第9話 異世界転生?
ワシの話は、いくつか端折りはしたものの、大して短くならず、彼此2時間近くかかってしまった。災害にあったことはそのまま話してみた。異世界から転生と思しき点については、
「遠い異国から、災害の影響で強制転移させられた」
と説明し、スマホをはじめとする文明の差異については、
「元いた国の魔道具」
として誤魔化した。魔法の話を聞きかじっていてよかった。元いた国については詳しく語らず、ひたすらに遠い異国とした。富士山噴火という、日本にとっての大災害。これは"魔道具・スマホ"の画像を見せて伝えた。
こうして話をしてみたものの、マリアがどう受け止めるのか、不安でならなかった。あまりに突飛で不自然と思われても仕方ない点もあり、理解できないことも多々あると思う。ワシがいた現代社会が、この世界とどう繋がっているのかもわからないため、ボカシながら話す以外の方法が見当たらない。
しかし、マリアから発せられた言葉は意外なものだった。
「しばらくこの家にいてちょうだい。近隣には"住込みの用心棒"とでも言っておくわ。でもって、アンタは名前以外の記憶を失ったものとして振る舞ってちょうだい。いい?」
いや、いいも悪いも、こちらにとっては好条件過ぎる。裏がありそうで怖い…。でもそれよりも、
「ワシの話、どう思う?」
「まだ整理がつかない。だから一緒にいて、話も聞くし、いろいろ観察もさせてもらうわ」
そうきたか。観察ねぇ。オッチャンの生態を観察?くだらんことは考えるのよそう。
「このところ、この辺も物騒になってね。女の一人暮らしも危ないのよ」
"オンナの一人暮らし"、そこに居候する…。なんか地雷原がいっぱいありそうで怖い…。とはいえ行くとこないし、ある程度、周りも見て理解、把握したいことはたくさんある。渡りに船と思い、しばらくの間世話になると伝えた。
ある程度まとめて投稿しました。お読み頂きありがとうございます。
次話以降は、週末頃にアップします。




