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竜達の愛娘  作者: ao
第四章 ―グリンヒルデ王国編―
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疑心

いつもお読みいただきありがとうございます。

/シュベル


 グリンヒルデの第2王子が向かった先が、今目の前に座る皇王の妹の嫁ぎ先である、ウッドビル公爵だとは、夢にも思わなかったというべきだろう。


 まさか! と言う思いが一番強いのは、皇王だっただろう。

 怒りに震え、持つ羊皮紙に酷くしわがよっているのにも気づかないほど、彼は取り乱している。それも当たり前かと、同情してしまう。

 自分にとって、甥にあたる妹の息子がグリンヒルデの第2王子と手を組んでいたのだから……。

 何と言って慰めようかと思案していると、宰相が皇王へ声をかけていた。


「陛下。どうかお気を確かに! ウッドビル公爵と話せばきっと彼自身の無実は証明されるはずです。

 ご子息を止めるために協力してくださるかもしれません」


「もし、公爵本人が裏切っていたとしたら……」


 公爵へ確かめるよう進めた宰相の言葉も、皇王のウッドビル公爵に対する疑心には通用しないようだった。

 そこで、ハタと気づく。もし、公爵自身が今この城にいたとするならば……?

 その気付きを確かめるため、皇王へ問いかけた。


「皇王に問いたい。公爵は、今どこにいるのだ?」


「どういう意味でございましょう?」


 怒りでまともな思考ができていないのだろう彼は、私の問いの意味を理解できないようだ。

 そんな彼の問いには答えず、もう1度今度は砕いて聞いた。


「公爵の居場所は、この城か?」


「えぇ。確か……今日は、登城しているはずです」


 ならば、公爵本人を呼び問いただせば良いだけではないか……。

 

「それならば、公爵をここへ呼べばよい」


「虚言などを吐かれる恐れがあります」


 皇王の言葉に、私は笑って見せ視線を国王へと向けると、ひとつ頼みごとをする。


「例の魔道具を取ってきて欲しいのだが?」


 国王は、それが何を意味するのか理解したようで、頷き、直ぐに立ち上がるとカシへと歩み寄った。

 近付いた国王の肩に触れたカシは、即座に空魔法を使用する。

 淡い残像を残し2人の姿はこの空間から消えた。


 訝しむ顔を見せる皇王へ、宰相から説明が入る。

 ヒルデスたちに使った、虚言を吐く事ができなくなる魔道具を取りにいったのだと――。


 直ぐに、皇王に頼み信用のおける魔導師1名と騎士4名を手配してもらう。理由については、宰相が既に説明をしていたため、問題なく頷いてくれた。


 宰相が室内を後にした直後、国王とカシが室内へと戻ってくる。


「お待たせした。これで間違いないだろうか?」


 国王の手の中には、光沢ある紫の圧布に包まれた5つの魔道具。基、魔石が握られていた。

 それを手に取り確認すれば、傷ひとつ無く美しく磨かれている。

 魔力の流れも問題ないことを確認して、頷いた。


「大丈夫だ。これで公爵の本音が聞きだせる。皇王の憂いも少しは晴れるだろう」


「魔道具とは……恐れ入りました。まさか、このような物まで御作りになられていたとは……!

