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ありふれたRPG勇者

作者: くま
掲載日:2026/06/01

豪華だな。


なぜだか見えるはずのない柱の裏にいる兵士の位置が分かる。自分の後ろに並んでいる兵士たちの場所も分かる。




だが、窓の向こうは見えない。


窓はある。光も差し込んでいる。なのにその先だけが認識できない。




なんだ、この場所は。




王座に座る男が口を開いた。




王様「おぉ、お前さんが全国民に強制させることでやっと選ばれた聖剣に選ばれし勇者か。あの悪の魔王を倒しておくれ」




俺は口を開こうとした。




勇者「……」




声が出ない。


王の前まで歩いていく。




王様「おぉ、お前さんが全国民に強制させることでやっと選ばれた聖剣に選ばれし勇者か。あの悪の魔王を倒しておくれ」




同じことを言った。




俺は2マス隣にいる王妃へ向かった。


(2マス? 俺は何を考えてるんだ?)




王妃「勇者様は、お若いのね。今夜どう?」




(少々ケバいが若いな。ぜひお願いします)




勇者「……」




(口よ動けー!)




もう1度話しかける。




王妃「勇者様は、お若いのね。今夜どう?」




勇者「……」




何度か試した。




勇者「……」




(諦めよう)




近くの兵士に話しかけた。




兵士1「道具屋では勇者価格で5ゴールドで薬草を買えるんだけど、10ゴールドで売れるんだ」


(へー)




兵士2「宿屋のクローゼットにステテコを忘れてしまった」




兵士3「勇者様、ご武運を」




兵士4「実は王様は魔王四天王の1人なんだ」


(おい)




兵士5「オプションから会話速度、移動速度を最大2倍に出来るから試してみるのもいいかもしれないよ」




兵士6「メニューを開くとステータス、持ち物、装備、スキル、オプションが確認できるぞ」




(一人を除いて自分の話したいことしか話さない国は自己中が受かりやすいのか?笑)




---




王城を出た。


(謁見の間からすぐ外なのに、出るまで外が見えなかったな)




王城の前にはガタイのいい立ち絵の大男とマーシャがいた。




戦死「おぅ、あんたが勇者様か! 俺は戦死! あんたと魔王討伐にともにするぜ!」




勇者「……」




魔女っ子「ふん、貴方が勇者ね。魔女っ子の私が魔王討伐の手助けをしてあげるわ。勘違いしないでね」




勇者「……」




戦死と魔女っ子が仲間になった。


そして2人は目の前から消えた。




(消えた!?)




だが後ろに気配が2つある。




(いるのか? いるんだな?)




とりあえず情報収集だ。




犬「ワン」


猫「ゴルァアアアアアッ!」


(威嚇が強いな)




老人「お前さんが勇者様かい。ショートカット、低身長、ホットパンツ、マイクロビキニ、ちっぱい。小さい、低い、幼いは至高である」


(わかりみ深し)




子供「右のおじいちゃんなんかあたしを見る目が怖いの。ザコザコなのにザーコ」


(ちょっと分かんないかなぁ)




---




装備屋の裏で宝箱を見つけた。


【伝説の県】を手に入れた。




メニューを開く。


装備→勇者→おすすめ装備




頭装備に【伝説の県】が装備された。


攻撃力+900。


ちなみに聖剣は攻撃力+50だった。




(考えないようにしよう)




道具屋へ入る。




道具屋「勇者様は国から援助金が出ますので買うなら半額、売る場合も2倍でいいですよ」




薬草を買う。


売る。


買う。


売る。


買う。


売る。


買う。


売る……。




持ち物:薬草×99999


    毒消し×99999


    復活草×99999


    全体全回復薬×99999


    魔力薬×99999


    エリクサー×99999


所持金:9999999999ゴールド




(国庫大丈夫か?)




装備屋へ向かう。




装備屋「自慢の作品たちだ、見ていってくれ!」




* ドラゴンスレイヤー(攻撃力+30)100000ゴールド


* 大賢者の杖(魔力+30)100000ゴールド


* ヒノキの棒(攻撃力+300、魔力+300)1ゴールド


* 兜(防御力+30)10000ゴールド


* カブト虫(防御力+300)10ゴールド


     :


     :




(!?)




