第21話 鎮守の森⑵
シロが示したところに印を付けて、部屋の荷物から出しておいた道具(ただの定規とコンパスだ)を使って、まずは家と町を直線で結ぶ。続いて家とお社、町とお社も線で結んだ。そして、お社を中心として家との距離を半径とした円を描く。シロの言う通り、村のほぼ全体と森の大半を内包する形になった。お社が結界の中心だな。
「ここに行くしかなさそうだな。お社は壊れてるみたいだし…」
「アンタ何言ってんの⁉︎魔物が異常発生しているかもしれない時に、森に入るって⁉︎ それにお社が壊れてるって、どういうことよ⁉︎」
「魔物の異常発生の原因が、お社が壊れてることと関係あると仮定すると、今の村や森で起こっていることも説明がつく」
「村で起きてること?」
「来てから村に違和感を感じてる。全体的には違和感、部分的には悪意とでもいったらいいのか…」
悪意。誰かが何かを起こそうとしているのか。それは誰か。村の住人か、冒険者のような流れ者か?全くわからない。魔法使いでもいれば、そのオーラを感知することはできるかもしれないな。この悪意が、他の人に伝染したら?大きな暴動になりかねない。なんとしてでも止めないと。
「マリア、知り合いに魔法使いいないか?悪意を持っているか否か、オーラで判別できるとありがたいんだが」
「ん〜、いるにはいるけど、私は会いたくないし、マモルを会わせたくないな…」
なんだ、その歯切れの悪さ…。
「それは男か?それとも女?」
「男…」
あぁ、多分マリアに"ホの字"なヤツだな…。頭痛い…。で、マリアと連れ立ってワシが行くと妬かれるパターンだ。




