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戦勝のお祭り2

 領主様による乾杯の音頭で、お祭りはスタートした。


 今さら器やコップ等が持ち込みである事を知り慌てたが、木の器自体も売ってるので、それを買ってあちこち回る事にした。

 串や器を使い捨てって訳にはいかない様だ、つくづくこの世界の産業は、発展していない様だ。


 買った器には焼き印が押されていたて、日付けとゴブリンロード討伐!と書いてある。

 記念に今度からこれを使おうかな?うーん若干恥ずかしいな、予備として手元に置いとくくらいかな。




 ヴィルにしては珍しく、早くルージュのとこの屋台に行って食っておこうと主張する。日頃主張の少ないヴィルにしては珍しいが、何しろ話題性ぶっち切りのNo.1の屋台だ!

 ヴィルの心配も理解出来るというものだ。


 味が知れ渡れば無くなる恐れがある、これにフランが同調し、急いで向かったのだが。すでに辺りには人だかりが出来ていた。

 セムさんが必死に人を誘導ゆうどうして列にしている、それも仕方ない事だろう。


 やたらと横長のかまどの上に簡易的な棚を作って、それにあみを乗せただけの作りで、隣りに机を置いてそこでアンジェラがお会計をして肉を渡している。

 これはいい。


 だが肉の棚の間に上に不自然に火が燃えている!魔法を薪代わりにして焼いている!これに客が目を奪われている、そして匂いだ!

 これはニンニクに似た何かを使っているのだろう、それを直火焼きだ!!否応なく食欲をそそられる!

 俺たちも急いで列に並んだ!!




 焼いた肉を何かのタレにけてさらに焼く!これによって辺りに暴力的なまでの香りを放っている!!すでに買って食ってる奴らの歓声が聞こえる!?

 まだか!まだなのか!?俺たちの番は!

 アンジェラの前にたどり着くと、喜ばれたが愚痴ぐちも聞かされた。これ程手をかけたのにルージュが安く売る!とアンジェラはお冠だ!これなら2、3倍でも絶対売れるのに!だそうだ。


 どうせ安く売ってしまうのだから、沢山持って行けと1人3つも渡され、メリッサの持っていた大皿にみんなの分も乗っけて、山盛りにして持って行った。

 他にも豆と謎の肉片の炒め物も山盛りだし、さっき煮ていたスープもどかどか渡され、皆んなで手分けして運んだ。


 あぁ、ヤバイ、どれも、めっちゃ良い匂いがする・・・。




 広場はやはり北側と南の中央部に人が集まっているようで、この辺りならなんとか机を確保出来た、マイケルが中央に酒や飲み物を取りに行き、フランが適当に屋台に買い出しに行き、持って帰って来た。


 さあ始めよう!

 乾杯してまずは肉だ!!


 やばい!期待を裏切らない味だ!!甘み、辛味、酸味が程良く効いて肉の旨味を引き立てている!そしてなんといってもカリッと焼き上げられた表面!中は柔らかくジューシーだ!!

 辛味や酸味なんて何で付けたんだ?ハーブや香辛料?それって高くないのか?あれ?甘みって砂糖だよな、砂糖は高いって言ってなかったか?


「なあ、これ実は高級品?砂糖や香辛料って高いんだろ?」

 仲間たちに聞いてみた。メリッサがすぐ答えてくれたが、何を言ってるのか分からない。


「ああ、無理しなくていいから、食ってから話てくれ。」

 おい!食ってからって言ったけど!言ったけどね!次の肉を取るな!!


