第3話 ここは何処?
フワフワと浮遊感がある。気持ちいいもんではないな。前後、上下左右何も見えない、何処にいるのか全くわからない…。時間的な感覚もない。ただ暗闇の中で揺蕩っている感じがするだけ…。多分、ワシは死んだんだろう。富士山の噴火に巻き込まれて…。
音も聞こえない静寂…。これで星でも見えればキレイなのかも知れんが、気味が悪いということしか感想はない。
「……」
(誰か何か言ったか?)
「………」
微かに、何か聞こえた気がするが、耳を傾けても全く聞こえない。呼びかけようにも、自分の声すら聞こえない有様だ。
(お〜い、誰か何か言ったか⁉︎)
全く反応がない…。すると次の瞬間、いきなり重力を感じ、フワフワな浮遊感から、落下する感覚に変わった‼︎
(落ちる⁉︎ 死んでから、また死ぬのか⁉︎)
加速度が付き、落下速度が上がっていく!そもそもここが何処で、どのくらいの高さから、何処に向かって落ちているのかもわからない!恐怖しかない‼︎
「ズボっ」
(ズボっ?)
雲を突き破ったようだ…。高度いくつから降下?パラシュートなんざ持ってねぇぞ!神様、何がしたいんだ?
眼下に見えたモノ。鬱蒼としたかなり広い森と、その近くの小さな村…。ドンドン距離が縮んでいく。
(こりゃ無理だ、助からねぇ…)
と諦めたその時、
「がくん」
と急にブレーキがかかる感じがした。かなりスピードは落ちたようだ。が、ホッとしたのも束の間、そのまま
「ガシャーーーン!!!!」
と何かに突っ込んだ。




