「天使と剣士が村を守ってくれと頼まれる話」
Yeah!
私、天使です。だって背中から羽が生えてますし、頭の上にも輪っかがついてるんです。
そして、薄着のままでも熱くも寒くもないのです!
でも、私、なんでここにいるのかわからないから剣士さんと旅をしています。
剣士さんは最強を目指してまして、その途中で呪われてしまったのですが、私と一緒に居ると呪いが薄まるので一緒にいるのです。
いまは、「天の国」への手がかりがあるという伝説を手がかりに西の方へと旅をしています。
「Yeah! やっと村に到着しましたね!」
「……ここら辺は二つの国の間で緊張状態が続いてる。用心しろ」
あきれたように言うのは剣士さんです。
剣士さんは蟲人のアラクノイドという種族で手が8本、脚が2本もある蜘蛛に似た種族です。
不愛想ですが、8本の腕で器用に剣を操るのです。
実際、旅の資金に困ったときは8本の腕で野菜を切る芸を披露しておひねりもらったりしてます! Yeah!
†
酒場に行くと誰かが困ったように声を上げていました。
ここは冒険者の宿なのですが、みんな目を伏せて、彼女と目を合わせようとしていません
「何でしょう、話を聞きに行ってみましょう!」
「お前はどうして、そう厄介ごとになりそうなことに首を突っ込もうとするんだ」
「私は天使です! 天使なら困ってる人を助けるのが本文のはずです」
「記憶がないのであろうが、どうしてそこまで自信満々なのだ……」
「Yeah!」
困った声をあげていたのはお姉さんたちです。
金色の髪で日に焼けておりますが健康的な顔色をしてます。
お姉さんを中心に数人が冒険者に声をかけていましたが、どうやら、受けてもらえなかったようです。
「どうしましたか!」
「えっと、あなたは?」
「通りすがりの天使です! 困ってるようなので話を聞こうと思いました!」
お姉さんや大人の人たちは顔を見合わせて困惑してるようですが、おずおずと口を開きました。
「実は村の周囲に凶賊が現れ、村に脅しをかけてきてるのです。このままでは村のたくわえなどが奪われ明日も困る有様で……」
「なるほど、助けましょう、Yeah!」
「待て」
腕組みをして話を聞いていた剣士さんがやってきます。
剣士さんを見たみなさんは驚いた顔をしていました。
どうやら、ここらへんで蟲人はめずらしいのでしょうか?
「さすがに安請け合いはできない依頼だ。詳しく話を聞いてから判断させてもらおう」
「長くなりますが……」
「かまわん」
剣士さんがガチガチと口を鳴らしてます。
「ここら辺の近況についてはわかってますか?」
「古竜が死亡したときの呪いにより発生した荒野地帯を境目にエシルヴァニアとザルクロスの2つの国がにらみ合ってるのだろう」
「そうです、そのせいで両国ともに兵を出しづらいのをいいことに凶賊が村々を荒らしまわっているのです」
「凶賊の規模は……?」
「50人ほど……」
「なるほど。冒険者が受けぬわけだ。数が多すぎる」
剣士さんは複眼を細めました。
「剣士さん、どうしても受けれませんか?」
「……そうさな。お主らは依頼を出す代わりに何を出せる?」
「かき集めた金貨なら……」
「……よし、それに荒野を渡れるだけの馬と糧秣もつけてもらおうか」
「剣士さん、いいのです?」
「どうせ、お前ひとりでもつっこむつもりであろう」
「Yeah!」
話はまとまったようですね!
「ただ、一つ言わせてもらう。さすがに二人では無理だ。魔術師、斥候、戦士、射手……最低でもあと5人は必要だ」
「資金はなんとか捻出してみせます……!」
剣士さんがうなずきました。
あと5人。仲間集めをして頑張りましょう! Yeah!