 私の心配までしていただき、なんとお礼を申せばいいのやら」


 驚き、喜び、感謝を順に顔に乗せていく皇王の表情の豊かさに、つい声を出して笑ってしまった。

 場の空気が和やかな物になるのを、感じつつ彼の言葉に気にするなと伝えておいた。


 扉がノックされ、宰相が戻ったのかと扉の方を見れば、淡いピンクのドレスを身に纏ったリーシャが、ウィリアを訪ねて会議室を訪れた。

 ウィリアを見つけ、ニッコリと嬉しそうに微笑んだかと思えば、皇女らしい顔つきになり皆にカテーシを披露し挨拶すれば、国王が褒めちぎり、皇王がドヤ顔を決めていた。


「シュベル様、隅でリーシャとお話したいのですがいいですか?」


 私の側に歩み寄り、内緒話でもするかのように小さな声でお願いしてくる。


「大きな声は出さないでくれるなら、許そう」


 出さないとわかっていても、対面上つ立てておく必要があると考え確認すれば、間をおかず彼女は「はい」そう答え、嬉しそうに微笑み頷いていた。

 椅子を窓際に移動させたウィリアが、リーシャに手招きする、それに気付いた彼女も嬉しそうに微笑み椅子の方へと歩みを進めた。


 彼女たちが、会話をはじめてそれほど立たずに宰相が、5名を連れて戻ってくる。

 早速魔道具の使い方を説明しはじめれば、宰相は一礼したのち、再び扉を開け今度は、公爵を呼びに向かった。

 説明がてら、彼らに手渡せば魔導師の男が実に興味深いと言葉を漏らし、マジマジと見つめていた。


「どうした? 未だ不安か?」


 近くに座る、アルティがどこか落ち着き無くソワソワしていることに気付き声をかけた。


「シュベル様、本当に大丈夫なんでしょうか?」


「ウィリアたちのことか?」


「はい」


 アルティにとって、ウィリアは人族であっても同族扱いなのだろう。

 他の人族を信じることができない彼が、心配する気持ちは理解できた。


「アルティ。お前はウィリアを大切に思ってくれているのだな」


「ちっ、ちげいますよ! たっ、ただその……っ、はい」


 顔を赤く染め視線をあらぬ方へ向けつつ、必死にいい訳をしようとするも、デイハに肩を叩かれ大切なのだと素直に認めた。

 その様子に、満足そうにデイハも頷いている。


「大丈夫じゃ。我らがいるのじゃからな」


 紅茶を啜り、肩越しにアルティへ視線を向けたジオールが、安心させるよう言葉をかける。

 照れ隠しのため、ボリボリ頭を掻いていた彼はジオールの言葉に「はい」と、真剣な眼差しになり答えていた。

 

 侍従から、宰相と公爵が到着したことを知らされたのは、2杯目を飲み終わる頃だった。

 扉から宰相に伴われ、歴戦の猛者のような体躯に、赤毛の短髪、凛々しい眉に髭面の騎士服に似た服装の男が入ってくる。

 これが、公爵か……。その姿は、皇王たちの言う通り実直なのだろうと思えた。

 

 宰相が皇王の隣の椅子を彼に勧めれば、周囲の者に見えるよう、木作りの細工物のような硬さの礼をしたのち、席に腰を降ろした。

 魔導師へと視線を送った皇王は、公爵に視線を向けこの場に呼んだ理由を告げる。


「ウッドビル公爵ボルフよ。今日そなたをここへ呼んだ理由について話そう。

 そなたの自宅(やしき)に、グリンヒルデの者が出入りしていると言う報告を受けた。

 あの国は、我が国が王と認めた竜大公に対し、良からぬ噂があることはそなたも承知しているはず、釈明があれば申してみよ」


 皇王の言葉に思案する顔になる公爵は、硬質的な声で答えはじめた。


「失礼ながら、私とグリンヒルデの者が何か画策をしているとお疑いなのですか?」


 その問いに皇王は頭を振ることで答える。


「私とグリンヒルデに繋がりはありません。息子の同級生にグリンヒルデの王子がいたことは、存じておりますが、彼は既に帰国しているはず。思い当たる者がおりません」


 思案しつつ、否定の言葉を告げた公爵の様子に、事実なのだと私は頷いて知らせる。

 それを受けた皇王もまた、安堵の息を吐き、肩の力を少し抜くと公爵へある事実を告げる。


「実はな、その帰国したはずのグリンヒルデ王国題王子コーラルが、密入国の据えこのデュセイに滞在しているのだ。

 更に、こちらの耳の報告では……。今、そなたの屋敷をそのコーラルが、訪れているのだ」


「なんですとっ!」


 驚愕し立ち上がった公爵は、目を見開き皇王を凝視する。

 その瞳には、信じられないと言う視線が込められている。

 そんな、彼に対し皇王は、この場に似つかわしくないとても静かな声で、公爵の名を呼んだ。


 ハッとした顔をして、直ぐに視線を下げ、椅子に座りなおした公爵は、下を向いたまま暫く沈黙したかと思えば、突然顔をあげ両手で机を叩き立ち上がると名を呼んだ。


「フィルボ!!」


 その場の皆の注目を集めた公爵の肩に、宰相が手を添え宥める。

 「これを」と言葉を付け足し、皇王が握り締め皺をつけた羊皮紙を渡した。

 訝しむ表情で、宰相から受け取った羊皮紙を捲っている。

 

「それは、第2王子が言うところのお友達と呼ばれるものたちのリストです。

 あなたのご子息である、フィルボ様の名も記載されております」


「……あぁ。確認させてもらった。それで? 私は何をすればいい?」


 どこか、諦めたような表情を見せつつ協力する姿勢を見せる公爵に、宰相は頷きふたつのことを提案した。

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― 新着の感想 ―
ここまで読み進めましたが、初っ端から誤字脱字が酷過ぎると思います。物語はとても面白く先に進めたいとおもってますが、今一度見直して修正して頂きたいです。 こちらの頁の一文のみを抜粋すると『密入国の据え』…
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