隣のUFO(ユーフォー)・・・「隣の...」シリーズ_01
「おとうさん、今度となりにひっこしてきた家族ねぇ、UFO持ってるんだよ」
「ユーフォーって? あぁ、空飛ぶ円盤。
なぞの <み・か・く・に・ん・ひ・こ・う・ぶっ・た・い> ってやつかぁ」
「なぞの <み・か・ん・ぶっ・た・い> じゃないよ、ユーフォーだってばぁ」
「ふ〜ん。それはそうと、もうおふろに入って寝る時間だぞ」
「ユーフォーはね、ター君がさぁ、ぼくと同じ一年生の男の子がね、見せてくれたんだ」
「最近はユーフォーのオモチャもあるのか?」
「ちがうよ、オモチャじゃないんだ。
そのユーフォー、ター君のおとうさんやおかあさんも使ってるし、みんなで使ってるんだ」
「家族であそべるオモチャかぁ」
「ちがうったら、使ってるんだよ。オモチャじゃなくて、ほんとのユーフォーなんだから」
「じゃゲームかなんか、なのか」
「ちがうよ。お手伝いもするし、もちろん空も飛ぶしね」
「そうか、そりゃドローンだよ。プロペラがまわって飛ぶやつだろ」
「ちがうよ、物知りだし、頭もいいんだ」
「新しいコンピュータかな? なるほど、あっはっは」
「なんであっはっはなの? そういえば、そのユーフォー、わらってたよ。あっはっは、ってね。
ユーフォーってとてもかわいいんだ。ミウちゃんとお話しするんだけどさぁ。あっ、ミウちゃんてター君の妹なんだよ」
「ふむふむ・・・」
「ねぇ、ねむくなっちゃったの?」
「ん? いんや」
「で、そのユーフォーがミウちゃんとお話しするときはね、
ミウちゃんは赤ちゃんだからしゃべれないんだけど、ユーフォーがミウちゃんにだけわかる言葉で話しかけるとね、ミウちゃんはバブゥってニコニコするんだよ」
「・・・・・」
「ユーフォーに入ってみたら、中はとても広いんだよ。ター君の話ではね、ユーフォーには大きさがないんだって。
もともと宇宙では、大きさというのはあんまり意味がないらしい。
どういうことか、おとうさんだったらわかるでしょ?」
「ん? なんだかむずしそうな話だなぁ」
「そっか、むずかしいんだ。まっ、いいや。
それでね、宇宙では、距離が近いか遠いかもあんまり意味がない。
重いのか軽いのかも意味がない。広いか狭いかにもあまり意味がないんだって。
だからユーフォーは、手に持つこともできるし、中にはいることもできるんだよ。
どう、便利でしょ?
おとうさん、ねむくなっちゃったの?」
「ん? いんにゃ」
「ねぇ、ぼくのはなしきいてよ」
「きいてるよ」
「きいてるだけじゃなくて、よぉくきいてよ」
「あぁ、わかってるさ」
「ター君のおかあさんがいってたよ。ぼくたちは、みんな宇宙人なんだって。たまたまこの地球でいっしょにいるんだけど、もともとは遠いどこかの星の上に生まれたんだってさ。
だからおとなり同士になったら、みんなで仲良くしなくちゃいけないんだ」
「そりゃ、おとなり同士は仲良くしなきゃならならないにきまってるさ」
「そうだよね。だから、おとうさんにもユーフォーに乗ってもらいたいんだって。
だから頼んでおいたよ。今晩、乗せてもらうことにしたんだ」
「今夜はもうおそいから、これからうかがったら迷惑じゃないか。あしたにしよう」
「わざわざいかなくてもいいんだよ。そうだ、窓をあけて確かめなくちゃ」
「おいおい、窓をあけたら、夜は寒いぞ。ほら、風も強いし」
「そんなことないよ。ほら、星がきれいだ。
それに、大きな青い星が遠ざかっていく。あれ、地球だよね」
「・・・・!!」