第20話 鎮守の森⑴
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おそらく、魔物だろう。この辺にはいない種の出現、もしくは異常発生か。いずれにしても大型種に間違いない。
短刀を鞘に納めて、一旦母屋に入った。シロが肩に飛び乗って、丸くなりながら震えている。神の遣いでいろんなことできるはずなのに、魔物は怖いのか…。
(この姿では大型のものにかなうわけないでしょう。本来の姿なら、魔物など大したことありませんし、まともに見れませんよ?)
ほう、そうなのか。本来の姿はそんなに強いか。今度見せてもらおう。
(マリアさんがヤキモチ妬いて、不機嫌になっても知りませんよ?)
どういう意味かな?マリアがヤキモチ妬く?それはないだろう。ってそこまでの自信があるんだ、子ネコちゃん…。
(子ネコではありません。小さい方が可愛いから…)
あざといぞ、ちびネコ…。神使のくせに…。
裏の森は"鎮守の森"だ。ならば、森の何処かに鎮守様をお祭りする、"祠"があるんじゃないか?ところがそれが壊れて、魔物が異常発生してるとか…?シロ、何か感じてないか?
(感じてるというか、実際壊れてます)
なんでそれを早く言わんの…。
(だって、大した影響ないのかと思って…。壊れていても、私はそこから出れましたから…)
少し焦ってるかな?なんかアタフタしてる感がある。ん?そこから出てきた?神様の世と、この世を繋ぐもの?直さんとかなりヤバイじゃん。
(森と村を護る結界の、ほぼ中央に位置しています)
「マリアこの辺の地図ってないか?」
マリアが部屋から地図を持ってきた。家の位置や買い物した町などに印を付けていく。だいたいの位置関係と、森の広さがかなりあることが理解できた…。
「さてシロちゃん、君はどの辺りから出てきたんだい?」
誇らしげに"ニャ〜"と言いつつ、あるポイントを指した。家の真裏、町までの距離と同じくらいだな。
「そこって、"鎮守様のお社"があるトコじゃない!アンタ、そんなトコにいたの?」