「口の中のやつをって意味だ!!」


「ええ、分かってますよ大丈夫。」


 未だモグモグしながら答えてくれた。

 これはなんとか聞き取れた。


「高級品かって話だけど、けして高価な物が美味しいとは限らないですよ?本人に聞いてみないとなんとも言えませんけど。お砂糖以外は、お肉と一緒で現地調達の可能性がありますね。」


 え?現地調達って言われてもな。


「森を出る時ブチブチと採ったの覚えていませんか?ルージュを手伝って、私たちも一緒に採ったでしょう?」


「この辛味の正体はあれか!?」


「あ!」


「メリッサ、どうした?」

 周りを見渡しみたが、変わった事といえば辺りに人がちょっと増えたくらいだ。


「今、チラッと領主様が見えました、ルージュに挨拶あいさつしに来たのかしら?」

 俺もルージュの屋台辺りを見回した、あの領主様ならありえる。


「見間違いじゃないのか?領主様って挨拶あいさつされる側だろ?」


「ああ!!私がトールの意識をそらしたのに!?フラン酷い!」


 は?俺の意識?フランが物凄い勢いで肉を頬張ほおばっている、皿を見ると肉が完売だ・・・、無くなってる!!?


「おい!?フラン待て!食うな!それ俺のだろ!?まだ俺1個しか食ってないだぞ!!?」


「ふほひ、をほふぁふふぁ!」


「てめえはアンジェラか!食いながら話すな!分かるか!!」


「少し、遅かったな!馬鹿め!と言っております。」


「通訳してんじゃねえよ!メリッサ!しかも音数があってねえぞ!改ざんしてるだろ!?」


 メリッサの奴、出来もしないのに舌打ちしようとしてやがる!普通に口で「ち」っていったぞ!?あれ?何でこいつ両手に肉を持ってるの?モグモグやってるし。


「メリッサ!・・・。」


「嫌です、これは私のお肉です。」


 俺の発言は即座にさえぎられた!しかもこいつ両側を食べてやがる!?

 ん?メリッサが俺の後ろを見てる?次は何見てるんだ?


 いや、だまされないぞ!!


 俺の肩が叩かれ声をかけられた!


「やあ、楽しんでくれてるかな?」


 ギャーーー!!領主様ぁぁー!立って挨拶あいさつ!?いや、頂いた装備のお礼か?どっちがさきー!?


「あ!はい!楽しんで、ます!」


「ああ、座ったままで構わんよ。祭りの席でまで堅苦しいのはなしにしよう。」


 領主様がジェスチャーで座るようにそくす。

 俺たちは迷ったけど、領主様の意にわないのもまずいと思って席に着く。


「君は、トール君だったね。盾でもってゴブリンロードの攻撃をさばき続けたとか?なので褒美ほうびも良い盾を選んだつもりだ、その盾でもってまた民とこの街を守ってくれると嬉しい。」


「は、はい!ありがとうございます!!」


 何とか裏返らずに言えたと・・・思う。

 ・・・たぶん。


「君がメリッサ君だね。ホルグが素晴らしい活躍だったと称賛しょうさんしていたよ、その若さで見事なものだね。」


 メリッサの奴は片手を胸元に、座ったまま一礼してなんか言ってるけどね。




 かんべんしてほしい。




 口に肉を1本咥くわえてるし!!何言ってるのか分かんねーよ!

 もう片方の手にも、しっかり肉が握られている。


「おめ頂き、恐悦至極きょうえつしごくに存じます、微力ながらこの街の安定に貢献こうけん出来た事、嬉しく思います。って言ってます。」


 まじかフラン?お前まで謎の翻訳能力を!?領主様も困ってるぞ。

 がんばれ領主様!


 持ち直した様だ!


「今後も君たちの活躍を期待しているよ。」


「はい!ありがとうございます!ご期待にえるよう頑張ります!」

 マイケルが最後に何とかパーティーの体面を保った!




 領主様の後ろにいたらしい、ニコルさんとトニーさんと女性の人がゲラゲラと笑っている。


「いや〜、凄いな!ルージュといい!お前たちといい!最近の若い連中はぶっ飛んでるな!」

 ニコルさんが楽しそうに話かけてくる。だが、断固として言っておかねばならない事がある!!


あいつ(ルージュ)こいつ(メリッサ)と一緒にしないで下さい!!俺はまともです!」


「何ですかそれは!失礼な!肉壁のくせに生意気です!私のどこがまともじゃないって言うんですか!?」


 メリッサが抗議こうぎして来るが相手にしないぞ!片手に肉を持ってフリフリしながら抗議こうぎする奴がまともなわけがない!まともだと言うのならその肉を俺に寄越せ!!




