第8話 今の状況
入れてもらったお茶、ハーブティーか何かか?いい香りがする。一口口に含むとほんのりと甘い。気持ちを落ち着けることを意識して、二口、三口とお茶を飲む。
「さあ、話してごらんなさい。力になれることがあるかも知れないから」
いきなり転生なんて話して大丈夫か?でも、ここのことを聞くにも、こちらの状況を話してみないことには、どうにもならんが…。
「ごめん、こちらの話をする前に、この村や王国のことを教えてもらえないかな?よそ者であることは確かだからね」
先に王国や村のことを聞いておけば、元の世界との差異が見えてくる。話していいこと・まずいこと、線引きもできるかと思う。
「いいわ、知らないのも不安でしょうから。さっきエトロア王国エトル村ということは伝えたわね?そこで祖父から鍛冶屋を引継いだマリア、それが私の名前よ」
それから小1時間ほど、マリアからこの国や村のことを教えてもらった。専制君主制の国で、貴族などの支配層が存在すること。貴族が領主となり、自身管理する領地内の町や村の管理・運営を行なっている、等々。
また、騎士や魔法の存在が認識されており、戦争でも活用されていること。とはいえ戦争はこの数年、起こっていないそうだ。
武器の主流は剣、槍、弓矢。日本じゃ戦国時代の時代だな…。
いずれにしろ、ワシの知る現代文明とはかなりの乖離があり、どちらかと言えば衰退しているようだ。
「ありがとう。かなり理解できた。同時にこちらが話すべきことの整理もね。ここからは私、倉澤真守の話だ」