第112話 アマゾネスの相談事
朝、少々遅めの時間に起きた。昨夜の酒は、すっかり抜けている。コーヒーを飲みながらタバコを吸っていると、アランが走って来た。
「どうした?そんなに慌てて…」
「ギルドに、あのアマゾネスたちが!」
と息を切らしながら叫んだ。
「早いな、もう来たのか…。昼頃の約束だったんだがな」
「マモルさんと約束したって言ってました。コチラは何も聞いていなかったので…」
「すまないとは思ったけど、昨夜の帰りに、チョイと襲撃を受けてな。コチラはことを荒立てるつもりはない、だがそちらがその気なら、ワシはナイトとして対応すると伝えたら、ナイトなら領主につなぎを取って欲しいと言われてな。詳しい話を聞くために、ギルドに来るよう伝えたんだ」
「そうだったんですか…。ヒースさんはしどろもどろだし、他の連中もビビってるし…。相手がマモルさんとの約束だと言うので、呼びに来た次第です」
「わかった。行こうか。チョイ待っててくれ。支度してくる」
マグを置きに母屋に入り、そのままギルドに向かうことを伝えた。納屋に戻り、多少の荷物を持って、アランと共に出発した。
ギルドに着くと、アマゾネスたちと、それを遠巻きに見ている連中が見られた。
「早かったんだな。待たせてすまん」
と彼女らがいるテーブルに着いた。ヒースが同席しようとしたが、それを制し、話しを進めることに…。アランには、騎士団長か副長を呼んで来てくれるよう頼んだ。
「まずはそちらの事情をお聞かせ頂きたい。それを聞いた上で、領主様に伝えよう。ただ、もう少し待ってくれ。念のため、騎士団も同席させる。ワシもここを貸してもらうために、事情を説明してこないとならんしな」
と、一旦、席を離れてヒースの部屋に行った。ヒースは
「何で同席を拒むんだ⁉︎」
と息巻いていたが、これから何のための話しをするのかを伝え、納得してもらった。ヒースへの説明の間に騎士団の副長が到着した。副長にも事情を説明して、アマゾネスとの話しの場に向かった。
アマゾネスたちは、少々ソワソワしているが、コチラは紳士的に対応することを心がける。領主様につなぎを取って欲しいと言う話しの内容は、
・自分たちの領地の領主が他界した
・独身だったため、跡継ぎが不在
・これにより領地内の部族間で諍いが起こった
・内乱に発展しそうな状況である
・隣の領地がエクランド領のため力を借りたい
要するに、部族間の諍いを鎮め、平定して欲しいということらしい。隣接しているとの説明だったので、地図で確認させてもらったが、遠くに見える山脈の『手前』だった。アラン、いい加減な…。山の向こうと言っていたが…。
彼らの領地には、5つの部族が存在していて、 全てが『戦闘集団』だという。過去、王国が各部族を平定し、国王からの遣いであった、今までの領主家が統治していたとのことだ。良心的であったため、領主存命の間は、諍いなどは起きていないそうだ。
王国にしても、山脈の麓の領地のため、国の護りとしての要衝と言える。戦闘集団のいるところに、わざわざ降りて戦争を吹っかけるバカはいないだろう。だが、要である領地の領主が死んだ。何ともキナ臭い。
「死因は何だったんだ?」
イヤな予感しかしないが、聞くだけ聞いた。
「殺されたんだ。毒を盛られてね。犯人はその場で自殺してしまった。他国から来た、流れの踊り子のオンナだったと聞いたよ」
ビンゴ…。裏に何かあるな。その調査を含めて、現地に行くしかなさそうだな…。
「現地に騎士団を出すことになりますね。マモルさん、貴殿は国王から任命されたナイトなんですから、一個と言わず、2個3個の小隊くらいは指揮してもらいますよ?」
なんてことだ!厄介事が降って来やがった!行くだけならまだしも、小隊の指揮官しろだと⁉︎ うわぁ〜、めんどくせえ…。と悶絶してたら、
「まずは団長と領主様に報告します。そして指示を仰いで、対応については関係各所に展開します。マモルさんにも出動要請が行くようにします」
と副長が立ち上がり、ニヤリとしてから領主館に向かう準備を始めた。ワシへの出動要請なんて、せんでよろしいわ…。あ〜ぁ、めんどくせえなぁ…。
「ギルドへの応援要請は?」
「おそらく、あると思います。上位クラスの指定がされるでしょう」
ドヤ顔で『あると思います』なんて…。詩吟の一発屋芸人か…?
「隣の領地のアンタらの集落まで、どこくらいかかるんだ?」
「街道沿いを通っても、最低3日はかかる。アタシらのような戦士でも、だ」
なら、オッチャンは1週間くらいかかるかな?
「マモルさんは、我々騎士団の馬車で。ギルドメンバーは、ギルドで馬車を手配してもらいましょう」
のんびり行こうよ…。と、内乱に発展したら拙いか…。副長はとりあえず報告に向かった。
「ワシは準備のため帰るかな?アンタらは宿で待機しててくれ。騎士団からの連絡が入り次第、伝えるようにする。アラン、すまんが宿を聞いといて欲しい。それと隣の領地の名前と、彼女ら各自の名前もな」
「わかりました」
と、アランがメモを準備してテーブルに来た。
「すまん、頼んだ。騎士団からの連絡が入り次第、ワシにも連絡くれ。家で待機してる」
とアランの肩をたたき、ワシはギルドを後にした。嫁さんたちに説明しなきゃな…。