「あの丈夫さはあまり普通とは言えないかな?ああ、そうだトールは初めてだよね、妻のロザリーだ。」


 トニーさんが笑いながら言い、隣の女性を紹介してくれる。茶色の髪に緩くウエーブがかかったワイルド系美人だった、三十路くらいかな?もうちょっと上?この人が時々フランやメリッサの話に出てくる元パーティーのリーダーさんか。


「フェアリーテールのトールと言います、よろしくお願いします。」


「ああ、トニーから聞いてるよ、ずいぶんと頑張ったんだってね〜。おかげで新婚早々やもめに成らずに済んだよ、ありがとね。」


 やもめ?ああ、旦那さんが亡くなった人の事だったかな?


「いえ、俺の方こそトニーさんには助けられました。」


「ふふ、そう言ってもらえると私も鼻が高いよ。あんたたちはどうだったんだい?トニーからは聞いてるけどさ、あんたたちの話も聞いてみたいね。」


「いいね〜!俺も聞いてみたかったんだ!色々な人たちから聞いてるけどさ、中心にいた人たちには、また見え方が違って見える事もあるよね!トニー!椅子を探して来てくれ!なきゃ仕方ない。俺は酒を持って来る!戻るまで待っててくれよ〜!」




「ロザリーさん良かったら俺の席どうぞ、ニコルさん!俺も行きますよ!ヴィルはいるか?持って来るぞ?」


「じゃあ、たのまぁ、わりいな。」


「マイケル!あたしのもお願い!」


「私も〜、たるで〜♪」


「分かった、トールは酒じゃないやつでいいのか?メリッサ、たるは自分で運べ。」


「マイケル悪いな、ありがとう!」

 メリッサはもう酔ってるのか?まあ、メリッサはいつも酔ってるか。


「メリッサあんた相変わらず底なしだね、あんまり飲み比べを吹っかけちゃだめだよ。せっかくあんたは美人なのに、その所為せいで男が寄り付かないんだから。」


 え?冗談じゃないの?マジでたるでいくんですか?メリッサさん・・・。

 フランがうんうんと頷いている。

 ヴィルにコソッと聞いてみると。


「ん?ああ、メンフィスに居た頃になぁ、メリッサを酔わせてお持ち帰りしようとする奴らの財布をスッカラカンにして撃退するってんで、恐怖の代名詞みたいになってやがったなぁ。うわさでは7人抜きしたとかってぇ話だ。」


 これに、ロザリーさんが人差し指を振ってみせる。


「飲み負け、散財合わせて12人抜きって記録があるのよ!そのうちの2人は攻略トップチームで、高い店に誘った所為せいで、そのパーティーは攻略トップを脱落したからね!?だからあんたたちも、メリッサを落とすなら、酒以外で頑張りな!!」


「メリッサに手を出すとか、俺はそんな命知らずじゃありませんよ、言ったでしょう?俺はまともです。」


「そうだなぁ〜、美人のはずなのになぁ、パーティーを組んでるせいか、変人だってぇ方がつえぇからなぁ。」



 ロザリーさんが片手で、頭抑えちゃってるよ。後輩の面倒を見る、良い先輩なのにね。あれだ、お互いにうちのメリッサがごめんねって感じだ。


「ロザリーさん酷いです!相手の方がお酒に飲まれてしまっただけで、私の所為せいではないのですよ?ちなみにお酒はいつでも歓迎ですよ♪ロザリーさんこれイケますよ。」


「本当ね、お酒のおともにはぴったりね。ごめんね〜、最初はこんなんじゃなかったんだよ?どっかのご令嬢みたいな感じでさ、ちょっとトゲトゲしてたけどね、それがうちの連中にドップリと染められちまってね〜。」


 美女が2人して、さっきの豆と謎の肉片の炒め物を手で食ってる。

 指が油でテカテカ光っててちょっと良い!それを舐める仕草がまた!メリッサのくせにぃぃ!!




