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第五話 ワカメ

ゲイン、いよいよ公に動く。

置き去りにされた魔人たちはヴァープの姿が見えなくなっても空の彼方を眺め続けていた。


「どうだ?見捨てられた気分は……」

「総員、戦闘配置!!」

ゲインの煽りに乗らずに副隊長は的確な指示を出す。

「ヴァープ様の事だ。自ら手を出す程、大した奴ではないということだ!!」

「確かにこれまでにないタイプの奴だ……だが、やることはただ一つ!」

「我々が力を合わせれば!勝つことなど造作もない!!」

「逃げ場がないのは奴の方だ!!」

魔人たちが各々勝手な事情を己に言い聞かせて、配置に着く。

「威勢がいいね~、その調子で頼むよ」

ニヤッとゲインは余裕を崩さない。


魔人は各々武器や魔法詠唱を構える。

「さぁ、来い。年末ドリームジャンボ並みの、チャンスを与えてやろう」

ゲインの挑発に魔人たちのボルテージが上がる。

「訳の分からんことを抜かして、放てぇ!!」

副隊長の号令の下、まず火や風、土に水系の攻撃魔法が一斉に撃たれた。

それらは余すことなく、ゲインの正面に衝突する。

「全弾命中!!接近戦用意!」

続いて剣や槍を装備、あるいは体の一部を武器に変えた魔人たちが土煙舞う爆発地点に向けて前進する。


「木っ端みじんのところ!更に砕いて家畜共の餌にっぷえっ」

頭に巨大な角を生やした魔人がそれを構えて突進するも、角諸共頭が砕ける。

「ふ~この程度か?」

動揺する魔人の前に、煙が晴れると仁王立ちのゲインが現れる。

「そ……損傷は確認されず!!」

「な……!?」

ゲインは全くの無傷であった。

土の槍はテルテル坊主のような服を汚し、炎の鞭が汗の蒸気を発して汚れを浮かせて、水の砲弾は汚れを吹き飛ばし、風の刃が乾かしたに過ぎなかった。

「あ~、せっかくのクリーニングが台無しだよ、これ」

返り血で黒く汚れた一張羅を残念そうにさする。


「上等だあ!!」

がっかりするゲインに、手を鉄球に変化させた魔人が飛び掛かる。

「なっ!!」

振り降ろされた鉄球の拳は、天高く真っ直ぐ上げたゲインの右足で受け止められる。

その時、彼が咄嗟に鉄球を解除すれば、まだ脱出できたかもしれない。

「……ワカメ?」

右足を上げた時に見えたゲインの股間のモノを隠すそれに思わず目が釘付けになり、反応が遅れてしまったのだ。

「バカメちゃーーーーーーーーーーん!!」

掴んだ右足を振り下ろし、鉄球魔人を地面にたたきつける。

「いや~ん、魔人さんのエッチ~」

鉄球魔人が薄れゆく意識の中で見たのはワカメの間から見えるアレだった。


「も……もう一度一斉射を……」

「よ~く、狙えよ……はぁい!!はいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはいはい」

魔人たちが構えようとするとゲインは挑発し、奇声を上げながら姿を消す。

「消えた?……いや、移動している!?」

「バカが!例え魔素がなくとも、探知の手段はいくらでも……」

そこまで言いかけてハッとなる。

「は……速すぎる!」

「どこだ!?」

「右?左!?はっきり出せ……」

探知魔法が出す複数の結果に翻弄される魔人たち。

内一人が正確に捉えた。

「正めん……」

「はいっ!!!!!!!!!!!!!!」

直後、正拳突きを喰らい、四散する。

「汚ねえミストだぜ!!」

ゲインのガッツポーズが魔人たちに現実を突きつける。

「探知魔法が……まったく意味がない」

「標的が我々の想定を超えているのか!?」


「こ……こんな奴がいるなんて、聞いてない……うあわあああああああ」

一人の魔人が恐怖のあまり、逃げ出した。

どうやら脚部を強化できるタイプなのだろう。他の魔人が叱責する間もなく遠のいていく。


が、ゲインにアッサリ回り込まれて両肩を掴まれる。

「や……やめろ、はなせ……」

「せっかくの年末ドリームチャンスをクリーニングに使うとは……そういうの、嫌いじゃないぜ」

「が……がってな……」

ゲインの突然の告白に動揺する余裕がないほど、激しい力が掛かる。

「ダイヤモンドダストオオオオオオオオオオオオオオ!!」

「ぎゅぁ!!」

俊足魔人はそのままチーズのように真っ二つにスライスされる。


「愚か者が!!」

先程地面にたたきつけた鉄球魔人が意識を取り戻し、真っ二つになった俊足魔人の間を文字通り割って入ってきた。

両手を塞がれ、隙だらけのゲインの懐に飛び込み、ミスリル製のナイフを顔面に目掛けて突き刺す。


「なっ!?」

鉄球魔人は確かに手ごたえを掴んでいた。

しかしナイフの真剣はゲインの立派なケツ顎に挟まって微動だにしない。


さながら真剣ケツ顎取りと言ったところだ。


「惜しかったな、あんちゃん」

次の瞬間、鉄球魔人の視界に空が映り、鈍い音と共に地面に切り替わる。

その先には頭部とナイフを突き出した右腕の無い、己自身の姿と、手刀のように大きく振り上げたゲインを見上げていた。


「(……あれ、本当にワカメだったのか……)」


低位置から見えるゲインの股間のそれを見たのを最後に、鉄球魔人の意識は永遠に失われた。


「結界構築完了!!」

ケツ顎に挟まったミスリルナイフをポンッと抜いて意気揚々のゲインは、自分が魔人たちに囲まれていることに気づいた。

「魔法陣、仲間を囮にしたか……やるじゃな~い」


既に詠唱も完了して発動寸前なのか、魔人たちは帯電した電気をお互いに結んで、檻のように構築していく。

「さながら電撃結界、といったところか?」

「!?……その余裕もこれまでですよ」

ゲインが冷静に本質を見抜いたことに驚くも、副隊長が号令をかける。


「ブリッツ・ゲフェングニス発動!!」


その瞬間、激しい電撃がゲインを襲った。


結論、ワ〇メちゃんはセ〇シーコマンドーの使い手だった!(大嘘)

また近々投稿します。

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