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竜達の愛娘  作者: ao
第四章 ―グリンヒルデ王国編―
91/108

ゴードヴィズ商店 version.ベルン

初、シュベルの身内編です。

/ベルン


 私の朝は早い。日の出前にはベットから起き出し支度を整える。

 今日は得意先である、ビュリンデ様と言うお客様がいらっしゃる。その為、店主は朝早くから支度をするよう私に命じた。

 

 まずは、商店1階にある。お得意様専用の商談室を誇りひとつなく、隅々まで綺麗に磨き上げる。

 魔法でだが……。

 誰も居なければ、使って良いと私の主は言っていたので使わせて貰う。


 次に、出す茶器を磨く。

 ひとつ、ひとつ、丁寧に手垢がないほど磨き上げる。

 魔法でだが……。

 誰も居なければ、使っても良いと私の主は(以下同文。


 最後に、今回商談するための商品を室内へ運び込む。

 木箱に入れられた商品を、ひとつ、ひとつ注意して運ぶ必要があるため倉庫へと向う。

 印のついた木箱を、魔法:個人箱に入れ込むと商談用の部屋へと戻り、魔法:個人箱から木箱を取り出し並べる。


 言いつけられた仕事が全て終わってしまった……。さてこれから何をしようか?

 と、そこへ、下働きをしているコビン君、9歳がやってくる。

 彼は、言葉を何とか話せる程度にしか知らず、基本片言でしか話せない。


 時間がある時に、彼の勉強をみてあげているのだが、ウィリア様ほど上手くはいかない。

 何故だろうか?

 そんな彼が、私の袖を引っ張り「来て」と言う。


 「わかりました。行きますからそんなに引っ張らないでください」

 彼にそう伝え、手を繋ぎ彼の案内する場所へと向う。

 そうして辿り着いた先には、定時報告のために訪れた鳥ほどの大きさになった竜体のリューク殿がいます。


《何、姿を見せていらっしゃるのですか?》


《あの子に、見つかってしまったんだ》


《……兎に角、直に屋根へ》


《わかった》


 思念でリューク殿に屋根に上がるように伝え、コビン君の前に膝を着いて視線を合わせると、口の前へ人さし指を翳すと、彼は少年らしい笑顔で「秘密」といいました。

 そんな彼に、ウィリア様お手製のクッキーを渡しました。

 口止め料ですね……。子供は安くて助かりますね……。


 彼に仕事場に戻るように伝え、井戸に行き手を洗う素振りを見せつつ、思念を使いリューク殿に報告を済ませる。


 ゴードヴィズ商店の内情を調べるため、この店の雑用兼店主補佐となり既に7日が経っている。

 深夜、皆が寝静まった中、倉庫や書類などを全て確認して得た情報を、2日に1回来るリューク殿に伝えるのが、ここでの私の仕事と言うべきことだ。


 朝の仕事を終えると朝食の時間になる。

 これを朝食と呼ぶべきなのか甚だ疑問に感じますが……。皆さんがそう仰るので、朝食なのだ自分に言い聞かせるのだが、硬いパン、味がしないスープしかでない。


 いかにウィリア様が、我々のことを考え作っていたのかを実感できる。

 そんな朝食を済ませると開店となる。

 この店の扱う商品は、主に食料品だがその品揃えは幅広く、セルスティアで見かけた品まである。

 

 ここの店主がそれほどできる男という訳ではない。

 では、どうやってと思っていれば、今日商談にくる、ビュリンデ様が関与している可能性があると従業員の女性が言っていたのを聞いた。

 そのビュリンデと言う者が何者なのか、しっかりと見なければと思いつつ接客の仕事をこなす。


 昼になり、昼食とは名ばかりの物を食べ終えたころ、漸くお得意先であるビュリンデと名乗る者が、店主と共に馬車でやってきた。

 その顔に私は、驚いた。

 まさか、こんなところで本人と会えるとは……是非、内容を聞かなければとお茶を出すついでに、仕込んでおいた魔道具へ魔力を流した。


 店主が見たことの無い、大きな紫色の圧布に包まれた何かを取り出すとテーブルへと置いた。

 中身は気になるが、ここで退室しないと疑われると考え、形式的に礼をすると退室した。

 魔道具から聞こえる会話に耳を傾けつつ、店の手伝いをする。


「さぁ、こちらをご覧下さい」


「確認させて貰おう」


「失礼します」


 どうやら、商品の確認をしているようだ。

 いやに機嫌の良い店主の声の後、ビュリンデと名乗る男の声がしたと思えば、従者と思われる男が確認をしている。


「こちらを……」


「ほう。これは素晴らしい」


「そうでございましょう? 」


「きっと父上はお喜びになるだろう」


「チッ……ゲスが」そう悪態をついてしまう自分をなんとか押さえ会話を聞く。


「ありがとうございます。それとこちらは、ある方より売却したいと渡されたモノですが……」


「あぁ。これは美しい……それで、これは誰が持ちこんだもの?」


「それが、ウッドビル公爵、ご本人が私を屋敷へお呼びになり鑑定して欲しいと仰り預けてくださったのです」


「それは、本当かい?」


「はい」


 なるほど……。商品と言うのは、あの日公爵に預けた物だった訳ですね。

 ビュリンデと名乗る男は、食いつきが非常にいいようだ。


「息子は使えなかったが、未だ利用価値はあるね……」


「えぇ。そのようですね」


 やはり、息子と繋がっていたのだな……しかし利用とは、酷い言い草だ。

 胸糞悪いというのはこういうことなのだろう。


「直に、フィルボに連絡を入れよう。彼は私のことを信仰しているからね。

 きっと役に立ってくれるだろう」


「畏まりました。直に紙とペンのご用意を……」


 そこで、パンパンと私を呼ぶ音が聞こえた。

 ノックをし室内へと入ると、紙とペンを持ってくるよう命令される。

 形式的に頭を下げ、扉を出ていつも店主がいる部屋へと向った。

 


 室内に入ると、見慣れぬ黒い皮のようなものに挟まった書類が見える。周りに誰も居ないことを確認し、記録用の魔道具に全てを入れ込んだ後、元通りに戻しておく。

 ペン、紙、インクを持ち彼らが待つ部屋へと戻った。


 持ち込んだ全てをテーブルへ置き、退室する。

 この短い間でも、彼らは色々と話してくれた。

 内容は、許せないことばかりだったが、手の内を晒してくれることに関してだけは、非常にありがたいことだと思った。

  

 明後日の休みには、一度屋敷へ戻るとしましょう。

いつもお読みいただきありがとうございます。

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