G異世界に立つ
初投稿です至らない点だらけでしょうが生暖かく見守って頂ければ幸いです。
「・・・普通最初の討伐って言ったらゴブリンとかスライム、百歩譲ってウサギだろ・・・。」
小汚い木製の机に突っ伏して愚痴をこぼしている、それなりの広さはあるが薄暗い室内は俺のつぶやきをかき消す程の喧騒に満ちていた、ここは所謂冒険者ギルドだ。
「あっははは!まあその辺が有名どころだね。」
隣の男が爽やかに言いながら肩を叩き慰めてくれる、いい奴だ!彼は俺たちのパーティーのリーダーでマイケルという、ちょっと古いタイプのスポーツマンと言った感じでイケメンだ。
「現実はそう甘くはないなぁ。」
皮肉げに笑うこいつは、斥候タイプで職業シーフって感じかな?名前はヴィルだ。この街の生まれだが、スラム出身だそうで、若干皮肉げに物を言うのが癖のようだ。
「それにしても、うひゃー!は笑わせてもらったわー!」
揶揄されたが言い返せない!何しろ彼女の言うとおりだからだ、斜め前の席に座ってオーバーな手振りで話しているのは、同じく斥候のフラン。身長低めで身軽さが売りのまるで猫の様だが、両手に持ったナイフの高速連撃は見事なものだ、アタッカーとしても通用しそうな程だ。
フランの隣で静かに笑っているのが我がパーティーの最大火力、魔法使いのメリサティム・サンフレア、通称メリッサだ。名前しか無い人がほとんどな中、家名があるので貴族なのかと思って聞いてみたがどうやら貴族ではないらしい。真ん中にフォンと付いているのがこの世界における標準的貴族なのだとか。国によって違いはあるから一概には言えないのだそうだ。
ちなみに身長高めの美人さんだ、赤毛と言うのだろうかオレンジ色の様な茶色のストレートの髪に大きな眼、魔法使いって言ったらこれだよねっと言いたくなるような黒ローブに、黒い帽子黒くて長い手袋だ、若干青みがかって見えるのは染めの技術と材料の問題らしい。
描写の長さに差があるのは御察しで、まあ俺も男の子だしね。ともあれこれが俺のパーティーメンバーだ。
5人パーティーを多いと見るか少ないと見るかは人それぞれだろうが、魔法使いが貴重なので、盾持ちの俺とリーダーでメリッサの前を固めるスタイルを採用している。
「いや・・・でもさ〜、GはなくねぇGはさ〜!」
みなさんご存知台所の黒いアレ!素早い動きと意外な程のタフネス!!そして自力で飛ぶ事だって出来てしまう昆虫界で知名度No. 1のアレ!!
視線が合わないようにしたくなる強面のお兄さんからうちのオカンまでビビらす、世界最強ならぬ世界最恐?の黒いアレ!!
「あんためっちゃ腰引けてたもんね〜、壁に張り付いてるのを見て飛び上がってビビってたし!そのまま下水に落っこちるかと思ったわ!」
「最初はみんなそんなものでしょう、フランもそんなに茶化さないの。」
メリッサが諫めてくれる、今は今日の仕事の反省会だ。低ランク冒険者であるうちのパーティーの本日のお仕事は、下水道の掃除だ。
とはいえデッキブラシでゴシゴシやるわけではない、剣を持って盾を持ってラットにバットにスライムをバッタバッタと・・・嘘です、半分以上がGでした!!小型犬サイズのラットと同じサイズのGとかマジかんべん!
「まあ、何はともあれ、初の依頼達成おめでとう!」
さすがはリーダーだ、この気づかいがありがたい。他のメンバーも口々に祝いの言葉をかけてくれる、みんなにお礼を返しながら笑う俺。
なんとかこの世界でもやっていけそうだ!
「まあ、しばらくは下水道掃除だけどね。」
上げて落とすかちくしょう!残念な事実だ!低ランク冒険者の仕事と言えば、荷物運びに城壁の周りの雑草刈り、それから下水道の掃除と相場は決まっているそうだ!他にも細々とした仕事はあるものの、聞いてみてやってみたいと思う物はあまり無い。
ゲームでは定番の薬草採取は無いのかギルドの受付で聞いてみたところ、薬草に詳しい人にはそういった依頼もあるそうだ、もしくは薬師の護衛といった形の依頼になる。
薬草の群生地を荒されたり、乱獲されて取れ無くなっても困るので、一般の冒険者に依頼が出る事はまず無いとの事だった。
なるほどね、何度でも行けば、決まった場所に生えていて際限無く取り放題のゲームとは違うのか、納得した。
運ばれて来たのはここで一番安いセットで、スープと固くて酸っぱいパンを腹に収める、マイケル曰くこのセットが初心者御用達のメニューだそうで、ギルドのご厚意で安くて腹が膨れるありがたい物なのだとか。
味は兎も角腹が膨れるのはありがたい、空腹でまた明日からも下水道掃除なのかと思うとやってられないからな!
明日もG祭りなのかと憂鬱な気分になりながら、俺は赤と黄色の月が輝く道を、本日の寝所である厩舎に向け歩を進める。
誤字脱字のご指摘頂けると嬉しいです。漢字に自信がないので!
特に誤字?誤用?は切に願います。書いててどの漢字が正しいのかわかりません!