「サリーにジュリアナ、テレサだからね〜、濃すぎて人間に見えなかったわよ?正しく謎の生物だったわ、冒険者としての腕は確かだったんだけどね。」


 俺も摘んでみた、おそらくスペインのバルで出るっていう郷土料理に近いものだな。

 本来は牛の頭や足などの肉と豆を炒めた料理だったはずだ、塩気とハーブの香りが悪くない。


 スープは芋と内臓を鶏ガラで煮込んだものの様だ、これもヨーロッパの方にあった伝統のスタミナ料理に似てるな、美味いな。

 ルージュの作る料理は、どれも別格の美味さだな。



 フランがしみじみと言ってる横で俺は料理を堪能していた。そうこうしてるうちにトニーさんが帰って来た、ただいまとか言いながら、キッチリと椅子を3つ確保してきた。


「早いですね、3つも良く見つけましたね。」


「これでも衛兵だからね、予備の椅子の場所くらい知ってるよ、どうせ余ってるんだし使わなきゃね。」

 俺の質問にトニーさんがシレッと答える、でもそのくらいなら問題ないよな。



「あれ?トニー早かったな!俺たちが最後か、悪い待たせたかな?」


 皆で2人を歓迎したが、たるが2つもゴロゴロと・・・、マジか。俺がたるを見ているとニコルさんが説明してくれた。


「そろそろ、たるを動かす時間なんだよ!踊る奴らなんかが出て来るからな、どうせ踊るなら真ん中で踊れってんで、たるを退かすの手伝いついでに貰って来た!!」


「俺は遠慮えんりょしたんだけどね、良いから持ってけって。それで大きいたる遠慮えんりょなく貰って来たよ。」


 メリッサがすっごい良い顔でマイケル大好き!とか言いながらたるに抱き付いて行った。マイケルを含め皆で適当に流しておいて、皆んな席に着く。



「よしよしよし、そんじゃ話を聞かせてくれ!!終わったら中央へ踊りを見に行こう!楽器の演奏もやってたしな!そんな感じでどうだ?じゃ、始めてくれ。」


 フランとマイケルが主に話、自分がその時に思った事や、感じた事を時々聞かれたので答えた。俺はマイケルが持って来てくれた、素焼きのボトルに入った、香りの付いた水を飲みながら話を聞いていた。

 楽器の演奏が、遠くから聞こえてきていた。




 話しが終わり、俺たちは移動する事にした。

 空もはしの方が赤みを残すのみとなった、けれども中央付近では篝火かがりびかれ煌々《こうこう》と輝いていた。光の中で踊る女性たちがとても美しく見えた、俺が女性に目を奪われていると、ニコルさんに肩を抱え込まれた。ヴィルやマイケルも近くにいる。


「良いだろ?踊りの善し悪しはともかくな!間違って素人さんに声をかけるなよ?」

 え?素人さん?皆んな楽しそうに踊ってるけど、踊りが特別上手いとは思えない。


「こんな時間だからね、娼婦の女性たちが結構混じってるのよ。ほらあそこ、胸元を大胆に開いてアピールしてるでしょう?あっちの腰の動きがやばい子とか、どうなの?ニコルさん。」


 フランがあっけらかんと話しに入って来たよ!?そうか、娼婦のお姉さん方が今夜のお相手を見繕みつくろってるのか!?


「おお、君はなかなか目のつけどころが良いな!どちらもこの街じゃあ、良い店で働いてる子だ!役所からの要請で、普段は店の外では客を取らない子たちが来てるんだろうな!」



「なるほどね〜、どうりで今回は美人が多いわけね〜、納得したわ。メリッサを見慣れてるあんたらでも、納得いく相手がいるんじゃない?」


「彼女は美人だからなー!お?トール、今入って来た子とかどうだ!」


 そう言って、右側をニコルさんが指差している。おお!デカイ!いや美人だが、何といってもデカイ!

