第11話 町の賑わい
納屋の、ワシの落下でぶち抜いた屋根を直すため、納屋に来てみた。電子タバコを咥えながら下から見上げる。なかなか凄まじいようだ。よく生きてるな。しかも打ち身程度でほぼ無傷。
納屋の中には大工道具の箱があった。必要なものは一揃えある。金づち、釘、ヤスリ、そして割とコンパクトなノコギリ。手入れもしっかりされている。壁には梯子も立て掛けてあった。
梯子を屋根に立て掛けて、道具箱を担いで上に上がる。穴そのものはデカいが、周りの梁や垂木はしっかりしていた。屋根下の板張りを張り替え、表面の瓦を取り換えれば、なんとかなりそうだ。
欠けた瓦を外し、板張りを露出させ、割れた部分をノコギリで取り除く。予備の瓦も納屋にあったから、割と早く終わった。取り除いた板の使えそうな部分で、梁などの補強もしておいた。
マリアが夕食の買い出しに行くというので荷物持ちとしてついて行くことに。隣町の市場までは歩いて20分ほどらしい。
二人で歩いていると、知り合いらしき人たちから、マリアはよく声をかけられる。当然、ワシと一緒なため、冷やかしもあったが…。子どもから老人まで、声をかけてくる相手は幅広い。
町の市場はなこなか活気があり、賑やかだった。肉、野菜、果実は当然として、木の実やチーズ、ソーセージ、ワインやビールのようなものまで、いろんな店がある。
買い物はマリアに任せっきりだが、荷物持ちとして付き添いながら、ビールのようなもの(どうやらエールらしい)の味見などさせてもらった。常温のため味的には満足できないが、冷やしたら旨そうだ。
「エール、買っとく?」
とマリア。荷物になるなと思っていたら、
「家に届けてもらえるから、心配しなくていい」
とのこと。配達をお願いし、買い物は終了したようだ。




