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VTuber事務所《FMK》 ~宝くじで10億当たったからVTuber事務所作ったらやべえ奴らが集まってきた~  作者: へいん
Chapter 2 "My Own Rainbow"

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イカれたメンバーを紹介するぜ

 初めてというのは誰でも緊張してしまいがちだが、自分はその手の概念とは無縁の存在であると、一鶴は自覚している。

 それは緊張の源となる恐れや不安というネガティブな感情を、どこかに無くしてきてしまったせいなのかもしれない。そうでなきゃギャンブルなんてやってられない。


 一鶴の場合、緊張を知らずな特性が悪い方向へと作用することの方が多い。

 空気が読めなくなったり、常人が踏み止まるであろう場面でアクセルを踏み込んだり、まあ皆様ご存じの通りだ。

 しかし大抵のケースにおいて、緊張しない、緊張出来ないという才能は、プラスに働くことの方が多い。

 例えば、初対面の人間と接する時などがそうだろう。


「おっはー、兎斗乃依(ととのい)っち。今日はよろしく!」


『あ、うん、よろしくね。なんか前回の打ち合わせの時も思ったけど、小槌って距離の詰め方超えぐいね。そこらへん私も神経太い方だと自負してたけど、こりゃVTuber界の未来のコミュ力王は小槌かなって感じ』


 お前はお前でよく喋るやつだな、と思いながら、一鶴はさりげなく通話相手である楼龍兎斗乃依の音声ボリュームを低くした。


 今日はコラボ当日だ。

 楼龍とは打ち合わせの時も通話を繋いでいたので初対面とは言えないが、初通話の時も大体こんな感じの距離感から始まったので大差はない。

 対人関係でも物怖じしないという強みを存分に活かして、一鶴はV業界の先輩である楼龍との関係を構築していく。

 更なる飛躍、更なる稼ぎのために。


 一鶴からしてみれば今回のコラボは降って湧いた幸運、カモがネギ背負ってやってきたようなもの。

 楼龍との繋がりはここで絶対にものにしておかなくてはならない。

 搾れるだけ搾り取ってやらねばならないのだ。


『あれ? なんか悪寒が……風邪引いちゃったかな? VTuberは身体が資本だから健康には人一倍気を遣わなきゃいけないのにマズったなあ。まあ、でもでもでも、病気したらしたでリスナーから応援のウルチャもらえたりするから一長一短だよね』


 めっちゃ喋るわね!


「病気したらお金くれるリスナーがいるってのは目から鱗ね。今度仮病で試すわ」


『あはは、小槌ちゃん噂通りのナチュラルボーンクズって感じでびっくり。でも仮病はダメだよ、手塚治虫だって言ってるでしょ、仮病はこの世で一番重い病気だよって。医者にもなれた人が言うんだから間違いないよ』


「なんか長台詞の中に埋もれさせてるけど、クズって言ったの聞こえてるからね?」


 とまあ、楼龍はこんな感じのお喋り大好きな女の子だった。

 一鶴が配信アーカイブで楼龍を見た時は、もう少し大人しい感じがしていたのだが気のせいだったのかもしれない。


「あ、そういえばだけど、サウナには入らないの? もしかしてもう入ってる?」


 楼龍の配信と言えばサウナ内からがお約束である。

 意味が分からないが、直近の60配信くらいは全部サウナ内からのものだった。

 どんだけサウナが好きなんだ。


『いやいや、いくら私がサウナ好きでも四六時中入ってるわけじゃないからー。ちゃんとそのくらいのメリハリは付けて生活してるよ。過ぎたるは猶及ばざるが如しだしね。さっきも言ったように健康第一なわけだし、サウナに入り過ぎても逆に体に悪影響な感があるもん。サウナインするのは配信が始まってからだよ』


「結局サウナには入るんかい」


『入るよぉー。だって温泉とサウナと落語は私の心のオアシスだからね。私はサウナを愛してるし、サウナも私を愛してるから。相思相愛? 密林配信のお子様社長にスカウトされたのもサウナの中でだったし、サウナは楼龍兎斗乃依のヒストリーそのものと言っても過言だよ』


「そう……」


 長くなりそうなので途中から聞き流していたが、とにかく楼龍はサウナが好きらしいことだけは分かった。

 代表が懸念していた、やりたくもないことをやらされているVTuberというわけではないらしい。

 一鶴としてはそんなことは別にどっちでも良かったが、一応後で報告しておくことに決めた。


 それはさておき、今日はマテリアル・ライン・テンペスト――マテラテをプレイするにあたり、もう一人VTuberが来る予定になっていたはず。

 なのに3人パーティーの3人目はまだ通話に参加してきていなかった。

 配信開始予定時刻までまだ余裕はあるが、土壇場で初顔合わせを済ますのは何かと面倒臭いものだ。

 なのでさっさと挨拶だけでもしておきたかったのだが……。


 ポロン♪


 と思ったタイミングで、誰かが通話に入って来た。


『悪かったわね! 遅刻したわ!』


「声でかっ」


 音割れギリギリのボリュームで少女が叫ぶ。

 この少女が楼龍が呼んだ3人目なのだろう。

 一鶴は通話ソフトに表示された名前に目を通して、読み上げた。


「えっと、広小路(ひろこうじ)ツン。あたしは金廻小槌ね、今日はよろしく。ツンちゃんって呼んでいい?」


『……っ! 何よアンタ! いきなり慣れ慣れしいわね! じゃあ、あたしも小槌ちゃんって呼ぶから! 末永く宜しくお願いします! 子供は二人は欲しいわ! 今のご時世女の子同士でも子供は作れるから問題ないわね!』


「ツンとデレの落差が凄まじいわね」


 距離の詰め方がえぐいどころか一気にゼロ距離まで迫って来た。

 この距離ならバリアは張れないな!


『浮気したら許さないから。あたし以外のVTuberと仲良くしないでよね』


 オマケにヤンまであるようだった。

 金廻小槌、楼龍兎斗乃依、広小路ツン。

 本日のコラボ配信はこの3人で行うようだ。

 キャラの濃い二人に自分の存在感が食われないか一鶴は警戒したが、世間から見れば金廻小槌も大概だということに本人だけは気が付いてない。

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― 新着の感想 ―
[一言] ツンとデレの落差ってか、ツン1・デレ3・名状し難いナニカ15って感じが…w この場の全員、距離感がおかしい… 何より、クズ…もとい一鶴が比較的マシに見えるのがね。 ヤバいね(語彙力)
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