁぁぁぁぁぁッ!!」






突然[何か]が、クローゼットからでてきたのだ。

そのまま私は床へ倒されることになってしまった。



「い……ッ!」



頭をうち、視界が一瞬眩んだ。

徐々に視界がもとに戻ってきた私は[何か]を理解することができた。




「痛た……。ん、ここは何処だ?」




顔をしかめて腰をさすっている目の前の[何か]は、男だった。

ボサボサの頭をポニーテールを思わせるかのようにくくりあげていて、服は軍服。

みるからに、おかしな男だ。



「…………ッ!」



けれど一番私が驚いたのは、刀。

この男、刀を差していたのだ。




「そこの子、ここはいったい何処かわかる?」




私に気づいた男は話しかけてきた。

ここは私の部屋だ!と言いたかったが、それどころではない。

私は男の刀にしか目がいかなくて、口をパクパクするばかりだった。



私の視線の先に気づいたのか、男は刀を床に置き、



「危害をくわえるつもりはない。ただ、ここが何処なのか教えてもらいたいな」



と言った。



「…………私の部屋よ」





「………………へぁッ!?」




間抜けな声をあげ、男はみるみるうちに顔を紅潮させる。

そしておどおどしながら、




「無断で女子(おなご)の部屋に入ってしまったなんて…………切腹だぁぁぁッ!!」



服を脱ぎ始めた。



「ひゃぁっ!!」



いきなり脱がれるものだから、私はあわてて両手で顔を覆う。

……けれど、やっぱり気になってしまうものだ。

ちゃっかり、指の隙間から様子を見ていた私である。



男は懐から小刀をとりだしてそれを腹に――――――――切腹!?



「いけませぇぇぇぇぇんッ!!」



腹寸前のところで止めることができた。

こんなところで切腹されても困ってしまう。

私は男の腕をつかみ、なんとか小刀を鞘に収めさせることができた。



「なにするんだよ」



何故止めたのか、と言わんばかりの目で睨まれたが、そんなことはしらない。



「それはこっちの台詞よ!いきなりそんなことされても困るわ」



「そ、それは……ごめん。けど、無断で入っちゃったし、責任を……」



「私、気にしてませんよ」



しれっと言った私に男は驚いたような顔をした。



「え?」



実際、部屋に入られたことはあまり気にしていない。入られたというか、いきなり出てきたのだから。

気になるのは他にある。



「あなたは、いったい誰なの?」



そう、この男のことだ。

いきなりクローゼットから出てきて、軍服というおかしな出で立ち。さらには刀を差していて、とても普通とは思えない。




「僕?僕は、河上千尋(かわかみちひろ)。旧幕府軍として、戦っているんだ。君は……蝦夷の人かい?」






蝦夷?旧幕府軍?戦い?

なにを、言っているんだろう。この言葉から浮かんでくるのは――――――――



――――――――――戊辰戦争。



幕末におこった、新政府軍と旧幕府軍の戦いだ。しかし、そんな時代、とっくに過ぎているはず。

目の前の男――――河上千尋は何を言っているんだろう。



「私は、西藤小春(さいとうこはる)。……東京都民よ」



「東京?聞いたことないな……異国の人かい?」



彼は、本気で言っているみたい。



「日本だけど……」



「え、日本!?僕もだけど、そんな藩は聞いたことないな」



もしかしたら、本当に河上は幕末の人なのかもしれない。

たしかに、髪型や服装、そして刀をみれば納得できるかもしれない。

だけど、もしそうなら、河上はどうやってここに来たのだろうか。




「あの、河上さん?どうやってここに来たんですか」



クローゼットから出てきたのだ。方法が気になって仕方がない。



「それがさ……」



そう言って河上は話し出した。

河上によると、こうらしい。














時は明治元年。

新政府軍に追いつめられた旧幕府は蝦夷へと向かっていた。彼も蝦夷へ向かう船に乗っていたらしい。

無事、蝦夷地に着き、隊士と共に部屋に向かっていたことろ、カタカタと不思議な音が聞こえてきたようだ。

音はどうやら戸棚からしていて、気になった河上が戸棚を開けた瞬間――――――――――――














「ここに居たというわけだ」



「…………………………えッ!?」



今の話が本当ならば、河上はタイムスリップしたのではないか。

未来からならぬ、過去からのタイムスリップ……。ドラ○もんも驚くだろう。




「ねぇ、僕はどんな状況なんだい?」



真剣に河上は聞いてきた。

そうか、河上はタイムスリップという言葉を知らないんだ。

私は、河上に状況を説明してあげた。













「つまり、僕は未来に来てしまったということかい?」



「そうそう」



「戻る方法はわからない、ということかい?」



「そうそう」




あれからクローゼットに何度も入ったのだが、戻ることができないのだ。



「しばらくここに居ていい、ということかい?」



「そうそう………………って違うわ!」




危うく話に乗せられてしまうところだった。



「そうか…………」



そんな、しゅんとされても困ってしまう。

なんだか、河上が小動物に見えてきてしまった。

こんなに体はがっちりしているのに、何故だろう。……………………。





「…………迷惑、かけないなら、いいよ」



「本当!?優しいね、小春は」



「迷惑、かけないならね」



「うん。お世話になりますっ」





なんだか、流れで言ってしまったが、言った以上は仕方がない。

でもよく考えると年頃の男女が一つ屋根の下って…………。これも今更考えたって仕方がないこと。





これから、大変になりそうな予感がする。

私はどっとため息をついた。










どうでしょうか?


ご感想、おまちしています^^



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