ヒノキの棒


カブト虫


穴の空いた服


赤地に黒水玉のミニスカ。(ミニー?知らないネズミだね。)


鉄下駄。




つい10個ずつ買って装備した。




宿屋へ向かう。




宿屋「昨夜はお楽しみでしたね」


(泊まってない)




もう1度話しかける。




宿屋「昨夜はお楽しみでしたね」


(泊まれないのかよ)




2階へ向かう。クローゼットを開く。




【ステテコ】


詳細:使用することで第2形態の魔王を倒すことができる。


追伸:理論上レベルを上げれば裸アイテム禁止でもストーリーはクリアできます。




(何がどうなったらステテコで魔王が倒せるんだ)




---




街を出た。東の魔王城を目指す。


魔物を倒し、レベルを上げ、宝箱を開け、森を進む。




森を抜ける直前。声が響いた。




サイジャック「俺様はサイジャック! 魔王四天王最強の存在だ!」




戦闘開始。魔女っ子が攻撃した。


サイジャックは504ダメージ受けた。




サイジャック「うぉぉぉ! おのれ! 魔王四天王最強の俺様が倒されるとは! このままでは魔王様が危ないぃぃ!」




煙になって消えた。


【勇者パーティーはレベルが上がった。】




――そして。


気が付くと森の入口だった。レベル1。装備なし。所持金初期状態。


(ロード? 何かはわからないが、その単語が頭の中に流れた)




再び森を進む。今度はレベルを上げないように慎重に、あと装備は外しておく。これで魔女っ子の攻撃力は1だ。




再びサイジャックが現れる。




サイジャック「俺様はサイジャック! 魔王四天王最強の存在だ!」




魔女っ子が攻撃した。


サイジャックは1ダメージ受けた。




サイジャック「うぉぉぉ! おのれ! 魔王四天王最強の俺様が倒されるとは! このままでは魔王様が危ない!」




煙になって消えた。


【勇者パーティーはレベルが上がった。】


(天丼だった笑)




その後も旅は続いた。


雪山では双子のサキュバス。


砂漠では巨大なドラゴン。


火山では溶岩の王。


なんやかんやあって全部倒した。




---




そして魔王城。入ってすぐ。


そこにいたのは――”王様”だった。




王様「よくぞここまで来たな」


(なぜここに王が!?)




勇者「……」




王様「流石は勇者。驚かぬか。いや知っていたか。そう。我は王にして、魔王四天王最後の1人。王様なのだ!」




ででん。


(そういえば兵士4がそんな話をしてた気が。)




激戦の末に倒した。


(第3形態まであるのかよ)




後日談:勇者が倒されると覚醒して1撃で倒せます。倒されないと、ストーリー上最強の敵です。




心の声だけは元気だった。そして、最奥。魔王がいた。




魔王「とうとうここまでたどり着いたか勇者よ」




勇者「……」




魔王「実は私はお前の父なのだ」


(誰だよ)




魔王「お前も魔王にならないか」


(断る手段がないんだが)




戦闘開始。激闘。ステテコ使用。魔王第2形態撃破。魔王撃破。




(ステテコすげぇ……。使ったとはいえどう使ったんだろう)




エンドロール。





ーーーーーメニュー画面ーーーーー





☆はじめから




☆ロード




☆オプション




☆クリア特典 new! ←




ーーーーーーーーーーーーーーーー




クリア特典。




謎の声「最後まで遊んでくれてありがとう」




勇者「……」




謎の声「ここでは僕に話しかけることでデバッグモードで好きにステータスを弄り、ボス達と戦うことができるんだ」




勇者「……」




謎の声「最後のボスラッシュを倒す際は全ステータス9999の3人で詰将棋のようにできてるから頑張ってみてね」




勇者「……」




謎の声「一応僕のルートはブログにのせてるけど。もし別ルートを見つけたらブログやX(旧ツイッター)に連絡をくれると嬉しいな」




勇者「……」




謎の声「僕の初めての作品だけど、今後も作っていく所存だから他の作品も楽しんでね」




沈黙。しばらくして。勇者は思った。




(あれ)


(俺はどうすれば?)




ブツン。画面が暗くなった。




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