プロローグ1
中3・・・覚えてないよ。
修学旅行はなんとも辺鄙な山の奥深くだった。正直気乗りしない場所だったので、行きのバスでは中3の修学旅行でここかよ!とか考えていたけれど。
クラスの連中と旅行に行くという非日常が思いの外楽しくて、今ではいい思い出になりそうだと、帰りのバスの中で俺は考えていた。
隣に座った俊介がいつものクールな顔のまま寝てるし、かく言う俺もさっきから船を漕いでいる状態だ。バスの中では時折ヒソヒソ話し声が聞こえる程度で静寂に満ちている。
どうせ着けば起こしてもらえるだろうから俺も寝とくか、耐え難い睡魔に屈して俺は瞼を閉じた。
目を覚ましたら辺りが真っ白だった!
いや白いだけじゃ無い、光の球?光る毬藻?みたいな物が浮いている、10や20じゃ足りないが30は無いだろう。
唐突に光る人型が現れて喋り出した、小学生くらいのサイズで子どもっぽい声だったが、身振り手振りしているっぽいのが光っててよく分からなかった。
「やあ、僕らの世界へようこそ。ここは存在しない場所、君達に分かりやすく言うと次元の狭間、三途の川の川岸とか、分かりやすいんじゃないかな?分かりにくい?ん〜、他の言葉だと〜、え?いいの?じゃあ続けるね。」
誰と話しているのか続きを話し出す様だ、正直この物体が一人で話してる様に見えるし、聞こえている。まるで携帯で通話中の奴の様だ。
「僕は君達の概念で言うとこの神にあたるね。とはいえこの世界は多くの神々によって作られ営まれてきたわけだ、故に全知全能ではないよ?君達の世界では全知全能の神が居る事になってるけど、これに関してはコメントを差し控えさしてもらうね、なにしろ下手にコメントすると各方面からクレームが酷いからね〜、いや、まあ本当に、うん。」
クレームを恐れる神って本当に大丈夫かよ?まだ喋るかすげーな。
「君達の魂は・・・え?言ってなかったっけ?うわ、ごめんよ、え〜ゴホン・・・君達は死にました。」
何だろう、すっごい不安になる。
三途の川の辺りでまさかとは思っていたけど、そうか俺は死んだのか、唖然とはしたが、この異常な状況では説得力がある・・・、人が放心してるのにこの神?は軽いな・・・。
「・・・うん、やり直した訳だけど、君元気だね〜、死んだのに元気ってこれいかに・・・笑ってるし。あ〜、みんなも落ち着いてきたかな?じゃあ説明続けるね。そこの死んだのにいやに明るい子以外はバスに乗っていてブレーキが壊れたんだ、それでバスごと谷底に真っ逆さま阿鼻叫喚の地獄絵図って感じで皆さん死にました、明るい君はその時にバスにプッチンされて死んだ訳だ・・・笑う所じゃないよ?え?君達の世界ではここ爆笑するとこ?・・・ああ違うんだね、安心したよ世界観の違いがそこまであるのかと心配になったよ。」
人の死をプッチンってのもどうかと思うが、それを笑うのかよ、俺自身でも驚いたが口から出ていた。
「ああ、ごめんよ。でも笑ってるのは潰れて死んだ本人だから、不謹慎とかいう・・・いうのかなぁ?」
今の、俺に答えたのか?神まで困惑させるプッチン野郎?は一体どんな奴なんだ、光の球しか見えないがそれでもいい、奴はプッチン野郎だ。
「ちなみに運転手さんはこの中には居ないよ、運良くバスから放り出されたんだ。記者会見の映像あるよ、見る?」
急に周りの景色が変わって、テレビでよく見かけるフラッシュが連続して瞬く様子が映し出された。
チョットかっこつける様な言葉を選んでるつもりです、中学生男子のイメージ、作者の個人的見解ですが。