 す、すげえ・・・。

 思わず、彼女の身体の一部に視線が固定されてしまう・・・。


「お?気に入ったか?さすがに、すぐに声をかけるのはマナーが良くないからな、後で声をかけてみるか?」




「良いですね!私も賛成です!!動くたびにダイナミックに揺れるお胸が迫力があっていいですね!!かといって、お腹周りもたるんでいません!見事なプロポーションです。お気に召しませんか?では、あちらの方はいかがしょう?大胆な深いスリットが見せる脚線美!日焼けにムラがないのですが、普段どんな格好してるんでしょうね?考えただけでドキドキします!」


 俺の隣にルージュがいた・・・、唐突とうとつに入って来てノリノリだなこいつは。ニコルさんも困ってるぞ。

 あ、保護者(アンジェラ)が来た、拳骨だ!!


「痛い!!殴らなくてもいいじゃないですか!私の頭が凹っこんじゃいますよ!?」


「シャーッ!!」


「いや、さすがにそれは私も翻訳出来ませんよ!?」


 さっきまでの雰囲気が霧散むさんしてしまった。

 ついに俺も!・・・とか思ってたのにな〜。はぁ。

 ちなみに、さっきのお姉さんはただの地黒だと思う。誰もがお前みたいに白い肌をしてる訳じゃないんだよ!!


「2人ともこんな所にいて良いのか?屋台はどうしたんだよ?」


「とっくに完売しましたよ?タップリと時間が余ったので、皆んなで見て回っていました!せっかくのお祭りですからね、屋台だけで終わったら勿体無いですよ!」


 なるほど、そういう楽しみ方もあるのか、だから安く売る事にこだわったんだな?

 アンジェラの後ろにセムさんも居る、そのセムさんがルージュに踊って来たらどうかと提案する。


「えー、嫌ですよ、恥ずかしい。」




 アンジェラが一緒に踊ろうと誘って、納得したようだ。ルージュが演奏家の所に行き、箱に硬貨を投げ入れ曲をリクエストして返って来た。


 ゴソゴソとローブの中で動きバックをセムさんに渡す、この時、薄絹を2枚取り出した、白と紫の布で、透けて向こうの顔まで分かる薄さの布だ、高そうだな。



 前の曲が終わる寸前になるとルージュがローブを外しセムさんに渡した、アンジェラとルージュの2人が薄絹を背中をとうして両手で持ち、前の曲が終わると同時に、堂々と真ん中に陣取り、サッとポーズを取ると、演奏家たちが心得たように演奏を開始した。




 綺麗だ・・・。


 シンクロした動きや中央で完全に対称な動きなど、2人の踊りは見ていて気持ちが良い。動きに優雅さがあるというのだろうか?バレエに似た動きなどもあって、先程までの踊りとは一線を画する物だ!

 それに合わせて、ルージュの美しい歌声が広場に響き渡る。


「あれは、踊りではなくて舞いね。元来、歌や踊り音楽とは神にささげる為のもの。天から見ても美しく見える様に踊るもの、指先まで、足先までも意識して身体の軸がぶれない動き。見事なものですね〜♪」


 メリッサが解説してくれる。大事そうに抱えてるたるがなければ、見直す所なのにな。


「それにアンジェラは揺れ過ぎですね。」


「そうか?ルージュ程ではないにしても、見事な踊りだと思うけど?」


 メリッサの不満そうな声に俺が返す。


「あれで年下ですか、今後どこまで育つのやら、恐ろしい物です。」


 揺れってそっちの事かよ!?コメントしずれ〜!


 いつの間にか踊っているのは2人だけだ、他の人たちは周りに退いてしまった。2人が踊り終わると辺りからため息がれた、それ程の物だったのだ、2人が手をつなぎ、あちこちに礼をすると、盛大な拍手が送られた。


 2人が戻って来て、ルージュはさっさとローブをまといフードをかけてしまった。


「歌って踊って、私は満足です!」


 そう言って、2人は鼻歌を歌いリズムを取りながら去って行った。



 俺は、こっそりとため息をついた、惜しかった・・・、後少しだったのになぁ。

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